カレンダーのインポート|取り込み先と形式を先に決める手順

カレンダーのインポートで手が止まるのは、操作そのものではなく、その前に決めていないことがあるからです。どのカレンダーを正とするか、そのファイルは一度きりのものか更新され続けるものか、この2つを決めてから取りかかると、あとから1件ずつ消す作業が要らなくなります。

Googleカレンダーでicsをインポートするとは、外部で作成された予定データをまとめて取り込む機能を指します。手入力では時間がかかる予定移行も、一括反映で効率化できます。 出典: saposuke.jp

この記事では、インポートという言葉が指している作業の切り分け、形式ごとの違い、アプリごとの扱いの差、そして重複が起きる条件の順に整理します。

インポートという言葉が指している3つの別の作業

画面の上ではどれも「カレンダーを追加する」と説明されますが、中身は3つに分かれます。混ざったまま進めると、どちらの結果になったのか判断できなくなります。

1つ目はファイルの取り込みです。書き出されたファイルを一度だけ読み込み、予定を自分のカレンダーの中身として複製します。読み込んだあとの予定は自由に編集できますが、元のカレンダーが変わっても追従しません。

2つ目は照会です。Mac標準のカレンダーでは「照会」、iPhoneでは「照会するカレンダーを追加」、Googleカレンダーでは URL で追加する形になります。ファイルではなく URL を登録し、アプリが自分の周期で取り直します。中身は常に新しくなりますが、読むだけで編集はできません。

3つ目はアカウントの追加です。Googleアカウントや Microsoft Exchange のアカウントを登録すると、そのサーバー上のカレンダーを双方向で読み書きできます。取り込みでも照会でもなく、同じデータを別の画面から見ている状態になります。

判断の順序は短くまとめられます。元のカレンダーが今後も更新されるなら照会、そのカレンダーが役目を終えて予定だけ移したいなら取り込み、自分のアカウントとして持ち続けるならアカウントの追加です。同じ相手に照会と取り込みの両方を行うと、同じ予定が2つ並ぶ原因になります。

取り込み先を先に決めておく

取り込みの操作で一番効くのは、読み込むボタンを押す前に、専用のカレンダーを新しく作っておくことです。

Googleカレンダーの読み込み手順には、追加先のカレンダーを選ぶ欄があります。Googleカレンダーヘルプは、初期の状態では予定がメインのカレンダーに取り込まれると説明しています。Mac標準のカレンダーでも、ファイルを選んだあとに追加先を選ぶダイアログが出ます。どちらもここが初期のままだと、中身が違っていたときに、既にあった予定と混ざった状態から取り込んだものだけを選び出すことになります。

新しいカレンダーを1つ作り、そこへ読み込むと、次の3つが可能になります。

  • 表示のオンとオフを切り替えて、取り込んだ中身だけを見比べられる
  • 中身が違っていたら、そのカレンダーを削除して元の状態へ戻せる
  • 取り込んだ予定を、あとから色で区別できる

件数が多いときほど差が出ます。300件の予定をメインのカレンダーへ入れてしまうと、検索で拾って消す作業だけで数時間かかることがあります。カレンダーを1つ作る手間は10秒ほどで、取り消せない作業を取り消せる作業に変えられます。

もう1つ決めておくとよいのは、その予定群を誰が見るかです。他の人が空き時間を確認する対象になるカレンダーへ入れるのか、自分だけが見るカレンダーへ入れるのかで、あとで動かす手間が変わります。

ファイルの形式で決まること

受け取ったファイルの拡張子を見ると、その先の作業がほぼ決まります。

ICS は iCalendar という形式で、RFC 5545 として標準化されています。中身はテキストで、BEGIN:VCALENDAR の行で始まり、予定1件ごとに VEVENT の塊が並び、END:VCALENDAR で終わります。件名、開始と終了の時刻、場所、説明、繰り返しの規則、そして予定を識別する番号を持てます。

CSV は表形式です。列の並びで日付や件名を表しますが、繰り返しの規則を表す列がありません。Googleカレンダーヘルプは、CSV から繰り返しの予定を読み込むと、そのようには表示されず、単発の予定が並ぶ形になると説明しています。予定の識別番号を持つ列もないため、読み込むたびに新しい予定として扱われます。

