Macのカレンダーが同期できないときに見る4つの層と確認の順番

朝にスマートフォンで入れた予定が、Macのカレンダーにまだ出てきません。あるいは2時間前にMacで動かした会議が、相手の画面では古い時刻のままです。「mac カレンダー同期できない」で検索する状況は、たいていこのどちらかです。予定が空っぽになるより厄介なのは、間違ったまま表示され続けることです。間違った予定は、間違ったまま行動の根拠になります。

この症状の対処法として最もよく出てくるのが、アカウントを削除して追加し直す手順です。実際それで直ることは多く、だから広まっています。ただしこの方法は、次に同じことが起きたときの手がかりを全部消してしまいます。この記事では、その前にやるべき切り分けを、確認にかかる時間が短い順に並べます。原因は4つの層のどれかにあり、アカウントを触る必要があるのはそのうち1つだけです。

同期できないという言葉が指している3つの別の症状

まず、症状を分けます。「同期できない」は少なくとも3つの別の現象をまとめて呼んでいて、原因は共通ではありません。

  • 入ってこない。他の端末で作った予定がMacに届かない
  • 出ていかない。Macで作った予定が他の端末に出ない
  • 遅い。いずれ届くが、その日のうちには間に合わない

分ける作業は2分で終わります。ブラウザでそのアカウントのWeb版を開き、Macの画面と並べて見比べるだけです。

  • サーバー側にあってMacに無い。入ってくる側か、カレンダーの選択の問題
  • Macにあってサーバー側に無い。出ていく側か、書き込みが上がっていない
  • どちらも同じで、Macが追いつくのが遅いだけ。故障ではなく更新の間隔の問題
  • どちらも同じで、そもそも何も欠けていない。サイドバーのチェックが外れて隠れているだけ

最後の場合が、実は残りの3つを合わせたより多く見つかります。サイドバーのカレンダーのチェックが何かの拍子に外れると、そのカレンダーの予定は完全に正しく同期されたまま、画面から消えます。外から見て表示の設定だとは分からないので、アカウント側を何時間調べても出てきません。

原因になる4つの層を、確認が軽い順に見る

上から順に見ていくと時間を無駄にします。費用の高い対処は下の層にあり、頻度の高い原因は上の層にあるためです。

層1: 表示

サイドバーのカレンダーの一覧は、何を描くかを決めているだけで、何を同期するかは決めていません。チェックの外れたカレンダーは、最新の状態を保ったまま見えなくなっています。他人から共有されているものも含めて、まず全部にチェックを入れます。

層2: 選択

カレンダーがアカウントの中に存在していても、パソコン向けの同期の対象になっていない場合があります。自分で作った補助のカレンダーや、他人から共有されたカレンダーでは珍しくありません。これはMac側ではなくサービス側で決まっています。サイドバーに項目そのものが無いなら、チェックが外れているのではなく、この層で止まっています。

層3: 更新の間隔

CalDAV(カルダブ)でMacに繋がるアカウントは、新着を押し込まれるのではなく、決まった間隔で取りに行きます。カレンダーアプリの設定にあるアカウントの一覧に、アカウントごとの更新の間隔があり、1分から手動までを選べます。1時間に設定されているアカウントで予定が40分後に出てきたとしても、それは壊れているのではなく、指示どおりに動いています。

層4: 認証

認証の情報は期限が切れます。パスワードを変えた、2段階認証を新しい端末で作り直した、といったきっかけで止まります。この層で切れると同期は両方向とも止まり、しかも黙って止まることが多いです。エラーの画面は出ず、ただ更新されなくなります。届いている予定のうち最も新しいものの日付を見れば、いつ止まったかが分かります。

Google カレンダーは、パソコンではブラウザから、モバイル端末では Google カレンダー アプリから利用できます。 出典: support.google.com

症状から原因の層を引く表

症状 疑う層 最初に見る場所
1つのカレンダーだけ空。他は正常 表示 そのカレンダーのチェック
共有されたカレンダーが最初から無い 選択 サービス側で同期の対象になっているか
全体が20分から60分遅れる 更新の間隔 アカウントの更新間隔の設定
ある日付から一切更新されない 認証 サインインが続いているか
Macでの変更が外に出ない 認証か権限 そのカレンダーへの書き込み権限
予定が2つずつ表示される 重複登録 同じアカウントを2か所で追加していないか

