カレンダータスク管理一体アプリの選び方|予定とやることを一画面で見る
カレンダータスク管理一体アプリを探している人の多くは、予定表そのものに不満があるわけではない。会議はきちんと入っているし、やることも別のアプリに書き出してある。それなのに週の終わりになると、自分でやるつもりだった仕事だけが手つかずで残っている。この記事では、予定とやることを一画面に置くとその状態がなぜ変わるのか、一体型と呼ばれるアプリがどの形に分かれているのか、そして次に何を決めればよいのかを順に整理する。
空いているはずの午後が、実はもう埋まっている理由
カレンダーに書かれているのは、他人との約束である。やることリストに書かれているのは、自分との約束である。守られやすいのは前者だけで、その差は意思の強さではなく、画面の作りから生まれている。
木曜の午後が白いまま表示されていて、同僚から15時に打ち合わせをしたいと言われたとする。画面には何も反対する材料がないので、返事は「空いています」になる。本当はその時間に3時間かかる資料の見直しを当てるつもりだったのだが、その予定はカレンダーが読める場所には一度も書かれていない。
ここで起きているのは、リストの並べ替えでは直らない構造上の問題である。開始時刻と所要時間を持たない仕事は、カレンダー上で何の場所も占めない。場所を占めない仕事は、場所を占めるものに押し出されていく。これが1週間続くと、押し出された仕事だけがリストに溜まり、カレンダーは他人からの依頼で気持ちよく埋まっていく。
結果は2つの形で表れる。1つは、残り時間の見積もりができなくなること。カレンダーが示す空き時間は、実際に使える時間ではないからである。もう1つは、やることリストが計画ではなく不安の置き場になること。何度も見返すのに手が動かないのは、見返しても今日の形が変わらないためである。予定とやることを一画面に置く目的は、見た目を整えることではない。書かれていない仕事にも時間という値札を付けて、枠を与えるか、意図的に捨てるかのどちらかを選ばせることにある。
一体型のアプリが増えている背景
時間の使い方を可視化する道具が増えている背景には、そもそも使える時間に上限が引かれたという事情がある。働き方改革関連法により、時間外労働には罰則付きの上限が設けられた。
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできません。 出典: 厚生労働省
上限があるということは、はみ出した分を夜に回して帳尻を合わせる運用が成り立たなくなったということでもある。会議も、移動も、書かれていない自分の作業も、同じ有限の枠を奪い合っている。
同じ時期に、オンライン会議が日常の道具になった。移動がいらない会議は入れるコストが下がるため、30分単位の予定が以前より簡単に積み上がる。会議と会議の間隔は詰まり、残った隙間は作業を始めるには短すぎる長さになる。予定表とやることリストが別々のままだと、この詰まり方は誰の目にも見えない。カレンダーは埋まって見えず、リストは減らない。一体型のアプリが注目されているのは、目新しい機能が出たからではなく、両方を同じ画面に置かないと今の働き方の実態が測れなくなったからである。
一体型は大きく3つの形に分かれる
「カレンダーとタスク管理が一体」と書かれていても、中身は同じではない。機能の数を比べるより、どの形なのかを見分けるほうが役に立つ。予定どおりに進まなかった日に何が起きるかは、形で決まるからである。
| 形 | やることの置き場所 | カレンダー側でできること | 崩れやすい場面 |
|---|---|---|---|
| 重ねて表示する形 | OS標準のリマインダーやタスクの保管場所 | 期限の日に表示して、完了の印を付ける | 所要時間を持てないので時間を確保できない |
| ドラッグで時間を与える形 | タスクアプリ側。カレンダーには写して表示 | グリッドに落として本物のブロックにする | 予定が動いたとき、ブロックとタスクがずれる |
| 計画ツールが主役の形 | 計画ツールの中 | 計画ツールから送られたブロックを表示する | カレンダーが第2のシステムの出力先になる |
重ねて表示する形
macOSではカレンダーとリマインダーが別のアプリとして用意されており、近年のバージョンでは日時が設定されたリマインダーをカレンダー側の画面に出せる。Googleカレンダーも、ToDoリストを同じ画面に重ねて表示できる。追加の費用がかからず、同期の設定も増えないのが利点である。