ICBU は Mac標準のカレンダーが書き出すアーカイブです。Appleのカレンダーユーザガイドは、このファイルの読み込みについて、現在のカレンダーの情報とデータのすべてを置き換えると警告しています。追加ではなく復元の操作です。数件だけ取り出したいときに開くと、他のカレンダーも一緒に入れ替わります。

同じガイドは、書き出し側の対応も示しています。カレンダー1つを選んで「ファイル」から「書き出す」を選ぶと ICS になり、単一のカレンダーはこの形式にしか書き出せません。すべてのカレンダーをまとめるときは「カレンダーアーカイブ」を選び、ICBU になります。手元の控えを残す目的なら ICBU、予定を他のアプリへ渡す目的なら ICS という切り分けになります。

Mac標準のカレンダーに取り込む手順

Appleのガイドは2つの経路を示しています。書き出したファイルをカレンダーのウインドウへドラッグする方法と、「ファイル」から「読み込む」を選んでファイルを指定する方法です。どちらでも次に追加先のカレンダーを選ぶ画面になり、選んで「OK」を押します。

ここで知っておくとよい注意が、同じガイドに書かれています。カレンダーファイルを読み込むと、予定に付いていた以前のカスタムカラーが外れます。Mac標準のカレンダーでは色はカレンダーに属していて、予定1件ごとの色はファイルの中を移動できません。元のアプリで色に意味を持たせていた場合、その意味は取り込み先で作り直すことになります。実際には、色ごとにカレンダーを分けて別々に読み込む形になります。

アーカイブを読み込む場合は、同じ「読み込む」からアーカイブファイルを選びます。ガイドはここでも、すべてのカレンダーの以前のカスタムカラーが外れると補足しています。置き換えの操作なので、読み込む前に現在の状態を ICBU で書き出しておくと戻せます。

ガイドはもう1点、アカウントとの関係にも触れています。iCloud や Exchange のようなアカウントに入っているカレンダーは、提供元のサーバーに保存され、そこで定期的に更新されるため、手作業での控えと復元や、他の端末への移動が要らなくなります。書き出しと読み込みが問題になるのは、主に「このMac内」にあるカレンダーと、互いに連携していないサービス間の移動です。

Googleカレンダーに取り込むときに落ちるもの

Googleカレンダーの読み込みは、設定の「インポート / エクスポート」からファイルを選び、追加先のカレンダーを選んで実行します。ICS と CSV のどちらも扱えます。

先に押さえておくべきなのは、取り込まれないものです。Googleカレンダーヘルプは、予定を読み込むとき、その予定のゲストと会議のデータは取り込まれないと明記しています。招待した相手、出欠の返事、ビデオ会議のリンクは移動しません。日時と件名は並ぶのに、誰と会う予定だったのかが分からない状態になります。会議の履歴を移す目的なら、この点を先に確認しておく価値があります。

ZIP ファイルを渡されたときの扱いも決まっています。ヘルプは、ZIP を開くとカレンダーごとの ICS ファイルが入っているので、個々のファイルを取り出して1つずつ読み込むよう案内しています。ZIP をそのまま指定しても進みません。

CSV の繰り返しの予定が単発の予定の並びになることは前に触れましたが、影響の大きさは件数で変わります。毎週の定例を1年間まとめて CSV で入れると、52件の単発の予定になります。あとで時間を変えたくなったとき、繰り返しの予定なら1回の操作で済むものが、52回の操作になります。定例の予定は CSV ではなく ICS で移すか、取り込み先で作り直すほうが後が軽くなります。

Outlookは同じファイルでも扱いが違う

同じ ICS ファイルでも、Outlook では前提が変わります。Microsoftの予定表の共有に関するページは、新しい Outlook for Windows での ICS ファイルの読み込みが、Microsoft 365 Exchange のアカウントでのみ対応していると説明しています。個人用のアカウントで同じ操作を探しても見つかりません。

代わりに Outlook が持っているのは、公開する側の機能です。同じページは、予定表を公開すると HTML のリンクと ICS のリンクの2つが作られ、ブラウザで見せたいときは HTML のリンク、購読させたいときは ICS のリンクを使うと説明しています。操作は「表示」タブの予定表の設定から共有の予定表へ進み、公開する予定表と権限を選んで実行します。公開をやめるときは同じ画面で解除します。

この ICS のリンクが実務では効きます。Outlook側の予定表を他のアプリから照会できる形にできるので、ファイルを毎回書き出して読み込む作業が不要になります。権限は3段階で、空き時間だけを見せるもの、件名と場所まで見せるもの、すべての詳細を見せるものが選べます。個人の端末で見る予定表なら、空き時間だけで足りる場面が多くあります。