最後の行は、同期の不具合に見えて実は違うので、補足します。同じアカウントをシステム設定から追加し、さらにカレンダーアプリの中でも追加すると、すべての予定が2つずつ表示されます。どちらの登録も正常に同期しているので、故障としては何も検出されません。2つのうち片方を削除すれば、その場で解消します。

直したはずの変更が数分後に元へ戻る場合

分かりにくい症状を1つ取り上げます。Macで予定を編集し、保存できたように見えたのに、数分後に元の内容へ戻る、という現象です。

これは、読めるが書けないカレンダーの典型的な挙動です。購読しているカレンダー、祝日のカレンダー、閲覧のみの権限で共有されたカレンダーは、すべてこうなります。手元のアプリはいったん編集を受け付け、サーバーがそれを拒否し、次の同期でサーバー側の内容が上書きします。エラーも記録も出ず、変更が勝手に取り消されたように見えます。

確認するのは権限です。そのカレンダーが他人のアカウントから来ているなら、直すのは相手側であって、Macの設定ではありません。招待が送られない、参加者を追加したのに誰にも届かない、という症状も同じ原因です。書き込み権限の無いカレンダーでは、予定は完成したように見えて、誰も招待されていません。

手元のデータベースが原因のとき

上のすべてを潰しても残る種類の不具合があります。認証は通っていて、カレンダーは選択されていてチェックも入っていて、更新の間隔も1分にしてあるのに、同期しない場合です。ここまで来たら、手元に持っている記録の側を疑います。

macOSのカレンダーアプリは、取り込んだ予定を手元のデータベースに持っています。同期の途中で中断した、更新中に強制終了した、ディスクの空きが尽きた、といったきっかけで整合性が崩れることがあります。症状には特徴があり、片方のアカウントだけ同期しない、特定の期間の前後だけ動作が重い、削除した予定が復活する、といった形で出ます。

いちばん費用の低い対処は、ウィンドウを閉じるのではなくアプリを完全に終了して開き直すことです。メニューバーに常駐する形のカレンダーアプリは、ウィンドウを閉じても動き続けていて、開始済みの同期の処理が古い状態を持ったままになります。

それでも直らないときに、初めて該当のアカウントだけを削除して追加し直します。この操作で作り直されるのは、そのアカウント分の手元の記録だけです。よく見かける対処法がようやく正解になる地点がここで、最初にやることではありません。上の層のほうが原因として多く、しかも確認は数分で済むからです。

Macの側に原因が無い場合

同期の不調のうち、いくつかは設定どおりに正しく動いています。ただし、その設定を決めたのはMacの前に座っている人ではありません。

会社から配られたアカウントは、管理者のポリシーの下にあります。ポリシーは、どのアプリからの接続を許すか、端末を管理下に登録しないと同期させないか、認証をどれくらいの頻度でやり直させるか、といったことを決めています。ポリシーが変わると、その組織のMacが同じ日に一斉に止まります。それでも各自は自分のMacの故障として、1人で原因を探すことになります。

見分ける手がかりは時刻です。複数の端末で同じタイミングから止まっている、パスワードの変更や端末の入れ替えと日付が一致している、という場合はアカウント側の出来事です。Macで起きたことではないので、Macでは直りません。サインインをやり直して復旧するものはそれで終わり、残りは管理者に確認する話になります。

もう1つ、同期は正しいのに時刻がずれて見える場合があります。ある地域の時間帯で作られた繰り返しの予定を、別の時間帯に設定された端末で見ているときに起きます。予定がずれているのではなく、基準が違う状態で表示されているだけなので、直すのはアカウントではなく時間帯の設定です。

3つ目は、持ち主が更新したときにしか変わらない共有カレンダーです。購読する形式のカレンダーの一部は、受け取る側の設定ではなく配信する側の都合で更新されます。受け取る側でどの設定をいじっても速くなりません。待つ以外にできることが無いという事実は、夜通し調べる前に知っておく価値があります。

