Macで使う日程調整アプリ|3種類の違いと無料の範囲

meeting scheduling app for mac という言葉には、性質の違う3つの困りごとが混ざっています。候補日をメールで往復するのをやめたい人。取引先が勝手に空き時間を押さえられるリンクが欲しい人。そしてMac自体が遅くて、会議の2分前にカレンダーを開くのに時間がかかっている人です。おすすめ記事がちぐはぐに見えるのは、この3つを1つの表に並べているからです。

このうち月額を払う必要があるのは2つめだけです。1つめは、すでにカレンダーの中にあって使われていない機能で解決することが多く、3つめはそもそも日程調整の話ではありません。この記事では、3種類の区別、無料で使える範囲、有料になる境目、そして設定を誤ると逆効果になる項目を順に見ていきます。

同じ名前で呼ばれている3種類

  • 予約ページ型。空き時間を公開して、相手に押さえてもらう。出てくるものはリンク。取引先・候補者・見込み客など、社外から会議が来る人ほど効果が大きい
  • 候補日の擦り合わせ型。複数人の予定から重なる時間を探す。出てくるものはリンクではなく日時。全員が同じ組織のカレンダーを見られる場合に効き、社外の人が半分いると効きにくい
  • カレンダー本体型。アカウントを持ち、週を描き、その一部として空き時間の共有が付いている。予約ページ目当てで買うと割高だが、カレンダー自体が遅くて困っている人が買うなら筋が通る

選び間違いの典型は、月に2回しか起きない用事に、1席あたりの月額を払い続ける形です。

Googleカレンダーで無料のまま使える範囲

いちばん使われていないのが予約スケジュールです。個人のGoogleアカウントでも作れて、追加費用はかかりません。

個人の Google アカウントまたは Workspace Business Starter プランをご利用の場合、他のユーザーがカレンダーで予約を入れることができる予約ページを 1 つ作成できます。 出典: support.google.com

1人で仕事をしているなら、予約ページは1つで足ります。中身の設定は、有料ツールの無料枠より細かいくらいです。予約の長さはカスタム指定でき、通常時の空き時間は曜日ごとに複数の時間帯を持てます。スケジューリング期間では、何日先まで予約できるかと、最短で何時間前までなら受け付けるかの両方を決められます。この後者が、見知らぬ相手に10分後の予約を入れられるのを防ぎます。祝日などは、繰り返しの設定を触らずに調整済みの空き時間で個別に変えられます。予約された予定の設定には、予約と予約のあいだのバッファと、1日あたりの上限件数があります。

使う前に知っておくべき制約が2つあります。1つは、AndroidやiPhone・iPadのカレンダーアプリでは予約スケジュールを作れないことです。設定はパソコンで行う必要があります。もう1つは、以前あった「予約枠」という別の機能が終了していることです。

新しい予約枠を作成することはできなくなりました。2024 年 8 月 7 日より、有効な予約枠が残っている場合、次のようになります。現在の予約枠が予約できなくなったことを示すメッセージが表示されます。 出典: support.google.com

古い予約枠のURLを署名や案内に貼ったままにしている場合、相手は行き止まりに送られています。予約済みの分はそのまま残るので気づきにくく、確認しておく価値があります。

有料になる境目は公開されている

Googleは有料機能の一覧を表で出しているので、線がはっきり見えます。次の項目は、対象となるGoogle WorkspaceまたはGoogle Oneのサブスクリプションが必要です。なお、Workspace Essentials、Frontline、提供が終了した以前のプランでは、予約スケジュールそのものを作れません。

機能 個人アカウント
予約ページ1つ 使える
バッファ、1日の上限件数 使える
何日先まで・何時間前まで 使える
予約ページを複数作る 有料
リマインダーメールの自動送信 有料
複数カレンダーでの空き状況確認 有料
予約への支払いの受け付け 有料
スパム予約防止のメールアドレス確認 有料
最大20人の共同主催者 有料

実害が出やすいのは、上から6行目です。仕事用と私用でアカウントを分けている人が無料のまま使うと、予約ページは選んだカレンダーしか見ません。もう片方に入れた歯医者の予定は空き扱いのままになり、そこに予約が入ります。カレンダーが2つに割れている人が払っているのは、ブランド表示の除去でもリマインダーでもなく、この横断確認です

