Googleカレンダーの同期の代わりになるもの|手放してよい機能
Googleカレンダーの同期を設定するとき、アカウントを1つ繋いで、降りてきたカレンダーをそのまま全部受け取っている人は多くいます。設定としては正しい操作ですが、そこで手に入れた仕組みのうち、実際に使っている部分は思ったより狭いのが普通です。
同期という言葉が指している中身は1つではありません。双方向に書き換わる仕組みと、読むだけの仕組みと、その時点の予定を写し取るだけの仕組みが、同じ名前で呼ばれています。この記事では、いま同期に任せている仕事のうち何を別の仕組みに置き換えられて、何を置き換えると戻ってこないのかを、層ごとに分けて並べます。置き換えを検討する価値があるのは、動作を軽くしたい場合だけではありません。読むだけでよいカレンダーに書き込みの経路を残しておくと、消し間違いと二重作成の余地がその分だけ残り続けるからです。
同じ「同期」で呼ばれている3つの仕組み
1つ目は双方向の同期です。Googleアカウントでサインインして接続する形で、どちらの側で予定を作っても、もう一方に反映されます。予定を追加する、時間を動かす、削除する、招待に返信する、といった操作がすべて通ります。
2つ目は読み取り専用の購読です。カレンダーごとに発行される非公開のURLを相手のアプリに貼り付けると、そのカレンダーの中身が一方向に流れてきます。見えるものは双方向の場合とほぼ同じですが、手元のアプリからは変更できません。相手のアプリ側で予定を消したつもりでも、次に取りに行った時点で戻ります。
3つ目は書き出しと読み込みです。予定をファイルとして書き出し、別のカレンダーに取り込む形で、取り込んだ瞬間に元との縁が切れます。以後どちらを変えても相手には伝わらないため、これは同期ではなく複製です。移行のときだけ使う道具で、日常の運用に据えると重複の掃除が終わらなくなります。
この3つを混ぜて考えているうちは、置き換えの判断ができません。いま自分がどれを使っているかは、手元のアプリからそのカレンダーに新しい予定を作れるかどうかで見分けが付きます。
公式に用意されている経路は2つだけ
置き換えの範囲を決めるうえで、選択肢の総数を確認しておく価値があります。Googleが案内しているのは次の形です。
Google カレンダーを別のカレンダー アプリケーションで表示する方法は 2 つあります。カレンダーを追加して他のアプリケーションで表示できるほか、一部のアプリケーションでは予定を編集することもできます。 出典: support.google.com
つまり、アカウントで繋ぐか、非公開のURLで購読するかの2つです。非公開のURLは、カレンダーの設定を開き、マイカレンダーの設定から対象のカレンダー名を選び、カレンダーの統合の欄で見つかります。ここに出ている文字列は、知っている人なら誰でもそのカレンダーの中身を読めるものなので、渡した相手を管理する必要があります。誤って配ってしまった場合はリセットを押すと無効になり、新しいURLが作られます。この1回の操作で、それまでに配ったURL全部が同時に切れます。
双方向を外しても困らないカレンダー
置き換えの第一歩は、カレンダーを1つずつ見て、そこに自分が予定を書き込むかどうかを判断することです。書き込まないカレンダーに双方向の接続を当てておく理由はありません。
書き込まないカレンダーの典型は4種類あります。祝日のカレンダー、他人から共有された閲覧用のカレンダー、チームの当番表や会議室の予定表、外部のサービスが配信している試合日程や締切の一覧です。これらは中身を作っているのが自分ではないので、手元から編集できる状態にしておいても使いません。読み取り専用の購読に切り替えると、誤って動かしてしまう余地が消えます。
逆に、自分が予定を作る先は普通1つか2つです。仕事の予定を入れるカレンダーと、私用のカレンダー。この2つだけがアカウント接続を必要とし、残りは購読で足ります。全部を双方向にしている状態から、この形に整理するだけで、手元のアプリが持っている書き込み権限の範囲は大きく狭まります。
標準のカレンダーに繋いだ時点で手放している機能
