日程の予約ツール|相手が自分で枠を選べるようにする

打ち合わせを1件決めるために、候補日を3つ出して、返信を待って、片方が埋まって、また候補を出す。この往復そのものが仕事だと感じている人は少なくありません。日程の予約ツールは、この往復を「相手が空いている枠を自分で選ぶ」形に置き換える道具です。ここでは、どの型のツールがどの詰まりを解くのか、無料で足りるのはどこまでか、導入前に決めておく設定は何かを順に整理します。

日程の予約ツールが代わりにやっていること

予約ツールの本体は、予約ページという1枚のURLです。そのページには自分の空き時間だけが並び、相手が枠をひとつ押すと、双方のカレンダーに予定が入り、確認メールが届きます。

置き換わっているのは、次の4つの手作業です。1つ目は空き時間を探す作業。2つ目は候補日を文章にしてメールに書く作業。3つ目は返事が来るまで、その候補枠を他に使わずに空けておく作業。4つ目は確定した予定をカレンダーに転記して、会議のリンクを添えて送る作業。

このうち3つ目が、実は最も費用の大きい作業です。候補を3つ出した状態は、その3枠が仮押さえで塞がっている状態に近く、返信が翌日になれば1日ぶん予定を組めません。予約ツールを入れる理由を「メールを書く手間が減る」だけで説明すると、この一番大きな効果が抜け落ちます。

もうひとつ見落としやすいのが、相手側の手間です。候補から選ぶ作業は、相手にとっても自分のカレンダーを開いて突き合わせる作業です。予約ページなら、空いている枠しか表示されないので、突き合わせが不要になります。社外の相手に送る場合、ここが返信の速さに直結します。

予約ツールの3つの型と、選び分けの基準

日程の予約ツールとひとくちに言っても、作られた目的が違う3つの型があります。おすすめの型は、用途ではなく「誰と何件の予約を取るか」で変わります。

  • 予約ページ単機能型。1本のリンクを配って、面談や相談の枠を埋めてもらう型です。設定項目が少なく、当日から使えます。
  • カレンダー内蔵型。Googleカレンダーの予約スケジュールのように、すでに使っているカレンダー側に予約ページの機能が付いている型です。新しいアカウントを増やさずに済みます。
  • 営業支援一体型。予約に加えて、問い合わせフォーム、事前アンケート、担当者の振り分け、顧客管理システムへの登録までをつなぐ型です。

連携できるカレンダーの数や、予約が入ったあとの追いかけ方が、比較のときの分かれ目になります。実際、ツール紹介の記事でも、この2点が特徴として並べられています。

世界中10万社で導入実績のあるスケジューリングシステム。GoogleカレンダーやOutlookなど最大6つのカレンダーとリアルタイムに連携し、空き状況に基づいた自動スケジューリングを実現。招待リンクの共有やWeb埋め込みにも対応し、ミーティング設定の手間を削減できる。 日程調整の他にも、日時が近づいたら自動でリマインダーしたり、顧客から送られてきたメールからスケジュールリンクを自動で見つけて共有したり、フォローアップ支援機能も豊富。 出典: aspicjapan.org

選び分けの目安はこうなります。月に数件の面談なら、カレンダー内蔵型で足ります。採用や相談窓口のように種類の違う予約が並ぶなら、予約ページを複数持てる単機能型が向きます。予約が売上の入口になっているなら、営業支援一体型の費用は回収できる範囲に入ります。

無料で使える範囲と、費用が発生する境目

費用の話は、月額の数字を比べる前に「無料の枠がどこで終わるか」を見たほうが早く決まります。境目はおおむね同じ位置にあります。

Calendlyの公開されている料金では、無料プランで使えるのはイベントの種類が1種類、連携できるカレンダーが1つまでで、予約ページの見た目は変更できます。有料のStandardは1席あたり月額10ドルで、イベントの種類が無制限になり、複数のカレンダー連携、リマインダー、StripeとPayPalによる決済が加わります。チーム向けのTeamsは1席あたり月額16ドルで、担当者を順番に割り当てる機能が付きます。Enterpriseは年額15,000ドルから、50席以上が前提と記載されています。

