カレンダー予定管理アプリの選び方|Macで一日が崩れない基準

カレンダーの予定管理アプリを探しているとき、比較記事を何本読んでも決まらないことがあります。理由ははっきりしていて、アプリごとの機能表は載っているのに、自分の一日がどこで崩れているかが書かれていないからです。崩れる場所が分からないまま機能表を眺めても、選ぶ基準は出てきません。

この記事では、Macで使えるカレンダーの予定管理アプリを4つの型に分け、それぞれが引き受けている仕事と引き受けていない仕事を並べます。そのうえで、選ぶ前に自分の一週間から測っておくべき2つの数字を示します。読み終えたときに、アプリを乗り換えるべきなのか、いま使っているものの使い方を変えれば済むのかを判断できる状態を目指します。

予定管理アプリが「見る道具」から「組み立てる道具」に移った背景

カレンダーのアプリは、長いあいだ予定を並べて見せる道具でした。予定の実体はサーバー側にあり、アプリはそれを読んで描く窓の役割に徹していました。窓の作りが違うだけなら、選ぶ基準は見た目の好みとほとんど同じになります。

状況が変わったのは、働き方が場所と時間で分断されてからです。オンラインの会議と対面の打ち合わせが同じ日に混ざり、移動の有無が予定ごとに違うようになりました。会議の直前に別の場所にいるかどうかで、その予定が成立するかどうかが変わります。並べて見せるだけの窓では、成立しない一日をそのまま表示してしまいます。

この変化を受けて、いまのアプリは3つの方向に分かれました。表示を作り込む方向、やることと予定を同じ画面に置く方向、そして予定を入れる手前と移動の扱いを引き受ける方向です。同じ「予定管理アプリ」という名前で呼ばれていますが、解こうとしている問題は別物です。比較で迷うのは、性質の違うものを同じ表に並べているからでもあります。

4つの型を、解いている問題で並べる

まず全体像です。製品名ではなく、何を引き受けているかで分けます。

引き受けている問題 料金の相場 向く人 引き受けていない部分
表示重視の総合型 週や月の見え方、複数アカウントの統合 月額数百円から千円台 予定の量が多く一覧性が要る人 予定を入れる手前の手間
タスク統合型 やることと予定を1画面に置く 月額数百円から千円台 締切と予定が混ざる仕事の人 移動と場所の扱い
日程調整型 相手との候補出しと予約受付 無料枠あり、月額千円前後 社外との調整が多い人 自分の一日の組み立て
常駐表示型 月表示をすぐ見る 無料が中心 日付の確認が主な用途の人 編集、移動、調整のすべて

この表で先に見るべきは右端の列です。どの型も、引き受けていない仕事があります。自分が時間を落としている場所と、その型が引き受けていない部分が重なっているなら、そのアプリを入れても状況は変わりません。

なお、料金の相場に幅があるのは、買い切りと定期購入が混在しているためです。定期購入の製品は年払いにすると月あたりの負担が下がる設定が多く、同じ製品でも支払い方で年間の金額が変わります。比較するときは月額の表示だけでなく、年間でいくらになるかを並べて見てください。

乗り換えても予定が消えない理由を先に押さえる

アプリを変えることをためらう理由の多くは、予定が消えるのではないかという不安です。実際には、この不安はほとんど当たりません。予定の実体はiCloudやGoogleやExchangeのサーバー側にあり、アプリはそれを読んで表示しているだけだからです。アプリを入れても外しても、サーバー上の予定は変わりません。

予定の形式そのものも、特定のサービスに縛られない共通の規格として定義されています。規格の側にも、取り込みの際にデータを落とさないようにという注意が明記されています。

Applications that support importing iCalendar objects SHOULD support all of the component types defined in this document, and SHOULD NOT silently drop any components as that can lead to user data loss. 出典: rfc-editor.org

ここで実務上の意味があるのは、注意が書かれているという事実そのものです。取り込みの実装しだいで、繰り返しの予定や添付や参加者の情報が落ちる可能性があるということでもあります。したがって、サーバーに同期しているアカウントの予定をそのまま表示させる使い方は安全度が高く、ファイルとして書き出して別のアプリに読み込ませる移行は、繰り返しの予定を1件ずつ確認したほうがよい、という判断になります。