限界もはっきりしている。表示されるのはその日に付いた印であって、時間の幅ではない。印が9個並んでいて会議が1件もない日は、他人の目にも自分の目にも「空いている日」に見える。
ドラッグで時間を与える形
Mac向けのカレンダーアプリの中には、OS標準のリマインダーや外部のタスクサービスを横の欄に読み込み、そこからグリッドへドラッグできるものがある。この操作ひとつが価値の中心で、やるつもりだったことが所要時間を持った瞬間に、午後を守る力を持つ。
問題になりやすいのは同期の扱いである。同じ仕事が2か所に存在すると、ブロックを動かしたときにタスク側はどうなるのか、先に完了にしたらブロックは消えるのか、といった判断を人ではなくソフト側が引き受ける必要がある。ここは製品ごとの差が大きいので、習慣を預ける前に確かめておきたい。
計画ツールが主役の形
1日の計画作りを中心に据え、カレンダーを表示面として扱う作り方もある。自分で進める仕事が多い人には強い一方、他人の会議が1日の大半を占める人には重くなる。外から届いた招待をいったん計画ツールに取り込まないと意味を持たないためである。
選ぶ前に確かめておく4つの点
機能一覧は判断材料になりにくい。実際の1週間に耐えるかどうかを決めるのは、次の4点である。
1つ目は、やることが時間の幅を持てるかどうか。14時にドラッグしたときに、開始と終了を持つ予定として他のソフトからも見える状態になるなら合格である。日付の上端に貼り付く印にしかならないなら、その午後は相変わらず空きとして扱われる。
2つ目は、終わらなかったものが自分で動くかどうか。予定は崩れる前提で選ぶべきで、次の空き枠へ送られるか、遅れとして見える場所に残るかのどちらかであればよい。避けたいのは、二度と見ない過去の日付に静かに残る作りである。
3つ目は、入れるまでの操作数である。細かい話に見えるが、6週間後もその仕組みが使われているかを一番よく予測するのはこの数字である。1文で入力できるものと、フォームを埋めるものでは、日々の負担がまったく違う。候補が決まったら、各アプリの予定の入れ方や使い方にあたる説明を先に読んで、最短経路が何回の操作なのかを比べておきたい。
4つ目は、自分の作業ブロックが共有相手に見えないかどうか。共有された仕事用カレンダーに集中時間を書くと、閲覧できる全員に内容が伝わる。別のカレンダーに分けるか、タイトルを出さずに予定ありとだけ表示するか、どちらかの逃げ道があるかを確認しておく。逃げ道がない仕組みは、数週間で使われなくなる。
やることリストが数えていない時間がある
予定とやることを一画面に並べても、まだ抜け落ちる時間がある。次の予定に着くまでの移動と、頭の切り替えである。どちらも会議ではなくタスクでもないので、どちらのリストにも載らない。
14時に始まる社外の打ち合わせは、14時に始まっているわけではない。ノートパソコンを閉じた時点、たとえば13時20分から拘束が始まっている。手前に空いた40分は、まとまった作業を始めるには短すぎるので浅い作業に消える。往復で90分かかる訪問が週に2回あれば、それだけで半日近い時間がどこにも記録されないまま失われている。
仕事の種類をまたぐときの切り替えにも同じことが起きる。通話のあとに文章を書く仕事へ移ると、頭が戻るまでに数分から場合によっては20分ほどかかる。移動や前後の余白を独立した要素として扱うカレンダーであれば、この時間は画面上に姿を現す。実際にどう表現されるのかは移動時間の説明が参考になる。扱わないカレンダーは、理屈のうえでは成立するが実際には回らない1日を、平然と表示し続ける。
終日の帯は、ブロックの代わりにならない
その日にやることを、画面上部の終日の帯として並べる運用はよく見かける。すぐ書けて目にも入るが、時間を守る力はほとんどない。帯は1時間も消費しないので、その下の午後は白いままで、他の人が予約できる状態が続く。
終日の帯にも本来の用途はある。締め切り、出張の日、休暇、公開日といった、1日全体に関わる情報である。できないのは、特定の時間帯を守ることだ。帯だけで組んだ計画は、2週目に誰かが真ん中を予約した時点で崩れる。
