Itsycalとは|何ができて、どこで詰まるか
Itsycalという名前を、Macのおすすめアプリの一覧や同僚の画面で見かけて、何をするアプリなのかを確かめたい人に向けた記事です。 一言でいえば、Itsycalはメニューバーの日付をクリックすると、小さな月のカレンダーとこれからの予定が開くアプリです。 ただ、仕事とプライベート、GoogleとOutlookとiCloudに予定が分かれている人にとっては、何を束ねてくれて、何を束ねてくれないのかのほうが大事です。 ここでは公式サイト、ヘルプ、更新履歴、公開されているソースコードをもとに、Itsycalの仕組みと、予定が増えたときに詰まる場所を整理します。
Itsycalとは:標準のカレンダーアプリの隣に置く、小さな窓
Itsycalは、Mowgliiという個人の開発者が公開しているMac用のアプリです。 公式サイトは自らを「tiny menu bar calendar」、つまり小さなメニューバーのカレンダーと紹介しています。
料金は無料で、ソースコードはMITライセンスでGitHubに公開されています。 リポジトリは2016年1月に作られ、2026年9月15日時点で公式サイトから配布されている最新版は、2026年4月5日公開の0.15.12です。 公開リポジトリには2026年9月13日付けで0.15.13のタグも付いています。 提供の終了、配布の停止、開発者の変更、有料化について、公式サイトとリポジトリに告知はありません。
Itsycalの立ち位置を理解するうえで欠かせないのが、次の一文です。
If you want, it will display your calendar events as a companion to the Mac Calendar app. You can also create and delete (but not edit) events. 出典: github.com
標準のカレンダーアプリの相棒として予定を表示し、予定の作成と削除はできるが、編集はできない。 この説明に、Itsycalでできることと、できないことの境目がすべて入っています。
仕組み:アカウントはmacOSが持ち、Itsycalは読むだけ
Itsycalの中には、GoogleやMicrosoftにサインインする画面がありません。 予定を持っているのは、macOSのインターネットアカウントと標準のカレンダーアプリです。 Itsycalは、macOSの予定の保管場所にアクセスする許可をもらい、そこに入っている予定を読み取って表示します。
この作りには、複数のカレンダーを持つ人にとって分かりやすい利点があります。
- 標準のカレンダーアプリに追加したアカウントは、そのままItsycalにも並ぶ
- Itsycalを消しても、アカウントや予定には何も影響しない
- Itsycal独自の同期はないため、同期の設定と確認はmacOS側の1か所で済む
一方で、標準のカレンダーアプリに出てこないカレンダーは、Itsycalにも出てきません。 Googleで共有された委任カレンダーは、Googleカレンダーの同期設定で選ばないと出てこない場合があると、公式ヘルプに書かれています。 つまり、いくつものカレンダーを1つの画面にまとめる作業そのものは、ItsycalではなくmacOS側で済ませておく必要があります。
新しい予定をどのカレンダーに入れるかの初期値も、標準のカレンダーアプリの一般設定に従います。 予定の長さの初期値も、0.15.11からは標準のカレンダーアプリの設定に合わせる作りです。 Itsycalは、自分で決まりごとを持たず、macOSの決まりに合わせる方針で作られています。
何ができるか:見る、参加する、キーボードで動く
複数のカレンダーを重ねて見る
設定の一般タブには、標準のカレンダーアプリに登録されたカレンダーが並び、表示したいものにチェックを入れます。 月のカレンダーには、予定のある日に色の点が付きます。 0.12.0からは、その日に予定を持つカレンダーごとに色の点を分けて出す設定が加わり、1日に最大3つまで表示されます。 仕事は青、家族は緑のように色を分けておくと、月の表示を開いただけで、どの日にどちらの予定があるかがつかめます。 色が設定されていないカレンダーは表示の対象から外れると、0.12.3の更新履歴に書かれています。
カレンダーの下の一覧には、選んだ日から何日分の予定を出すかを決められます。 選択肢は予定なし、1日から7日、14日、31日です。 予定のない日も薄く表示する設定があり、空いている日と埋まっている日を並べて確かめたいときに使えます。
会議に参加する
