apple calendar on mac|標準カレンダーで変えるべき設定と限界

Macに最初から入っている「カレンダー」は、買った日に一度開かれて、その後は持っている機能の2割ほどで評価が決まる。地味に見えて早々に別のアプリへ乗り換えるか、間に合っていると思い込んで、仕事が増えたあともそのまま使い続けるかのどちらかである。どちらも損をしている。ここでは公式のユーザガイドに載っている機能の全体像を押さえ、最初に触るべき設定を挙げ、そのうえで設定では越えられない限界がどこにあるかまでを見ていく。

公式ガイドに載っている機能の全体像

レビュー記事より、Appleのユーザガイドの目次を見るほうが早い。そこに並んでいるのは、カレンダーアカウントの追加と削除、終日や複数日にまたがる予定、繰り返しの予定、予定への場所と移動時間の追加、通知の設定、参加依頼と返信、予定へのFaceTimeビデオ通話の追加、メモやURLやファイルの添付、Siriからの提案、複数カレンダーの利用と色分け、集中モードのフィルタ、カレンダーの読み込みと書き出し、共有と購読、更新頻度、リマインダーの表示、誕生日、祝日、表示する曜日と時間の変更、異なるタイムゾーンの利用、予定を別ウインドウで表示、通知の管理、印刷、キーボードショートカットである。

日時設定ありリマインダーを「カレンダー」に表示して、すべてのTo Doリストや予定を1か所で把握します。 出典: support.apple.com

この一覧のうち、無いと思われがちなのに実は入っているものが3つある。1つ目は移動時間で、独立した予定枠を作るのではなく、予定そのものに時間を付ける形で扱える。2つ目はリマインダーの表示で、時刻を持つタスクをカレンダーの枠内に出せるため、やることリストのために別のアプリを開かずに済む。3つ目は集中モードのフィルタで、仕事の時間帯に私用のカレンダーを画面から丸ごと消せる。画面共有で私用の予定が映り込む事故は、これで止まる。

最初の30分で変えるべき4つの設定

標準の「カレンダー」への不満は、たいてい開かれたことのない設定に行き着く。

表示する曜日と時間。 7日分を0時から24時まで表示していると、どの日もすかすかに見える。実際には詰まっている火曜日まで「まだ入る」ように見えてしまう。表示を始業から終業までの帯に絞ると、画面上の密度が実際の密度に近づく。これは見た目の好みの話ではなく、次の会議を受けるかどうかの判断が変わる話である。

通知の既定値。 予定・終日の予定・誕生日で、それぞれ別に既定の通知を持てる。1回決めておけば、新しい予定を作るたびに通知を手で足す小さな手間が消える。手で足すのを忘れて遅刻するほうの損失は、もっと大きい。

リマインダーの表示。 カレンダーの一覧にあるチェックボックスで、時刻付きのリマインダーを枠内に出せる。締切と会議が同じ画面に並ぶと、締切の前日が会議で埋まっていることに前もって気づける。

キーボードショートカット。 日・週・月・年の切り替えと、今日へ戻る操作、前後への移動は、すべて1打で終わる。ガイドにも独立した章がある。トラックパッドで動かしていると、1日に何十回も小さな通行料を払うことになる。

覚える価値があるのは操作の速さそのものではない。4秒かかるカレンダーは、判断が済んだあとに確認のために開かれる。0.5秒で出るカレンダーは、判断の前に開かれる。カレンダーを持つ意味は後者にしかない。

4つの表示は、拡大率ではなく用途が違う

日・週・月・年は、同じ情報の拡大縮小ではない。それぞれ答えられる問いが違う。

  • 日表示は「次に何があるか」「いまの作業はいつまでか」に答える。30分の空きが30分の高さで見える唯一の表示である
  • 週表示は「今週の形は乗り切れるか」に答える。月曜の朝に開くときに欲しいのはたいていこれである
  • 月表示は「締切と出張がどこにあるか」に答える。逆に1日より短い単位には向かない。2時間の会議と終日の研修がほぼ同じ大きさで並ぶからである
  • 年表示は「偏りがどこにあるか」に答える。同じ2週間に納品が3件重なっていることは、週表示では絶対に見えない

