apple calendar tippsの実用編|初期状態で切れている設定を直す
Macの標準カレンダーの使い方として紹介されるのは、たいていショートカットと色分けです。予定が少ない週にはそれで足ります。実際に効くのは、初期状態で切れている設定と、公式に書かれている制限のほうです。「不具合だと思っていたら仕様だった」という項目がいくつもあり、それを知らないまま乗り換えを検討している人が少なくありません。ここでは仕事の予定が詰まっているMacを前提に、触る順番で並べます。
通知は、既定を決めるまで鳴らない
標準カレンダーへの不満でいちばん多いのが「通知が来ない」です。これは仕様として明記されています。
デフォルトでは、作成する予定には通知は設定されません。 出典: support.apple.com
直すのは1分もかからない作業ですが、引っかかるのは設定がアカウントごとだという点です。「カレンダー」>「設定」>「通知」を開き、アカウントを選んでから、予定・終日の予定・誕生日それぞれの既定時刻を決めます。これをアカウントの数だけ繰り返します。iCloudだけ設定して仕事のGoogleアカウントを放置すると、半分だけ動く状態になり、原因が同期の問題だと誤解されます。
同じ画面にもう1つ、意味を知っておくとよい項目があります。「これらのデフォルトの通知をこのコンピュータでのみ使用」を選ぶと、設定はこのMacに閉じます。選ばなければ同じアカウントでログインしている端末側にも効きます。多くの人が望むのは後者ですが、確認されることはほとんどありません。
注意点が1つ。既定の通知は、新しい予定と、まだ通知を設定していない既存の予定に適用されます。個別に通知が設定済みの予定は上書きされないので、他社から移してきたカレンダーには無音のまま残る予定が混ざります。変更後に、少し前の週を開いて数件だけ確かめてください。
出張の前に、時間帯のサポートを有効にする
時間帯のサポートも、誰かが有効にするまで無効のままです。それまではMacの現在の時間帯で全部が描かれます。机の前にいる限り困りませんが、移動すると静かに壊れます。
有効にするのは「カレンダー」>「設定」>「詳細」で、「時間帯のサポートを有効にする」を選ぶだけです。検索フィールドの左に時間帯のメニューが出て、予定ごとに時間帯を持てるようになります。
覚える価値があるのは「フローティング」
有効にすると、予定に具体的な時間帯を指定するか、「フローティング」を選ぶかを決められます。フローティングは、別の時間帯で表示しても予定が動かない設定です。朝9時のジムはフローティングが正解です。体がどこにあっても9時だからです。海外の相手との打ち合わせは実際の時間帯を持たせます。こちらは絶対的な時刻が決まっているためです。
帰国後の挙動も公式に説明されています。別の時間帯で作成した予定はその時間帯のままになり、ほかの予定は元の日付と時刻に戻ります。この動きを先に知っているかどうかで、帰ってきた週が「不可解な週」になるか「想定どおりの週」になるかが分かれます。
場所の入力は、ラベル以上の仕事をする
予定に住所を入れる操作は、単なる文字入力ではありません。住所・ランドマーク・店名などの場所を追加すると、地図と天気情報が加わり、出発すべき時刻を知らせる通知が設定されます。そのうえで、移動時間を予定の継続時間に含めることもできます。
この機能まわりの混乱は、公開されている2つの制限でほぼ説明がつきます。
1つ目は距離です。目的地に到着するまで3時間以上かかる予定では、出発時刻の通知は送られません。遠出のときほど通知が欲しいのに出ないので、そこは自分で通知を設定する必要があります。
2つ目は更新です。場所を変更しても移動時間は自動では更新されません。会議の場所をA拠点からB拠点に変えたとき、古い見積もりが残ります。何も無い状態より悪いのは、正しそうに見えてしまうからです。