会議の多い人向けの機能が、少しずつ足されてきました。 予定の場所、URL、メモにZoom、Microsoft Teams、Google Meet、Webexなどの会議リンクがあると、一覧の時刻の横に小さな印が付き、開始の15分前から参加ボタンに変わります。 command、Jを押すと、一覧の中で最初に参加できる会議が開きます。 Itsycalを開くキーボードショートカットと組み合わせると、マウスに触れずに会議へ入れます。
予定の詳細を開くと、参加者の一覧が出ます。 0.15.11からは参加者の出欠が緑と赤で色分けされ、仮承認の予定や返事をしていない予定には、一覧で丸や縞模様の印が付きます。 自分が返事を忘れている会議を、一覧を眺めるだけで見つけられます。
キーボードで動く
Itsycalは、キーボードでの操作に力を入れているアプリです。 矢印キーのほか、エディタのVimと同じH、J、K、Lで日、週、月、年を移動でき、前に数字を打つとその回数だけ進みます。 command、shift、Tで日付を指定して移動し、スペースキーで今日に戻ります。 一覧の予定を右クリックすると、内容をクリップボードにコピーできるので、空き日程をメールに貼るときの手間が減ります。
メニューバーの表示も細かく変えられます。 日付と曜日のアイコンに加えて、好きな書式で時刻を並べられ、公式サイトもmacOS標準の時計の置き換えとして使えることを機能に挙げています。
更新履歴から見る、Itsycalの変わり方
Itsycalが何者かは、機能の一覧よりも、何を足してきたかを並べたほうが見えやすくなります。 公式サイトの更新履歴と、公開リポジトリに付いた版のタグの日付から、主な節目を拾いました。 0.11.11の時期は、更新履歴にmacOS 10.14がベータ版だと書かれていることから判断しています。
| 版 | 時期 | 主な変化 |
|---|---|---|
| 0.11.11 | 2018年 | 当時ベータ版だったmacOS 10.14に合わせ、システムの明暗に従う表示テーマ |
| 0.12.0 | 2019年9月 | macOS 10.14以降が必要に。予定作成の画面を小窓に変更、カレンダーごとの色の点 |
| 0.12.4 | 2020年10月 | オンライン会議の印と参加ボタン、文字サイズを3段階に |
| 0.13.0 | 2021年6月 | IntelとAppleシリコンの両方でそのまま動く形に |
| 0.14.0 | 2023年9月 | macOS 14 Sonoma への対応、予定作成にメモ欄 |
| 0.15.0 | 2023年10月 | macOS 11以降が必要に。予定の詳細に参加者を表示 |
| 0.15.10 | 2025年12月 | macOS 26 Tahoe の見た目に合わせた設定画面 |
| 0.15.11 | 2026年3月 | 予定の長さの初期値を標準のカレンダーアプリに合わせる、出欠の色分け、韓国語 |
| 0.15.12 | 2026年4月 | 0.15.11のメニューバー位置の変更を取り消し |
表から読み取れるのは、画面を大きくする方向ではなく、小さな窓のまま、会議への参加や参加者の確認といった「見てすぐ動く」ための機能を足してきたことです。 予定の編集や、アカウントを自分で持つ方向には、10年近くの更新を通じて手を広げていません。 これは機能が足りないというより、標準のカレンダーアプリの隣に置く道具という最初の方針を守ってきた結果と読めます。
macOSの大きな更新のたびに対応版を出してきた点も、長く使ううえでの判断材料になります。 一方で、最新版が求めるmacOSの版は段階的に上がっており、古いMacでは古い版を使い続けることになります。
どこで詰まるか:予定が増えたときの5つの壁
できることが分かったところで、予定がいくつものカレンダーに増えたときに、どこで手が止まるかを見ていきます。
壁1:予定を動かすたびに別のアプリへ移る
Itsycalでは予定の編集ができません。 会議の時刻を30分ずらす、参加者を1人足すといった作業は、予定をダブルクリックして標準のカレンダーアプリで行います。 1日に何度も予定が動く人ほど、見るのはItsycal、直すのは標準のカレンダーアプリという往復が増えます。
壁2:繰り返しの細かい指定ができない
新しい予定の繰り返しは、なし、毎日、毎週、2週ごと、毎月、毎年から選びます。 毎月第2火曜日のような指定や、平日だけの繰り返しは、作成画面に選択肢がありません。 定例会議が多い職場では、作成も標準のカレンダーアプリに任せたほうが早い場面があります。
壁3:カレンダーが増えると色の点が足りなくなる