週表示に住み、作業中は日表示に降り、計画を立てる日だけ月表示と年表示を開く。切り替えは1打で済むのだから、使い分けないほうがもったいない。

設定では越えられない3つの限界

ここからは、どの項目をどう変えても残る性質の話である。

1つ目は入力の速さである。予定を1件作るには、クリックして、入力欄に文言を打ち、Returnを押す。1件なら何ということもないが、週の頭にまとめて11件を入れる場面では、考える時間より入力の時間のほうが長くなる。頭に浮かんだ予定が、カレンダーではなくメモアプリやチャットの下書きに溜まっていくなら、原因はここにある。

2つ目は空き時間の提示である。標準の「カレンダー」は出席者の空き状況を確認して参加依頼を送れるが、社外の相手に「ここから選んでください」と押さえられる形で公開する手段は持たない。結果として、客先との日程調整は候補日を3つ書いたメールの往復に戻る。

3つ目は、1日の無理を指摘しないことである。標準の「カレンダー」は入力された内容をそのまま描く。離れた場所の予定が20分差で並んでいても黙っているし、その日にまとまった作業時間が40分しか残っていないことも教えてくれない。記録ではあるが、評価ではない。

iPhoneに出ない予定は、同期ではなく保存先の問題

「Macで入れた予定がiPhoneに出ない」という相談は多いが、原因が同期そのものであることは少ない。ほとんどは、その予定がどのアカウントのカレンダーに保存されたかという話である。

Macの「カレンダー」に複数のアカウントを入れていると、予定は必ずどれか1つのカレンダーの中に入る。会社のExchangeに入った予定は、会社のアカウントを入れていない私用のiPhoneには出ない。購読しているだけの読み取り専用カレンダーには、そもそも予定を作れない。ローカルにだけ存在する「自分のMac上」のカレンダーに入れた予定は、どの端末にも同期されない。

確認の順番は決まっている。まず予定を開いて、どのカレンダーに属しているかを見る。次にサイドバーで、そのカレンダーがどのアカウントの下にぶら下がっているかを見る。最後に、その同じアカウントが相手の端末にも入っているかを見る。この3つを順に追えば、たいてい2分で原因に行き当たる。

再発を防ぐには、新規予定の既定の保存先を、いちばんよく使うアカウントに合わせておく。既定が私用のiCloudのままで仕事の予定を入れ続けると、会社側の同僚からは予定が見えない状態が延々と続く。

通知は「多すぎる」より「同じ予定で二度鳴る」を先に潰す

通知が煩わしいと感じたとき、最初に疑うべきは件数ではなく重複である。同じアカウントを別のカレンダーアプリにも入れていれば、1件の予定で2回鳴る。会議アプリ側の通知まで足せば3回になる。

通知を担当するアプリを1つに決め、残りは通知を切る。そのうえで、既定の通知時刻を予定の種類ごとに分ける。移動を伴う打ち合わせは早めに、机の前で始まる作業は直前に、という具合である。終日の予定は前日の夕方に出るように設定しておくと、翌朝あわてなくて済む。

予定を別ウインドウで開ける点も、通知の見直しと相性がよい。当日の要点を1つの小さなウインドウに出しておけば、通知で割り込ませなくても状況を把握できる。通知を減らす方向の調整は、見える場所を1つ用意してから行うほうが失敗しない。

集中モードのフィルタを併用すると、通知の量そのものを時間帯で変えられる。仕事の時間帯には仕事のカレンダーだけを表示し、通知もその範囲に限る。私用の予定は消えたわけではなく、時間帯が終われば戻ってくる。

共有・購読・書き出しの使い分け

やりたいこと 使う機能 向いている場面
家族や同僚に自分の予定を見せる カレンダーの共有 相手にも変更を反映したいとき
客先や現場の予定を見るだけ 購読 資格情報を預かりたくないとき
学会や年間行事を取り込む 読み込み もう変わらない確定した日程
契約終了前に記録を残す 書き出し アカウントごと失われる可能性があるとき