もう1つ、候補リストから選ばずにReturnキーで入力内容をそのまま使うと、地図と天気が付かないことがあります。地図が付かない予定には出発時刻の通知も設定されません。加えて、この機能は「プライバシーとセキュリティ」設定の位置情報サービスが有効であることが前提です。位置情報を切っている状態では、地図が付いていても出発時刻は計算されません。
逆に、出発時刻の通知がうるさいと感じる場合は、予定ごとに消して回る必要はありません。「通知」設定側で、すべての予定の出発時刻通知をまとめてオフにできます。在宅中心の働き方で外出が月に数回しかないなら、こちらのほうが合っています。なお、CalDAVやExchangeのカレンダーでは、複数の会議室で行う予定を登録できます。最初の会議室を入力したあとに、もう1つ入力する方式です。
照会カレンダーには、開かれていない設定がある
祝日、スポーツの日程、学校の行事、取引先が公開しているカレンダー。これらは照会(購読)という形で入ってきます。公式にも、照会カレンダーに表示される予定は提供元が制御していて、照会しているカレンダーは編集できないと書かれています。中身を直そうとするのは無駄な労力です。
変えられるのは、カレンダー名を選んで「情報を見る」を開いた先です。照会しているカレンダーの数だけ、一度は見ておく価値があります。
- 自動更新は、配信を確認する間隔です。祝日カレンダーを短い間隔で更新する必要はありませんし、仕事で共有されている配信なら短くしたい場合があります
- 通知を無視は、その配信から通知を出させない設定です。朝7時に試合開始を知らされる、という毎週のいらだちはここで終わります
- 場所は、この照会をiCloudに置くか「このMac内」に置くかの選択です。うるさい配信を1台に閉じ込められます
- 削除のチェックボックスは、提供元からの添付ファイルや通知を取り込むかどうかを決めます
これとは別に、アカウント側にも更新の設定があります。「カレンダー」>「設定」>「アカウント」の「カレンダーを更新」で、プッシュを選ぶと、同じアカウントを使っている端末で変更があったときや、そのアカウント内の共有カレンダーが変更されたときに自動で更新されます。
表示するカレンダーを、Macに決めさせる
手作業でカレンダーを表示・非表示するやり方は、切り替え忘れの日まで有効です。画面共有中に私用のカレンダーが出ていた、という事故はここから起きます。標準カレンダーは集中モードのフィルタに対応しているので、いま有効な集中モードに応じて表示するカレンダーを固定できます。
仕事用の集中モードでは仕事のカレンダーだけ、個人用ではそれ以外だけ、と決めておけば、表示は記憶ではなくモードに従います。集中モードが時刻や場所で自動的に切り替わる設定にしている場合にも効くので、手動の切り替えより信頼できます。
見落とされやすい表示の設定がもう2つあります。予定を独立したウインドウで開けること、そして表示する日数を変えられることです。週の表示を5日にすると、土日に働かない人の1週間が画面上で広くなります。同じ画面の広さで、平日の密度が上がって見えるという単純な効果です。
期日つきのタスクを同じ面に出す
期日のあるリマインダーをカレンダーに表示できます。この1つの変更で、「計画中は見えないToDo」と「どれだけ抱えているか知らないカレンダー」の分断が終わります。予定が入っていない日でも、期日つきのタスクが6件あるなら、それは空いている日ではありません。締め切りについて現実的な返事をするには、両方を1つの面で見るしかありません。
カレンダー側に表示されていても実体はリマインダーなので、そこで完了にすればどちらにも反映されます。二重管理にはなりません。
1か月ぶんを外に取り出す
忘れられがちですが、「先月は何をしていたか」という質問に答えられるのはこの機能です。
印刷のダイアログは名前から想像するより多機能です。「ファイル」>「プリント」で、日・週・月のレイアウトのほか、指定した期間内の予定一覧も選べます。含めるカレンダーも同じ画面で選べるので、特定の取引先のカレンダーだけを抜き出せます。印刷せずにPDFとして保存すれば、数秒で記録が1本できます。