リマインダーメールの自動送信も影響が大きい項目です。無い場合、無断キャンセルは「前日に連絡するのを覚えておく」で防ぐことになり、忙しい人ほどそれを忘れます。

専用ツールを金額で並べる

以下は各社が公開している金額で、改定されることがあります。支払う前に提供元のページで確認してください。

ツール 無料でできる範囲 有料の入口
Cal.com 1ユーザー、予定の種類とカレンダー接続は無制限 Teamsが年払いで1ユーザー月12ドル、14日試用
Calendly 予定の種類1つ、カレンダー接続1つ Standardが年払いで1席あたり月10ドル、カレンダー接続は6つまで
Notion Calendar 無料。macOS版アプリと日程調整リンクを含む 日程調整のためには不要

差がはっきり出るのは有料側ではなく無料側です。Cal.comの無料プランは1ユーザーで予定の種類もカレンダー接続も無制限なので、初回相談用・長めの打ち合わせ用・社内用のリンクを分けて持てて、繋いだカレンダーはすべて重複確認の対象になります。Calendlyの無料プランは予定の種類1つ、カレンダー接続1つに絞られていて、上位プランで6つまで増えます。

Notion Calendarは立ち位置が独特です。macOS版のあるカレンダーアプリ本体が無料で配布され、空き時間の共有と日程調整リンクが別売りではなく最初から入っています。Googleカレンダー、Outlook、iCloudと同期しているカレンダーに繋がり、日本語を含む12言語に対応しています。

なお、CalendlyのEnterpriseは50席から年15,000ドルです。この分野は個人向けと調達部門向けに分かれていて、比較記事の多くは後者に向けて書かれています。1人で選んでいる人は、そちら向けの情報は読み飛ばして構いません。

もう1つ構造的な話として、これらはMac用アプリではなくウェブのサービスです。Cal.comもCalendlyも、提供しているのはモバイルアプリとブラウザ拡張です。予約ページはサーバー上にあり、だからこそMacが閉じていても機能します。Mac用アプリを探してウェブサイトが出てくるのは、答えを外しているのではなく、予約ページは元々ウェブ側に置くものだからです。ネイティブである意味があるのは、その予約が書き込まれるカレンダーのほうです。

Mac用のカレンダーアプリは、予約ページとは別物

検索した人がいちばん取り違えやすいのがここです。

Fantasticalは日程調整の機能を持つMac用のカレンダーです。Free枠があり、その上にIndividual、Family、Teamが並びます。試用は14日間で、日程調整の機能は無料枠ではなく有料側に入っています。Individualは年払いで月834円、月払いで月1,000円です。カレンダー本体と予約リンクを1社でまとめたい人には素直な選択肢になります。

BusyCalは対照的です。49.99ドルの買い切りで、14日間の試用があり、macOS 12.0以降が必要です。移動時間の自動計算、空き具合を色の濃淡で見せるメニューバーのカレンダー、タグ、タイムゾーンの扱い、過去の予定を下敷きにする入力補助を備えています。ただし予約ページはありません。それを期待して買うと、アプリの出来とは関係のないところで落胆します。

この区別が重要なのは、2つの困りごとの形が違うからです。予約ページの話は「他人が時間を取ること」、速いカレンダーの話は「自分が週を見て、動かして、仕事に戻るまでの速さ」です。会議だらけの日は両方が痛むので同時に検索されますが、意識して選ばないかぎり1つの買い物では両方は解決しません。Mac向けの選択肢がそれぞれどこに位置するかは他のカレンダーとの比較に整理してあります。

複数人で日時を決めるほうは、安く済むことが多い

検索語のもう半分、候補日を擦り合わせる側は話題になりにくい割に、解決の費用は低く済みます。

全員が同じカレンダーの仕組みを共有しているなら、空きは最初から見えているので、追加の道具は要りません。Googleカレンダーには参加者の空き情報を重ねて表示する画面があり、Microsoft側にも同等のものがあります。使われていない理由は機能が無いからではなく、全員が同じ組織の中にいるときにしか成立しないからです。社外の人が1人混ざった瞬間、その列は不明のまま並びます。

