予定の色分けとは|色が運べる情報と、運べない情報

予定の色分けとは、予定のタイトルや時刻とは別に、見た瞬間に判断できる手がかりを1つ足すことです。 うまく働くと週の配分がひと目で読めますが、共有相手には色が届かない、別のアプリに移すと色が消える、といった形で思ったように働かないこともあります。 この記事では、色がどこに保存され、どこまで届くのかという仕組みから、色分けで解決できる詰まりとできない詰まりを切り分けます。

予定の色分けとは、判断を「読む」から「見る」に変えること

カレンダーに並ぶ予定を理解するには、ふつうはタイトルを1件ずつ読む必要があります。 色分けは、この「読む」作業の一部を「見る」作業に置き換えます。 週表示を開いたときに、赤が多い日は外出が多い、青が続く午後は会議で埋まっている、というように、文字を読まずに傾向がつかめます。

色分けが役に立つ場面は、大きく3つに分けられます。

  • 配分を見る:会議、作業、移動、私用がそれぞれどれくらいを占めているかを週単位でつかむ
  • 種類を見分ける:同じ時間帯に並んだ予定のうち、どれが動かせない予定かを判別する
  • 出どころを見分ける:複数のアカウントやカレンダーの予定を1つの画面に重ねたとき、どこの予定かを区別する

一方で、色は予定の中身そのものではありません。 予定の日時やタイトルがカレンダーの記録だとすれば、色はその記録にどう表示するかを添えた付箋に近いものです。 付箋なので、貼った本人の画面ではよく見えても、記録を他の人に渡したときに付箋ごと渡るとは限りません。 この「表示のための属性である」という性質が、色分けの便利さと限界の両方を決めています。

色が保存される場所は4つある

「色を付けた」という同じ操作でも、製品によって色が保存される場所が違います。 置き場所が違えば、その色が届く範囲も変わります。

カレンダーそのものの属性

Mac標準のカレンダーでは、色はカレンダーに付きます。 Appleのヘルプには、カレンダーの色を変えるとそのカレンダーの予定すべての色が変わると書かれています。 予定1件だけ違う色にするのではなく、カレンダーを分けることで色を分ける設計です。

予定1件の属性

Googleカレンダーでは、カレンダーの色とは別に、予定1件ごとに色を付けられます。 予定を扱うための共通の決まりにも色の項目があり、2016年10月に公開された RFC 7986 では、COLOR というプロパティがカレンダー全体や予定に付けられると定められています。 ただし、決まりがあることと、各アプリがその項目を読み書きすることは別の話で、対応は製品によって異なります。

自分のアカウント側の分類

Outlookの分類は、色と名前を持った「自分の整理用のラベル」です。 1件の予定に複数の分類を重ねられ、Microsoft 365アカウントなら、パソコンやWebで付けた分類の色がスマホのOutlookにも表示されます。 一方で、他の人から受け取った会議に分類を付けても、相手のOutlookの表示には影響しないと案内されています。

アプリの中だけ

BusyCalのタグのように、アプリ独自の仕組みで色を持つ製品もあります。 BusyCalのヘルプでは、タグと色の履歴はiCloud経由で自分の端末同士に同期する一方、Mac内だけに置かれる種類のタグは他の端末に同期しないと説明されています。

色が届く範囲と届かない範囲

置き場所ごとに、色がどこまで届くかを整理すると次のようになります。 ここでの「別のアプリ」は、同じ予定を別の製品で開いた場合を指します。

色の置き場所 自分の別の端末 共有相手の画面 別のアプリ
カレンダーの属性 同じアカウントなら同じカレンダーとして届く。色の扱いは製品による 色は相手側の設定で決まる 読み込む側の製品による
予定1件の属性 同じ製品なら届く 変更権限の有無で変わる製品がある 項目を読むかどうかは製品による
アカウント側の分類 同じ製品なら届く 相手の表示には影響しない 対応は製品による
アプリ内だけ 同期の仕組みがあれば届く 届かない場合が多い 届かない場合が多い

共有相手の画面について、Googleカレンダーのヘルプははっきり書いています。

People won't be able to see the color you set for events unless you've given them permission to make changes on your calendar. 出典: support.google.com