対象が少ないときは別の経路があります。Shiftキーを押しながら複数の予定を選び、「ファイル」>「プリント」で「選択した予定」を選ぶ方法です。狙った予定だけの一覧が出るので、1つの質問に答える根拠を作るにはいちばん速いやり方です。
読むためではなく移すためなら、書き出しを使います。カレンダーを書き出すと標準的な形式のファイルになり、ほかのカレンダーソフトでも読めます。アカウントの構成を変える前や、担当を引き継ぐ前の備えとしても正しい手順です。
設定で届かなくなるところ
こうした一覧には必ず上限があります。隠さずに書いておきます。
入力が最初の上限です。クイック入力の欄に短い語句を打つことはできますが、1文をまるごと解釈する仕組みではなく、ほかのアプリの上に呼び出せる全体用の入力パネルもありません。作業中に決まった予定は、いったん画面を切り替えてから入れることになり、そこで消えます。話し言葉と音声で予定を入れられる方式との差が出るのはこの一点です。
日程調整が2つ目です。予約ページの仕組みは標準では用意されていません。社外の相手に候補を出すにはメールを往復させるか、別の日程調整サービスを併用することになります。カレンダーとは別に月額の契約がもう1つ増える理由がここにあります。
3つ目はアカウントをまたぐ重複の検知です。2つのアカウントをつないでも置き場所は2つのままで、互いに警告は出ません。仕事と私用の衝突は、画面に色として描かれるだけです。全部のアカウントを同時に持つMacのアプリだけが、この確認をできる場所になります。標準の機能との違いは他のカレンダーとの比較に並んでいます。
公開されている情報から読み取れること
ここまでの項目を並べ直すと、標準カレンダーで直せるものと直せないものがはっきり分かれます。通知、時間帯、照会カレンダーの更新、表示の切り替え、書き出し。ここまでは全部、設定で解決します。時間にすれば10分ほどの作業で、しかも一度やれば戻りません。
残るのは3つだけです。予定を入れる速さ、移動時間の自動計算、そして日程調整の窓口。この3つは設定では動かない構造的な差なので、乗り換えを検討する価値があるとすればここになります。1文をどう解釈して日時・場所・参加者を取り出すのかは予定の入れ方に、移動時間をどこまで自動で測り、どこから手で設定するのかは移動時間に整理されています。判断の前に、この3つが自分の1週間で何回起きているかを数えてください。回数が少ないなら、設定を直した標準カレンダーで十分に足ります。全体の機能の並びはできることで確認できます。
よくある質問
Macで作った予定の通知が鳴らないのはなぜですか?
新しい予定には初期状態で通知が設定されないためです。既定の通知は「カレンダー」>「設定」>「通知」で、アカウントごとに設定する必要があります。iCloudだけ設定しても、つないでいるGoogleやExchangeのアカウントには効きません。すでに個別の通知が入っている予定は既定では上書きされない点にも注意してください。
出張から帰ったら予定が数時間ずれていました。原因は何ですか?
時間帯のサポートが有効な状態で、カレンダーが移動先の時間帯のままになっていたか、その時間帯で予定を作成した可能性が高いです。別の時間帯で作った予定はその時間帯のままになり、それ以外は元の時刻に戻ります。毎日の習慣のような予定は「フローティング」にしておくと、どの時間帯で見ても動きません。
照会しているカレンダーの予定は編集できますか?
できません。照会カレンダーの中身は提供元が制御していて、編集は不可と公式に明記されています。変えられるのは自動更新の間隔、通知を無視するかどうか、iCloudに置くか「このMac内」に置くかで、いずれもカレンダー名から「情報を見る」を開いて設定します。
1か月分の予定を報告用に取り出すにはどうしますか?
「ファイル」>「プリント」で一覧のレイアウトを選び、期間と対象のカレンダーを指定して、PDFとして保存するのが手早い方法です。特定の予定だけが必要なら、Shiftキーで複数選択してから「選択した予定」を選びます。ほかのソフトへ移す目的なら、印刷ではなく書き出しを使って標準形式のファイルにしてください。