社外を含む場合の現実的な選択肢は2つです。候補の時間を並べて相手に選んでもらう形と、いちばん予定が動かせない人の予約ページを送る形です。速いのは後者ですが、遠慮から使われないことが多い方法でもあります。候補を3つ書いて送るほうが丁寧に見える一方、リンクを送ればメールの往復が1回減ります。日程が何日も決まらない原因は、たいていその往復のほうにあります。

避けたいのは、両方を同時に走らせることです。候補日のやり取りが進行しているあいだに予約ページも公開していると、同じ枠を2つの経路が押さえにいき、どちらも相手の存在を知りません。1つの会議につき、どちらか片方に決めておきます。

設定を1つ外すと、予約ページは害になる

リンクを公開する前に決めておく項目が3つあります。ここを飛ばすと、調整の道具が新しい問題の発生源になります。

  • すべてのカレンダーで重複を見ているか。予定が2つのカレンダーに分かれているのに片方しか見ていなければ、二重予約は可能性ではなく確定になる。Googleの予約スケジュールでは「カレンダーで空き情報を確認する」がその設定で、共同主催者を追加しても、その人のカレンダーは既定では確認されない
  • バッファを入れているか。公開リンクは隙間を全部埋めにくる。連続で入ると、直前の会議が生んだ作業の時間も、移動の時間も残らない。既定はゼロで、いちばん多い設定漏れがこれ
  • 最短の予約受付時刻を決めているか。数時間前まで受け付ける設定だと、見知らぬ相手の都合で当日の並びが組み替えられる。逆に半年先まで開けておくと、実行される頃には前提が変わっている約束で未来が埋まる

これらの設定でも扱えないのが移動です。予約ツールが知っているのはカレンダーの空きだけで、直前の会議がどこであったかは知りません。1日に2か所を回る日にそれが何を意味するかは移動時間で扱っています。

まず動かすなら、追加の契約より先に手元の設定

順序としては、すでにGoogleアカウントに付いている予約スケジュールを作り、バッファと最短受付時刻だけ設定して、1か月使ってみるのが確実です。うまくいかなかった場合、理由は具体的に分かります。もう1つのカレンダーが見られていなかったのか、リマインダーが要ったのか、リンクが1本では足りなかったのか。買うべきなのは、その具体的な理由に対応する機能です。

困っているのが予約の受け方ではなくカレンダー本体の速さだったなら、見るところが変わります。1件を入れるのに何手かかるか、話し言葉と音声で予定を入れられるか。実際の入れ方は予定の入れ方で、扱える範囲はできることで確認できます。

よくある質問

Macで予約ページを作るのに、別のアプリは必要ですか?

必要ありません。Googleカレンダーの予約スケジュールは個人アカウントでもブラウザから作れて、追加費用なしで予約ページが1つ持てます。別のサービスを検討する価値が出るのは、予約ページを複数持ちたいとき、複数のカレンダーをまたいで空きを確認したいとき、リマインダーメールを自動で送りたいときです。

昔使っていたGoogleカレンダーの「予約枠」はどうなりましたか?

2024年8月7日以降、新しい予約枠は作成できなくなり、残っていた枠も予約を受け付けなくなりました。すでに予約されていた分はそのまま残ります。代わりになるのは予約スケジュールで、設定項目も予約ページも別の機能として用意されています。古いURLを案内に貼っている場合は差し替えが要ります。

CalendlyとCal.comは、無料プランならどちらが向いていますか?

上限のかかり方が違います。Cal.comの無料プランは1ユーザーで予定の種類もカレンダー接続も無制限です。Calendlyの無料プランは予定の種類1つ、カレンダー接続1つです。相談用と打ち合わせ用で長さを分けたい人や、予定が2つのカレンダーに分かれている人は、Calendly側の上限に先に当たります。

BusyCalやFantasticalを買えば予約ページも付いてきますか?

Fantasticalには日程調整の機能がありますが、無料枠ではなく有料側に入っています。14日間の試用で確認できます。BusyCalには予約ページがありません。移動時間の計算やタグ、メニューバーの表示を備えたカレンダー本体で、49.99ドルの買い切り、14日間の試用、macOS 12.0以降が条件です。

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