置き換えを考える前に、すでに手放しているものを把握しておくと判断が楽になります。Appleのカレンダーアプリに Googleアカウントを追加した場合、Googleカレンダー側の機能のうち利用できないものが公式に明記されています。予定のメール通知、新しいGoogleカレンダーの作成、会議室の予約機能の3つです。
この3つは設定で直せる不具合ではなく、その経路では最初から通っていない機能です。だから置き換えを考えるとしても、方向は逆になります。同期のほうを何かで代替するのではなく、この3つだけをWeb版に振り分けることになります。メールで届く通知が要る人は、通知の設定をGoogle側で持ったままにして、手元のアプリは表示と入力に使う。新しいカレンダーを作りたくなったらWeb版で作り、同期の対象に入れてから手元に降ろす。会議室の予約が必要な会議だけはWeb版で立てる。
頻度を数えてみると、この3つはいずれも毎日の操作ではありません。新しいカレンダーを作る回数は年に数回、会議室の予約が要るのは出社した日だけ、という人がほとんどです。月1回あるかどうかの操作のためにWeb版を開くのは、毎日の入力と表示を犠牲にするより軽い選択になります。
置き換えの一覧
| いまやっていること | 使っている仕組み | 代わりになるもの | 引き換えに失うもの |
|---|---|---|---|
| 共有された当番表を見る | 双方向の同期 | 非公開URLでの購読 | 手元からの編集 |
| 祝日や試合日程を並べる | 双方向の同期 | 公開されている購読用のURL | なし |
| 相手に空きを知らせる | カレンダーの共有 | 予約枠のページ | 相手が全体を見渡すこと |
| 予定表を資料として配る | カレンダーの共有 | 書き出したファイル | 以後の更新の反映 |
| 会議室を押さえる | 手元のアプリ | Web版で立てる | 操作の場所が1つ増える |
表の右端の列が、置き換えの代金にあたる部分です。ここが空欄に近いものから順に外していくと、失敗が起きません。
表の3行目にある予約枠のページは、置き換えとしては効き目が大きいわりに知られていません。相手にカレンダーを共有せず、空いている時間だけを並べたページのURLを渡す形で、相手はそこから枠を選びます。共有の設定を1つも作らずに日程調整だけが成立するので、社外の相手とのやり取りではこれがいちばん軽い置き換えになります。共有の解除を忘れて権限が残り続ける、という後始末の問題も起きません。
4行目の書き出したファイルも、用途を限れば使えます。次の四半期の予定表を資料として配る場合、相手が見るのは配った時点の内容で構わないことがほとんどです。以後の更新が要らないなら、読み取り専用の購読を設定して相手のアプリに残すより、ファイルを1回渡すほうが関係が残りません。
置き換えを進める順番
一度に全部を変えると、どれが原因で何が変わったのか分からなくなります。順番を決めて、1つずつ動かします。
最初に外すのは、失うものが無い行です。祝日や外部が配信している日程は、書き込む可能性が最初からゼロなので、購読に落としても困りません。次に、共有された当番表のように、見るだけで足りているカレンダーを外します。ここまでで、手元のアプリが書き込める範囲は自分のカレンダーだけに絞られます。
そのうえで1週間ほど運用し、「書けなくて困った場面」が何回あったかを数えます。ゼロなら、その構成で確定して構いません。1回か2回あった場合は、その特定のカレンダーだけを双方向に戻します。戻す範囲をカレンダー単位で決められるところが、この進め方の利点です。全部を一度に戻すと、何が必要だったのかが分からないまま元の状態に帰ります。
数えた結果、書けなくて困った場面がすべて同じカレンダーに集中していた、という形になることがよくあります。その場合、双方向の接続が要るのはそのカレンダー1つだけだった、ということになります。
手放すと戻ってこないもの
一方で、双方向の接続でしか成立しない機能もあります。ここを購読に落とすと、静かに困ります。
招待への返信がその代表です。参加するかどうかの回答は、相手のカレンダーに書き戻る操作なので、読み取り専用の経路では送れません。購読で見ている会議に手元から出席の返答をしても、主催者の画面には何も出ません。返答したつもりで放置されるのが、この置き換えで最も起きやすい事故です。