同じことが繰り返し起きる理由

ここまでの4つの層は仕組みの話です。ただ、同じ問題が何度も戻ってくる理由は、たいてい仕組みの側にはありません。

アカウントが3つ、カレンダーが十数個、共有が双方向に走っている環境には、静かに壊れる場所がいくつもあります。そして、その全部の健康状態を一覧で見せてくれる画面はどこにもありません。同期の失敗は自己申告してくれず、最初に気づくのは間違った時刻に会議へ出たときです。

したがって現実的な対策は、切り分けの腕を上げることではなく、動く部品を減らすことになります。Macに載せるアカウントを減らす。同じアカウントの入口を二重に作らない。新しい予定を作る場所を1か所に決める。予定を確実に1つの経路で入れる方法は予定の入れ方に、Mac用のカレンダーアプリが一日の何をどこまで扱えるのかはできることに整理してあります。

内部データから見えること: 同期のせいにされている別の問題

同期の不調として相談される内容を分けていくと、最後まで残る型があります。予定は2件とも正しく表示されていて、時刻も合っていて、全端末に届いている。それでも一日が崩れる、という型です。

原因は、2つの予定の間を移動できないことです。これは同期の不具合ではないので、アカウントをいくら調べても直りません。会議を入れた時点では移動が視界に入っておらず、カレンダーもそれを教えてくれなかった、という設計の問題です。予定ごとの移動時間の扱いについては移動時間にまとめてあります。

もう1つ、同期の確認に時間を取られている人に共通しているのが、予定の入力が後回しになっている点です。口頭で決まった予定をあとで入れようとして忘れ、抜けが同期の失敗に見える、という順番です。この型では、確認すべきは通信ではなく入力の経路になります。話し言葉と音声で予定を入れられるかどうかが効いてくるのはこの型だけで、同期そのものが遅い人には関係ありません。

切り分けの順番としては、次のとおりです。サイドバーのチェックを全部入れる。Web版と並べて見比べ、どちらの向きが止まっているかを決める。届いている中で最も新しい予定の日付を探し、いつ止まったかを特定する。更新の間隔を最短にする。サインインが続いているか確認し、削除ではなく認証のやり直しで済ませる。予定が2つずつ出るなら同じアカウントの二重登録を疑う。アプリを完全に終了して開き直す。ここまで全部やってから、失敗しているアカウントだけを消して入れ直す。全部やることより、この順番で進めることに意味があります。最初の2つは費用ゼロで大半を解決し、最後の1つは1時間かかったうえに、次に再発したときの手がかりを消してしまいます。Macで選べる他の選択肢との違いは他のカレンダーとの比較に、料金や動作環境の条件は購入とよくある質問にまとめてあります。

よくある質問

スマートフォンで入れた予定がMacに出るまで1時間かかります。故障ですか?

故障ではない可能性が高いです。CalDAVで接続したアカウントは、新着を押し込まれるのではなく決まった間隔で取りに行く方式で、その間隔はカレンダーアプリの設定にアカウントごとにあります。1時間に設定されていれば、そのとおりの遅れが出ます。1分か5分に下げれば大半は解消します。

アカウントを削除して追加し直すべきですか?

最初の手段としては勧められません。この操作は手元の記録を丸ごと作り直すため直ることは多いのですが、何が原因だったかの手がかりも一緒に消えます。表示・選択・更新間隔・サインインの4つを先に確認し、追加し直すのは最後の手段として残しておくほうが、再発したときに困りません。

Macで直した予定が数分後に元に戻ります。原因は何ですか?

そのカレンダーが読み取り専用である可能性が高いです。購読しているカレンダーや、閲覧のみの権限で共有されたカレンダーは、手元の編集をいったん受け付けたあと、次の同期でサーバー側の内容に上書きされます。エラーは表示されません。権限を変えられるのはカレンダーの持ち主だけです。

すべての予定が2つずつ表示されます。同期の不具合ですか?

不具合ではなく、同じアカウントを2か所で追加している状態がほとんどです。システム設定から追加し、さらにカレンダーアプリの中でも追加すると、両方が正常に同期して二重に表示されます。どちらか一方の登録を削除すれば、その場で解消します。

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