複数のアプリを同時に入れて、同じ一週間を並べて比べるのが最も早い確認方法です。表示の好みは説明文では伝わらないので、自分の実際の予定で見るのが確実です。

macOS標準のカレンダーがすでに引き受けている範囲

有料のアプリを検討する前に、手元にあるものの範囲を確認しておくと、払う金額が小さくなります。macOSのカレンダーは、追加費用なしで次のことができます。

  • iCloud、Google、Exchange、CalDAVのアカウントを追加し、仕事と私用の予定を1画面に並べる
  • 新規予定の欄に文を書くと、日時として解釈して予定を作る
  • 予定ごとに移動時間の欄を持ち、開始前の時間を確保して通知を出発の時刻に寄せる
  • カレンダーごとに色を割り当て、表示のオンとオフを切り替える
  • リマインダーと連携して、やることを予定の横に置く

つまり、有料アプリの説明でよく見かける項目のうち、文での入力と移動時間の確保は標準にすでに入っています。ここを知らずに乗り換えると、同じ機能に費用を払うことになります。標準の各機能の場所はAppleサポートで確認できます。

標準で弱いのは、表示の作り込みと、カレンダーの組み合わせをまとめて切り替える操作です。仕事用の3つと私用の2つを一度に切り替える、といった運用は標準では手作業になります。この2つに不満がないなら、乗り換える動機はほとんど残りません。

選ぶ前に、自分の一週間から2つの数字を測る

機能表を比べる前に、自分の側の数字を取ってください。1週間あれば足ります。測るのは次の2つです。

1つ目は、その週に決まった約束のうち、カレンダーに入らなかった件数です。会話の途中や移動中に決まった約束は、後で入力しようと思った時点で半分は消えます。入力にかかる時間が30秒を超えると、その場での入力は続きません。入らなかった件数が多いなら、表示の作り込みを比べても意味がありません。問題は予定を見る手前にあります。話し言葉と音声で予定を入れられる形になっているかどうかが、この数字を直接動かします。入力の考え方は予定の入れ方に整理されています。

2つ目は、その週に移動が間に合わなかった回数と、間に合わせるために走った回数です。多くのカレンダーは予定ごとに移動時間の欄を持っていますが、この欄はその予定の前に時間を確保するだけで、直前の予定がどこで終わったかを見ていません。前の会議が別の場所で終わっていても、それぞれの移動時間は正しく設定できてしまいます。一日全体としては成立していないのに警告は出ない、という状態が起きます。移動を一日全体の問題として扱う考え方は移動時間にまとめられています。

この2つの数字がどちらも小さく、それでも不便を感じているなら、残っているのは表示の問題です。その場合は表示重視の型か、無料の常駐表示型で足ります。

型ごとに、確認しておくべき点

表示重視の総合型を選ぶときは、複数アカウントの扱いを確認してください。仕事と私用でアカウントが分かれている場合、両方を1画面に出せるか、カレンダーの組み合わせをまとめて切り替えられるかが、日々の操作数を左右します。

タスク統合型を選ぶときは、やることの保存先を確認してください。アプリ独自の場所に保存される製品では、そのアプリをやめたときにやることの一覧が手元に残りません。リマインダーや外部のサービスと同期する形なら、乗り換えの負担は小さくなります。

日程調整型を選ぶときは、相手側に何を求めるかを確認してください。相手にアカウント登録を求める仕組みだと、社外の相手には使いにくくなります。空き時間だけを見せる形なら、相手の負担は小さいままです。

常駐表示型を選ぶときは、編集をどこまでできるかを確認してください。月表示を出すだけの製品が多く、予定の作成や移動には向きません。標準のカレンダーと併用する前提で選ぶと、無料のまま作業の中断を減らせます。

各アプリがどの機能をどこまで引き受けているかは他のカレンダーとの比較に事実として並べてあります。判断に必要なのは優劣の結論ではなく、自分が落としている時間と重なる列がどこかを見つけることです。