ブロックを置くほうは、始める前に手間がかかる。「水曜の午前に報告書へ90分」と決めるには見積もりが要るし、見積もりは外れると気まずい。その気まずさは仕組みが働いている証拠でもある。外れない見積もりしか出さない計画は、何も約束していない計画と同じである。現実的な折衷案は、ずれると週全体が壊れる仕事だけを2件から3件ブロックし、残りはリストに置いておくこと。全部をブロックで埋めると色の壁になり、数日で見なくなる。
10日間で見極める試し方
道具を替える前に、静かな週ではなく普通の週で試す。会議が実際に入る週でなければ意味がない。
手順は単純である。いま使っているやることリストはそのままにして、10営業日のあいだ、その週に終わらせたい項目にだけ開始時刻と所要時間を与える。残りは触らない。1日の終わりに記録するのは2つの数字だけでよい。予定どおり終わったブロックの数と、他のものに押し出されたブロックの数である。
多くが予定どおり終わるなら、詰まっていたのは可視化だけだったことになり、標準のリマインダー表示で足りる可能性が高い。会議に押し出されるなら、問題はソフトではなく予約の受け方にあり、直すべきは「どの時間帯を開けておくか」の決め方である。別のタスクに押し出されるなら、見積もりが小さすぎるだけなので、1週間だけ所要時間を倍にして測り直すほうが、比較記事を読むより早く答えが出る。
候補を絞り込むのはその後でよい。この段階まで来ると、他のカレンダーとの比較のような一覧が初めて役に立つ。聞きたいことが「やることに1操作で所要時間を与えられるか」「予定が動いたときに同期が保たれるか」「共有カレンダーに漏れないか」という具体的な形になっているためである。できることにあたる機能の説明も、試す前に読むと買う理由を探す読み方になり、試したあとに読むと選ぶための読み方になる。
公開されている情報から読み取れること
Mac向けのカレンダーアプリの説明ページを横に並べると、各社が何を課題だと考えているかが読み取れる。近年目立つのは入力の摩擦を減らす方向で、フォームを埋めさせずに話し言葉と音声で予定を入れられることを前面に出す製品が増えている。これは思いつきの段階で予定が記録されなければ、そもそも一画面に並べる意味がないという判断である。
もう1つの傾向は、移動時間を予定の付属物として扱う設計である。会議の前後に手作業で別の予定を作る運用は続かないことが分かっているため、予定に紐づく形で自動的に確保する作りが増えている。この2つは、やることリスト側の機能ではなくカレンダー側の機能であり、一体型を選ぶときの実質的な差になりやすい。
料金の考え方も分かれている。月額で払い続ける形と、買い切りの形の両方が存在するので、購入にあたるページで支払い方と、更新が止まったときに何が使えなくなるのかを確認しておくとよい。既存のカレンダーとの同期範囲や、対応するmacOSのバージョンについては、各社のよくある質問に該当する説明にまとまっていることが多い。判断の順序としては、まず10日間の記録で自分の詰まりどころを特定し、そのうえで機能表を読むほうが、乗り換えの失敗を減らせる。
よくある質問
標準のリマインダー表示だけで足りますか?
期限を忘れることが主な問題なら足ります。足りなくなるのは、時間の総量が問題になっている場合です。リマインダーは日付に印を付けるだけで時間を消費しないため、予定を入れようとする人の目にはその日が空いて見えます。費用がかからないので、まず2週間試してから有料の道具を検討すると無駄がありません。
やることは会議と同じカレンダーに入れるべきですか?
同じ画面に表示しつつ、別のカレンダーに分けるのが扱いやすい形です。計画のときは1日の実像が見え、共有相手には仕事の予定だけを見せられます。多くのMac用カレンダーアプリは複数のカレンダーを重ねて表示でき、共有する範囲をカレンダー単位で選べます。
1日のうちどれくらいをブロックで埋めればよいですか?
すべて埋めると色の壁になり、数日で見なくなります。ずれると週全体が崩れる仕事だけを1日に2件から3件ほど確保し、残りはリストに置いておく形が続きやすいです。会議や割り込みは入ってくるので、埋めない時間をあらかじめ残しておくことが前提になります。
予定が動いたとき、紐づいたやることはどうなりますか?
製品によって動きが違うため、試用中に確かめておきたい部分です。次の空き枠へ送られるか、遅れとして見える場所に残るかであれば問題ありません。避けたいのは、過ぎた日付に静かに残って二度と目に入らない作りで、この状態が数回続くと仕組み全体が信用されなくなります。