Googleカレンダーの予約スケジュールにも同じ構造があります。ヘルプには、予約スケジュールの機能の一部を使うには、対象となるGoogle WorkspaceのサブスクリプションかGoogle Oneのメンバーシップが必要だと書かれています。つまり、予約ページを1枚作って面談の枠を埋めるところまでは追加費用なしで届き、予約ページを複数持つことや決済の受け取りが有料側に置かれている、という見方になります。

境目の見極め方は3つです。1つ目、予約の種類はいくつ必要か。30分の相談と60分の商談を別ページにしたいなら、無料枠を超えます。2つ目、連携するカレンダーは1つで足りるか。仕事用と個人用の両方の空きを見たいなら、超えます。3つ目、予約の時点で支払いを受け取るか。受け取るなら決済連携が要ります。この3つに当てはまらなければ、費用をかけずに始められます。

比較のときに見るポイント

比較表を作るなら、機能名を並べるより、運用で困る箇所だけを並べたほうが判断できます。

見るポイント なぜ効くか
予約ページを何枚持てるか 面談と商談で長さや案内文が変わるため
重複の確認先を増やせるか 別アカウントの予定を見ないと二重予約になる
準備時間を入れられるか 予約が連続すると移動と準備が消える
1日あたりの上限 埋まりすぎると作業時間が残らない
決済とキャンセル規定 無断キャンセルの損を抑える
費用の形 席数課金か、カレンダーに含まれるか

このうち、見落とされやすいのは「重複の確認先」と「準備時間」です。予約ページは自分のカレンダーの空きを見て枠を出しますが、どのカレンダーを見るかは設定で決まります。個人用の予定を確認先に入れていなければ、私用の時間の上に商談が入ります。

導入前に決めておく設定

Googleカレンダーの予約スケジュールのヘルプには、設定項目が整理されて並んでいます。どのツールを選ぶ場合でも、事前に決めておく内容はほぼ同じです。

  • 予約の長さ。既定の候補から選ぶか、独自の長さを設定します。
  • 通常の空き時間。予約を受ける曜日、時間帯、タイムゾーンを決めます。
  • 予約受付期間。何日前から受け付けるか、何時間前で締め切るかを決めます。
  • 臨時の空き時間。祝日や出張の日だけ空きを変えます。
  • 準備時間。予約と予約の間に挟む時間です。
  • 1日あたりの予約件数の上限。
  • ゲストの権限。予約した人が他の参加者を招待できるかを決めます。
  • 確認先のカレンダー。重複を避けるため、空き情報を確認するカレンダーを指定します。共同主催者を置く場合、既定では共同主催者の空き時間は確認されない点が明記されています。

予約ページ側にも決めることがあります。会議の方法はGoogle Meet、対面、電話、後で指定から選びます。予約フォームでは姓名とメールアドレスが必須項目で、項目は追加できます。スパム目的の予約を防ぐために、メール確認を必須にする設定も用意されています。確認メールとリマインダーは最大5件まで送れますが、リマインダーの文面は編集できません。

なお、予約スケジュールの作成には対応するウェブブラウザが入ったパソコンが必要で、AndroidやiPhone、iPadのカレンダーアプリからは作成できないとヘルプに記載されています。出先で作ろうとして詰まる箇所なので、先に押さえておく価値があります。

得られるものと、代わりに引き受けるもの

メリットだけを並べると導入後に戻したくなるので、両方を見ておきます。

得られるものは3つです。1つ目、往復のやりとりがなくなることで、確定までの日数が短くなります。候補を出して返信を待つ工程が消えるためで、社外の相手ほど効きます。2つ目、仮押さえの枠が発生しません。候補を3つ出して返事を待つ間、その3枠を他に使えなかった時間が戻ります。3つ目、確定と同時に会議のリンクと確認メールが揃うため、転記の抜けがなくなります。

代わりに引き受けるものも3つあります。1つ目、カレンダーを正確に保つ責任が増えます。予約ページは空いている枠を機械的に出すので、手入力を漏らした時間帯にも予約が入ります。2つ目、相手に操作をお願いする形になります。相手が目上の立場である場合や、はじめての取引先である場合は、候補日を文章で出したほうが収まる場面もあります。3つ目、公開する空き時間の設計が要ります。何も制限せずに公開すると、朝一番と夕方の締切前に予約が並びます。