Appleは共有の経路を、共有の考え方、iCloudのカレンダーの共有、個別のCalDAVカレンダーの共有、カレンダーアカウントの共有と、複数に分けて説明している。仕事で代理アクセスしている予定表は最後の形で入ってくる。この種の予定表は削除できず、メインのウインドウで非表示にする扱いになると明記されている。何年も勤めるとサイドバーが使わない予定表で埋まるが、正しい掃除は削除ではなく非表示である。

「Siriからの提案」は便利だが、任せきりにはできない

ユーザガイドには「Siriからの提案」を使用する、という項目がある。メールやメッセージの中に日時らしき記述があると、それを予定の候補として拾ってくれる仕組みで、航空券の予約や店の予約確認のように、書式が決まっている文面ではよく当たる。

ただし提案は提案であって、確定した予定ではない。候補のまま画面に出ているものを本人が確定させなければ、当日の通知は来ない。「カレンダーに出ていたのに通知が鳴らなかった」という失敗の多くは、この確定を踏んでいないことが原因である。

日本語のやり取りに特有の弱点もある。「来週の火曜、いつもの時間で」のように、日付も時刻も文面の外にある約束は拾えない。チャットで決まる予定が多い働き方ほど、拾える割合は下がる。提案は入力の補助として数え、拾えなかった分を自分で入れる前提で運用したほうが安全である。

結局のところ、確実に残るのは自分で入れた予定だけである。だからこそ、入力にかかる手数の差が効いてくる。

標準アプリで足りるかを1週間で見分ける

乗り換えを検討する前に、1週間だけ条件を整えて使ってみるのが確実である。やることは3つで、表示する時間帯を勤務時間に絞る、iCloud以外のアカウントの更新頻度を最短にする、海外との会議があるならタイムゾーンのサポートを有効にする。

そのうえで週末に2つ数える。1つ目は、カレンダー以外の場所に先に書いた予定が何件あったか。2つ目は、物理的に成立しない日程が何日できたか。どちらもゼロなら標準の「カレンダー」で足りている。乗り換えは不要である。

前者が多いなら詰まっているのは入力である。頭に浮かんだ瞬間に入らない道具は、結局使われない。話し言葉と音声で予定を入れられる形が効くのはこの場面で、入れ方の違いは予定の入れ方に整理してある。後者が多いなら、詰まっているのは予定と予定のあいだを誰も測っていないことである。場所の移動をどう見積もるかは移動時間で扱っている。標準の「カレンダー」との差分を機能単位で見たい場合はできることを、他のMac用アプリがどこを重く見ているかを知りたい場合は他のカレンダーとの比較を見ると早い。

設定で直る不満と、道具を変えないと直らない不満は別物である。先に前者を潰しておかないと、乗り換えても同じ不満が付いてくる。

よくある質問

Macの標準カレンダーにGoogleカレンダーを入れられますか?

入れられます。メニューの「カレンダー」から「アカウントを追加」を選び、Googleを選択して認証すれば、iCloudの予定と同じ画面に別の色で並びます。追加後は同期頻度の設定があり、ここが長いと変更の反映が遅れます。

標準のカレンダーに移動時間の機能はありますか?

あります。予定に場所と移動時間を追加する項目がAppleのユーザガイドに用意されており、独立した枠ではなく予定そのものに付く形です。予定を動かせば移動時間も一緒に動きますが、間隔が短すぎる場合に警告は出ません。

サイドバーに溜まった共有カレンダーを消せません。

代理でアクセスしている予定表は削除できない仕様で、メインのウインドウで非表示にする形になります。週に一度も見ない予定表を隠していくだけで表示は整理できます。購読しているカレンダーも同様に見直す価値があります。

別のカレンダーアプリに乗り換えるべきか、どう判断すればよいですか?

不満の種類で決まります。表示や反映の遅さなら設定で直ります。予定をカレンダー以外の場所に先に書いてしまう、あるいは成立しない日程が繰り返しできるという2点は、標準アプリの設定では解消しないため、道具を変える理由になります。

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