重複するかどうかを決めているのは識別番号

同じ予定が2つ並ぶかどうかは、運や相性ではなく、ファイルの中の識別番号で決まります。

RFC 5545 は、予定を識別する UID について、世界で一意な識別子であることを求め、ファイルを作る側がその一意性を保証しなければならないと定めています。繰り返しの予定では、すべての回が同じ UID を共有し、個々の回は別の項目で指し示されます。取り込む側は、この番号が一致するかどうかで同じ予定かを判断します。

Googleカレンダーの API は、取り込みの動作をこの番号で説明しています。取り込みは既存の予定の複製をカレンダーへ追加する操作であり、iCalUID を渡すことが求められます。番号が安定していれば、同じファイルを2回読み込んでも予定は作り直されません。書き出すたびに番号が変わるシステムから受け取ったファイルは、2回目の読み込みで別の予定群として並びます。

同じ規格には、もう1つ知っておくと安心できる決まりがあります。METHOD という項目が入っていない iCalendar は、予定のやりとりではなく、カレンダーの内容の写しを運んでいるだけと見なされます。アプリから書き出したファイルにはこの項目が入らないため、読み込んでも、そこに並んでいる相手へ招待が飛ぶことはありません。

重複が起きる条件は4つに絞れます。書き出すたびに識別番号が変わるファイルを2回読み込んだとき、照会しているカレンダーと同じ内容を別途読み込んだとき、識別番号を持たない CSV を重ねて読み込んだとき、そして試行のあいだに複数のカレンダーへ同じファイルを読み込んだときです。最後の1つは予定そのものが重複しているわけではないので、片方のカレンダーを非表示にすれば解消します。

取り込みの前後に残る作業

取り込みが終わっても、週の形は整いません。移ってきた予定には移動時間が付いておらず、会議のリンクも落ちています。ここから先は、取り込みの機能ではなく、日々の入力と表示の設計の話になります。

移動時間は、予定と予定のあいだに何分残っているかを見えるようにする項目です。Mac用のカレンダーアプリの中には、出発地から目的地までの実際の所要時間を計算してカレンダー上に確保するものがあります。取り込んだ直後の週は移動が0分として並ぶので、ここを埋め直す作業が最初の仕事になります。詳しくは移動時間にまとめています。

予定の入力そのものを軽くしておくことも、次の取り込みを減らします。話し言葉のまま打つか、話しかけるだけで予定になる入力方式なら、他のシステムで作ってから移す手順を挟まずに済みます。入力の形は予定の入れ方で扱っています。

複数のアカウントを1つの週として見る設計にしておくと、照会と取り込みの使い分けも維持しやすくなります。アカウントごとに画面を切り替える作り方だと、どの経路で入った予定なのかが見えなくなり、重複に気づくのが遅れます。表示の設計についてはできること、他のアプリとの違いは他のカレンダーとの比較で整理しています。

よくある質問

同じICSファイルを2回読み込むと予定が重複しますか?

書き出した側が識別番号を変えていなければ、同じ予定と判断されて作り直されません。書き出すたびに番号が変わるシステムの場合は、2回目で別の予定群として並びます。使い捨てのカレンダーへ先に読み込んで確かめると、数十秒で判断できます。

取り込むと予定の色が消えるのはなぜですか?

Appleのガイドは、カレンダーファイルを読み込むと予定の以前のカスタムカラーが外れると明記しています。色はカレンダーに属する情報で、ファイルの中を移動できないためです。色で分けていた区別を残したいときは、色ごとにカレンダーを分けて別々に読み込みます。

ICSとICBUはどう使い分けますか?

ICS はカレンダー1つの予定を運び、選んだカレンダーへ追加します。ICBU はすべてのカレンダーのアーカイブで、読み込むと現在の情報とデータのすべてが置き換わります。予定を移すなら ICS、手元の控えや機器の入れ替えなら ICBU という分け方になります。

招待した相手や会議のリンクも一緒に移せますか?

移せません。Googleカレンダーヘルプは、予定を読み込むときゲストと会議のデータは取り込まれないと説明しています。日時と件名は並びますが、出欠の返事やビデオ会議のリンクは残りません。1年間の会議をまとめて移す場面では、先に確認しておく価値があります。

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