3つ目への対処が、受付期間と1日あたりの上限です。この2つを設定しないまま公開することが、導入後に「かえって忙しくなった」と感じる最大の原因になります。

予約が入ったあとに崩れる場所

予約ツールを入れても、カレンダーの側が整っていないと効果が半分になります。崩れ方は決まっています。

1つ目は移動です。14時の対面商談を60分の枠として置くと、その日は1時間の予定に見えます。往復の移動を含めれば実際には3時間近く消えているのに、カレンダーは何も言いません。予約枠の前後に移動を置けるかどうかで、1日の見え方が変わります。

2つ目は入力の手間です。予約ページから入る予定は自動で入りますが、電話で決まった予定、廊下で決まった予定、家族の用事は手で入れます。ここが面倒なままだと、カレンダーに欠けが生まれ、予約ページが出す空き時間が実際より多くなります。予約ツールの正確さは、手入力の予定がどれだけ漏れなく入っているかに依存します。

3つ目は確認先の抜けです。仕事用と個人用のアカウントを分けている場合、予約ページの確認先に両方を入れないと、片方の予定が見えないまま枠が出ます。

カレンダー側で受け止める部分

予約ページが埋めた枠を、手元のカレンダーがどこまで受け止められるかが、実務での差になります。役割分担で考えると整理しやすくなります。

予約ページの担当は、空き時間の提示と、相手の操作による確定です。カレンダーの担当は、確定した予定を含めた1日の組み立てです。後者の精度を上げる要素は3つあります。複数アカウントを1つの画面で見られること、移動時間を予定に付けられること、そして手入力が速いことです。macOS向けのカレンダーアプリで何ができるかはできることに整理されています。

手入力の速さは、方式で差が出ます。ダイアログを開いて日付を選ぶ方式は、1件あたりの手数が毎回同じだけかかります。文章のまま書いて予定に変える方式なら、1件が1動作で済みます。話し言葉と音声で予定を入れられる形であれば、会議室を出た直後のような、両手がふさがっている場面でも取りこぼしが減ります。入力の具体的な手順は予定の入れ方に載っています。

移動の扱いは移動時間にまとめてあります。予約枠の前後に移動を置くと、その日に入れられる予約件数が現実的な数に落ちます。件数が減るのは損ではなく、遅刻と持ち帰り作業が減るという意味です。予約ページ側の機能とカレンダー側の機能のどちらでどこまで足りるかは他のカレンダーとの比較で並べています。費用の形を確認する場合は購入を、設定の細かい疑問はよくある質問を見ると早いです。

よくある質問

日程の予約ツールは無料のままで実務に使えますか?

月に数件の面談で、予約の種類が1つ、連携するカレンダーも1つで足りるなら、無料の範囲で運用できます。Calendlyの無料プランはイベントの種類が1種類とカレンダー連携1つ、Googleカレンダーの予約スケジュールも基本的な予約ページは追加費用なしで作れます。種類を増やす、複数カレンダーの空きを見る、決済を受けるのいずれかが必要になった時点が有料の境目です。

Googleカレンダーの予約スケジュールと専用ツールはどちらを選べばよいですか?

すでにGoogleカレンダーで予定を管理していて、予約ページが1枚で足りるなら、内蔵の予約スケジュールから始めるのが早いです。予約の種類を分けたい、担当者を順番に割り当てたい、問い合わせフォームから予約までをつなぎたい場合は専用ツールの領域になります。なお予約スケジュールの一部機能はWorkspaceのサブスクリプションかGoogle Oneが前提です。

予約ページを使うと二重予約は起きなくなりますか?

確認先に指定したカレンダーの予定は避けられますが、指定していないカレンダーの予定は避けられません。仕事用と個人用を分けている場合は両方を確認先に入れる必要があります。共同主催者を置く場合、既定では共同主催者の空き時間が確認されない点もヘルプに明記されているため、設定時に確認しておくと安全です。

予約ツールを入れる前に決めておくべきことは何ですか?

予約の長さ、受け付ける曜日と時間帯、何日前から何時間前までを受け付けるか、予約と予約の間に挟む準備時間、1日あたりの上限、確認先のカレンダー、会議の方法の7つです。ここを決めずに公開すると、移動時間のない連続予約や、私用の時間への予約が入ります。予約フォームの必須項目と、メール確認を使うかも先に決めておくと手戻りがありません。

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