通知の扱いも変わります。購読しているカレンダーの予定に手元のアプリが通知を付けても、それは手元だけの設定で、Google側には残りません。端末を買い替えたときに一緒に消えます。
反映の速さも違います。アカウントで繋いだ経路は、手元のアプリが決めた間隔でサーバーへ取りに行きますが、購読の経路はそれに加えて配信側の更新の間隔が乗ります。今日決まった予定を今日中に相手に見せる必要があるなら、購読は向きません。速さが要る用途と、要らない用途を分けておくことが前提になります。
タイムゾーンの扱いも見落とされます。出張や海外との会議が入る人は、予定の時刻が相手の地域で解釈し直されることを前提にしていますが、書き出したファイルを読み込ませる形に置き換えると、その計算が取り込んだ時点で固定されます。あとから出発地が変わっても追随しません。時差をまたぐ予定を含むカレンダーは、書き出しと読み込みでの置き換えに向かない部類です。
もう1点、予定の変更の通知も消えます。双方向の接続では、主催者が時間を動かせばその変更が手元に届きますが、購読の場合に届くのは変更後の内容だけで、変わったという事実は伝わりません。日程が動きやすい相手のカレンダーを購読に落とすと、気づかないまま古い時刻を前提に動くことになります。置き換えの判断は、カレンダーの中身がどれくらい動くかも合わせて見る必要があります。
内部データから見えること: 置き換えたあとに残る手間
同期の構成を整理しても、一日が回るようになるとは限りません。相談として届く詰まりは、整理のあとで2つに分かれます。
1つは入力です。決まった予定をその場で入れられず、あとでまとめて入力しようとして落とす形です。経路を購読に減らしても、書き込む先が1つに絞られただけで、入れる手間は変わりません。この型に効くのは入力の経路を短くすることで、話し言葉と音声で予定を入れられるかどうかがここで意味を持ちます。具体的な入れ方は予定の入れ方に整理してあります。
もう1つは並びです。予定は全部入っていて反映も正しいのに、会議と会議の間が詰まっていて動けない形です。これは同期の構成をどう変えても出てきます。移動を予定として扱えるかどうかが分かれ目で、考え方は移動時間にまとめてあります。
置き換えの判断をした結果、手元のアプリに残る仕事は表示と入力だけになります。その2つをどこまで引き受けられるかはアプリによって差が出るので、他のカレンダーとの比較で軸ごとに並べたものと、導入前に届きやすい条件をまとめたよくある質問を見比べて決めるのが早い順序です。
よくある質問
読み取り専用の購読に切り替えると、予定の詳細も見えなくなりますか?
見えます。非公開のURLで購読した場合、件名や時刻や場所といった中身は双方向のときと同じように表示されます。違うのは手元から変更できない点と、反映に配信側の更新の間隔が乗る点です。中身が見えないのは、共有の権限そのものが時間枠だけの表示になっている場合です。
非公開のURLをリセットすると何が起きますか?
それまでに配った非公開のURL全部が同時に無効になり、新しいURLが1本作られます。自分の別の端末で購読していた分も止まるので、リセットしたあとは購読し直す必要があります。誤って外部に渡してしまったときの止め方としては確実ですが、影響範囲は自分の購読先すべてに及びます。
会社のアカウントで非公開のURLが見つからないのはなぜですか?
管理者がカレンダーの共有設定を変更している可能性があります。組織のアカウントでは、非公開のURLの発行そのものを止める設定が用意されています。設定画面のカレンダーの統合の欄に項目が出ていない場合は、手元の操作では直らないため、管理者に確認することになります。
同期をやめてWeb版だけにするのは選択肢になりますか?
なります。Web版なら予定のメール通知も、新しいカレンダーの作成も、会議室の予約もそのまま使えます。引き換えに、macOSの通知やウィジェットとの結び付きと、他のアカウントのカレンダーを同じ画面に重ねる見方を手放すことになります。使っているカレンダーが1つだけなら、この選択は成立します。