試すときは、忙しい週で試す

候補を絞ったら、実際に動かして確かめます。ここで結果が変わるのが、どの週で試すかです。予定が少ない週はどのアプリでも快適に見えるため、判断材料になりません。会議が続き、場所が変わり、当日に予定がずれる週で試してください。使いにくさは、余裕のある週には出てきません。

手順としては、まずアカウントを追加して既存の予定が全部表示されているかを確認します。仕事と私用でアカウントが分かれている場合は、両方を追加したうえで、カレンダーごとの表示のオンとオフが期待通りに効くかを見ます。ここで表示されないカレンダーがあると、以降の判断がすべて狂います。

次に、予定を新しく5件ほど入れてみます。会議、移動をともなう外出、締切、繰り返しの定例、当日にずらす予定の5種類を入れると、そのアプリが得意な入力と苦手な入力が短時間で分かります。とくに繰り返しの予定は、作り方も直し方も製品ごとに差が出やすい部分です。

最後に、通知が想定した時刻に届くかを確かめます。通知は表示する側の設定で決まるため、アプリを変えると鳴り方が変わります。移動をともなう予定で、出発の時刻に通知が寄るかどうかは、実際に一日を過ごさないと分かりません。この確認を飛ばして機能表だけで決めると、乗り換えたあとに同じ理由で戻ることになります。

予定管理アプリの差は、機能表の行数には出ない

比較表の行数が多い製品が、自分の一日を助けるとは限りません。一日が崩れる原因は、機能の有無ではなく、入力と移動の2か所に集中しているからです。

入力の問題は、予定がカレンダーに入っていないという形で出ます。入っていない予定は、どんなに優れた表示でも描けません。共有している相手から見れば空き時間として映るため、そこに別の予定を入れられて二重予約になります。表示を整えても、この経路は塞がりません。

移動の問題は、予定は全部入っているのに一日が回らないという形で出ます。会議と会議のあいだが埋まっているのではなく、あいだに入るはずの移動が予定として存在していない状態です。カレンダー上は空いて見えるので、そこにまた予定が入ります。

この2か所を押さえたうえで、余った不満に表示や連携の機能を当てる。この順番で選ぶと、払う金額が小さくなり、乗り換えの回数も減ります。何ができるかを一覧で確認したいときはできること、導入前の細かい条件はよくある質問、費用の形は購入にまとまっています。まずは1週間の記録を取り、入力と移動のどちらで時間を落としているかを確かめてから、比較表に戻ってください。

よくある質問

予定管理アプリを乗り換えると、いまの予定は消えますか?

消えません。予定の実体はiCloudやGoogleなどのサーバー側にあり、アプリはそれを読んで表示しているだけです。アカウントを追加すれば同じ予定がそのまま並びます。ファイルとして書き出して読み込ませる移行の場合だけ、繰り返しの予定や参加者の情報が落ちていないかを確認してください。

macOS標準のカレンダーでは足りないのはどんな場合ですか?

表示をまとめて切り替えたい場合と、予定を入れる手間や移動の扱いで時間を落としている場合です。標準にもアカウント同期、文での入力、予定ごとの移動時間の欄は入っているため、それらが目的なら追加費用は必要ありません。まず1週間、標準だけで運用して不便の中身を書き出すのが確実です。

有料の予定管理アプリの相場はどのくらいですか?

Mac向けの製品では、定期購入で月額数百円から千円台、買い切りで数千円という設定が多く見られます。定期購入は年払いにすると月あたりが下がる製品が多いため、月額の表示だけでなく年間の合計で比べてください。無料枠を持つ製品もあり、その場合は有料側に何が置かれているかを先に確認します。

タスク管理アプリとカレンダーは分けたほうがよいですか?

締切だけを管理するなら分けても運用できますが、作業に時間がかかるものはカレンダーに置いたほうが破綻しにくくなります。やることの一覧に並んでいるだけでは、それをやる時間が確保されないためです。分ける場合も、やることの保存先が乗り換え可能な形かどうかを確認しておくと後が楽です。

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