予定に付けた色は、カレンダーの変更権限を渡した相手でなければ見えない、という意味です。 閲覧だけを許可した相手は、自分の画面でその予定を見ていても、あなたが付けた色では見ていません。

招待のやり取りでも色は途切れます。 BusyCalのヘルプによると、Googleカレンダーは会議の招待から追加の分類やタグを取り除き、招待された人には見せません。 また、共有カレンダーの予定では、権限やサーバーの設定によってタグが正しく同期しないことがあるとも書かれています。

ここから言えるのは、色は基本的に「自分の画面を整理するための道具」だということです。 チームで意味を共有する手段として色に期待すると、見ている人ごとに違う色で予定を見ることになり、話がかみ合わなくなります。

複数のアカウントを重ねたときの色の役割

最初に挙げた3つの役割のうち、「出どころを見分ける」は、複数のアカウントを使い始めた人ほど重要になります。 仕事用のGoogleアカウント、私用のGoogleアカウント、iCloudを1つのカレンダーアプリに並べると、それぞれのカレンダーには最初から何かしらの色が付いています。 ただし、その色は他のアカウントの色を見て選ばれたものではありません。 別々のアカウントのカレンダーがよく似た青で並ぶと、画面を見ても仕事の予定か私用の予定かが判別できなくなります。

ここで知っておきたいのが、Googleカレンダーでカレンダーの色がどこに置かれているかです。 GoogleカレンダーのAPIの説明では、カレンダーの色は、各ユーザーが持つカレンダーの一覧の項目から参照される形になっています。 つまり、カレンダーの色は「そのカレンダーを自分がどう見るか」の設定です。 同じ共有カレンダーが、自分の画面では緑、同僚の画面では紫、ということが起きるのはこのためで、自分が色を変えても相手の画面は変わりません。

複数のアカウントを重ねるときに出どころを読み取りやすくする工夫は、次のとおりです。

  • アカウントごとに色の系統を決める。仕事は寒色、私用は暖色のように、系統の間をはっきり離す
  • いちばん目立つ色は1つの意味にだけ使い、他のアカウントでは似た色を避ける
  • アカウントやカレンダーを追加したら、既定の色が他と重なっていないかを見直す
  • 同じ名前のカレンダーが別のアカウントにある場合は、名前にアカウントの区別を入れる

出どころの見分けがついてはじめて、配分や種類を表す色を上に重ねられます。 出どころがあいまいなまま色を足すと、意味のある色と偶然の色が混ざり、かえって読みにくくなります。

色だけに頼ると伝わらない場面

色は、見る人と見る環境によっても伝わり方が変わります。 Webの読みやすさの国際的な指針であるWCAGには、次の達成基準があります。

  • 達成基準1.4.1(レベルA):色が、情報を伝える、動作を示す、反応を促す、または視覚的な要素を区別するための唯一の視覚的手段になっていないこと

カレンダーに当てはめると、「赤は外出」という決まりが色だけで表現されている状態は、この基準の考え方から外れます。 色の見え方には個人差があり、赤と緑、青と紫のように、人によって区別しにくい組み合わせがあります。

見る環境による違いもあります。

  • 白黒で印刷した週の予定表では、色の違いが濃淡の差しか残らない
  • ウィジェットや通知のような小さな表示では、色の帯が細く、ほとんど判別できない
  • ダークモードでは、明るい背景を前提に選んだ淡い色が読みにくくなる

そのため、色は「文字で書かれた情報を、見やすくする補助」として使うのが安定します。 予定名の先頭に「移動」「外出」「作業」のような短い語を入れておけば、色が見えない相手や環境でも意味が残り、あとから検索するときの手がかりにもなります。

色分けでは直らない詰まり

色分けを整えても、カレンダーの困りごとが解消しないことがあります。 それは、困りごとの原因が「見分けにくさ」ではないからです。

1つ目は、予定が入りすぎているケースです。 会議が隙間なく並んでいる週は、何色で塗っても隙間は生まれません。 色分けで見えるようになるのは偏りであって、減らすべき予定を減らしてくれるわけではありません。

2つ目は、予定と予定の間の移動がカレンダーに載っていないケースです。 13時に社外の打ち合わせ、14時に別の場所で打ち合わせ、という並びは、色では問題なく見えます。 しかし移動にかかる時間はどちらの予定にも含まれていないため、実際には遅れが出ます。 これは色ではなく、移動を予定として扱うかどうかの問題です。