月の表示に出る色の点は、1日に最大3つです。 仕事、個人、家族、チームの共有、祝日と、5つ以上のカレンダーを表示していると、月の表示だけではどのカレンダーに予定があるかを見分けきれません。 その場合は、一覧の日数を増やして予定の名前で確かめることになります。
壁4:メニューバーの場所を取り合う
ノッチのあるMacでは、メニューバーの空きが少なく、アイコンが増えるとmacOSが何の知らせもなく項目を隠します。 公式ヘルプは、Itsycalが見えないときの最初の原因としてこれを挙げています。 macOS 26 Tahoe以降では、システム設定のメニューバーの項目でItsycalの表示が許可されている必要もあります。
壁5:日本語の画面、暦、Mac以外の端末
リポジトリに含まれる翻訳は、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、韓国語、簡体字中国語で、設定画面などは英語で表示されます。 暦はグレゴリオ暦にだけ対応しています。 配布されているのはMac版だけなので、iPhoneで同じ見え方をさせることはできません。
向いている人、別の道具を足したほうがよい人
ここまでを、予定の持ち方ごとに整理します。
| 予定の持ち方 | Itsycalとの相性 | 理由 |
|---|---|---|
| 予定は多いが、決まったら動かない | 合う | 見る、参加する、日付を移動する機能で足りる |
| オンライン会議が中心 | 合う | 参加ボタンとcommand、Jで入室が早い |
| 1日に何度も予定を組み直す | 別の道具が要る | 編集のたびに標準のカレンダーアプリへ移る |
| カレンダーが5つ以上ある | 工夫が要る | 月の表示の色の点が最大3つ |
| 移動を挟む外出の予定が多い | 別の道具が要る | 移動の時間を扱う機能がない |
Itsycalは、メニューバーから予定をすばやく確かめる役目に絞って作られています。 その役目に限れば、無料で、ソースコードを確かめられ、キーボードで完結するという点で、選ぶ理由のはっきりしたアプリです。
次に何を変えるかを決める
Itsycalが合うかどうかは、自分の時間がどこで落ちているかで決まります。 予定を探す時間が長いなら、標準のカレンダーアプリにアカウントを集め、Itsycalで表示するだけでも改善が見込めます。 予定を組み直す時間が長いなら、見る場所を変えても手間は減らないので、予定を入れて直す道具を見直すことになります。
後者の場合の比べ方として、他のカレンダーとの比較では、Macで使える主なカレンダーアプリを3年間に払う総額と機能の表で並べています。 入れる手間を減らす方法の一例は予定の入れ方にあり、日時や場所を一文で書いて予定にする流れを紹介しています。 外出の多い日の組み方は移動時間、機能の全体はできること、画面の流れは使い方で確認できます。 対応する環境や同期先はよくある質問に、無料で使える範囲は購入に載っています。
よくある質問
Itsycalとはどのようなアプリですか?
Macのメニューバーに小さな月のカレンダーと予定の一覧を出す、無料のアプリです。個人の開発者Mowgliiが公開しており、ソースコードはMITライセンスで公開されています。予定は標準のカレンダーアプリに登録したカレンダーから読み取り、予定の作成と削除はできますが、編集は標準のカレンダーアプリで行います。
ItsycalでGoogleカレンダーとOutlookの予定をまとめて見られますか?
見られます。ただしItsycalの中でアカウントにサインインするのではなく、macOSのインターネットアカウントや標準のカレンダーアプリにGoogleやMicrosoft Exchangeのアカウントを追加し、そこに並んだカレンダーをItsycalの設定で選ぶ形です。共有されたGoogleカレンダーは、Google側の同期設定で選ぶ必要がある場合があります。
Itsycalからオンライン会議に参加できますか?
できます。予定の場所、URL、メモにZoom、Microsoft Teams、Google Meet、Webexなどのリンクがあると、開始の15分前から一覧に参加ボタンが出ます。command、Jを押すと、一覧で最初に参加できる会議が開くので、キーボードだけで入室できます。
Itsycalが向いていないのはどんな人ですか?
1日に何度も予定を組み直す人や、移動を挟む外出の予定が多い人は、Itsycalだけでは手間が残ります。予定の編集はできず、移動時間を扱う機能もないためです。また、表示するカレンダーが5つ以上あると、月の表示に出る色の点が1日最大3つのため、見分けにくくなります。