3つ目は、そもそも予定がカレンダーに入っていないケースです。 口頭で決まった予定が数日後にしか入力されない状態では、色分けがどれだけ整っていても、画面は実態を映しません。 ここで効くのは表示ではなく、予定を入れるまでの手数を減らすことです。

いまの詰まりがどこにあるかを見分ける

自分の困りごとが色分けで解決するものかどうかは、次の表で見分けられます。

起きていること 原因の場所 次に変えること
自分の画面で予定の種類が見分けにくい 表示 カレンダーを分けるか、予定ごとの色か分類を使う
共有相手と色の話がかみ合わない 色の届く範囲 予定名の決まり語か、共有用のカレンダーの分け方で伝える
別のアプリに移したら色が消えた 色の置き場所 移行先がその置き場所の色を読むかを確かめる
色は整っているのに遅刻や詰め込みが起きる 予定の量と移動 移動の時間を予定として持たせる、会議の間に余白を置く
画面が実態と合わない 入力 予定を入れるまでの手数を減らす

表の上2行は色分けそのものの調整で直ります。 下の3行は、色をどれだけ整えても直らない種類で、見るべき場所が表示の外にあります。

Mac用のカレンダーアプリで、色と移動と入力をまとめて見る

色分けの仕組みを知ったうえでMac用のカレンダーアプリを選ぶなら、見るべき点は色の数ではなく、使っているカレンダーの色がそのまま出るかどうかです。 たとえば、Googleカレンダーの閲覧から作成・編集・削除まで扱い、そこで付けた色も反映する作りであれば、Webで整えた色分けをMacでも同じように使えます。 複数のGoogleアカウントの予定を1つの画面にまとめて表示できるかも、出どころを色で見分ける使い方に関わります。 こうした同期と表示の範囲はできることにまとまっています。

色分けでは直らない移動の問題は、移動を予定の側に持たせる作りで扱います。 住所から車・徒歩・電車の所要時間を計算して、移動のための時間を予定の前に置く考え方は移動時間で説明されています。 入力の手数については、話し言葉と音声で予定を入れられるかどうかが分かれ目になります。

Mac用のカレンダーアプリごとに、入力、移動時間、料金のどこに力を入れているかは他のカレンダーとの比較に整理されています。 色がどこまで同期されるかといった細かな疑問はよくある質問で確認できます。 まずは自分の詰まりが上の表のどの行にあたるかを決め、色で直る行ならカレンダーの分け方から、色で直らない行なら移動と入力から手を付けてください。

よくある質問

予定の色分けとカレンダーの色分けは何が違いますか?

カレンダーの色分けは、仕事用や私用といったカレンダー1つに1色を割り当てるもので、そのカレンダーの予定はすべて同じ色になります。予定の色分けは、同じカレンダーの中でも予定1件ごとに色を変えるものです。Mac標準のカレンダーはカレンダー単位、Googleカレンダーは両方に対応しています。

自分で付けた予定の色が、共有相手の画面では違う色で見えるのはなぜですか?

色は予定の中身ではなく表示のための属性で、見る人ごとの設定で決まるためです。Googleカレンダーのヘルプでは、予定に付けた色は変更権限を渡した相手でなければ見えないと案内されています。Outlookの分類も、受け取った会議に付けたものは相手の表示に影響しません。

別のカレンダーアプリに乗り換えると色分けは引き継がれますか?

色がどこに保存されているかによります。予定を扱う共通の決まりには色の項目がありますが、各アプリがそれを読み書きするかは製品ごとに異なります。アプリ独自のタグで付けた色は、そのアプリの外では出ないことが多いです。乗り換え前に、試用期間で手持ちのカレンダーを読み込み、色の出方を確かめてください。

色の見分けがつきにくい人とカレンダーを共有するときはどうすればよいですか?

色だけで意味を伝えず、予定名の先頭に「移動」「外出」のような短い語を入れる方法が確実です。WCAGでも、色を情報を伝える唯一の手段にしないことが基準として定められています。文字で書いておけば、白黒印刷や小さなウィジェットでも意味が残り、検索の手がかりにもなります。

記事一覧へ戻る