Macにダウンロードして入れられるカレンダーの選び方

Macに入れて使えるカレンダーを探すきっかけは、たいてい具体的な不便です。カレンダーがブラウザのタブの中にあり、うっかり閉じてしまう。他のタブに埋もれて見つからない。オフラインになると1日の予定ごと消える。アプリとして入っていれば、Dockから一発で開けて、通信が無くても読めるはずだ、という発想です。

ところが探し始めると、すぐに妙なことに気づきます。世界で最も使われているカレンダーには、ダウンロードするものが存在しません。

配布されていないものが1つある

Googleは自社のヘルプに、この点をはっきり書いています。

パソコンにカレンダーをダウンロードしてインストールすることはできませんが、オフラインで使用することは可能です。 出典: support.google.com

公式のデスクトップアプリは無く、Mac App Storeにも置かれていません。検索結果に「公式アプリ」のように見えるものが出てきたら、それはブラウザの画面にアイコンを付けたものか、そのアカウントに接続する他社の製品のどちらかです。

どちらも怪しいものではありませんが、中身は別物です。ChromeやEdgeにはWebサイトを独立した窓として入れる機能があり、Dockにアイコンが並び、タブの無い窓で開けるようになります。ただし表示しているのはWebページのままです。オフラインでは保存された分しか見えず、macOSの通知や集中モード、通知センターのウィジェットからは外れたままです。

他社のMac用のカレンダーアプリは、同じアカウントに接続する本物のアプリケーションです。この違いは、うまくいっている間は意識しませんが、不具合が起きたときに見る場所がまったく変わります。

「入れる」には3つの経路がある

Macにソフトが入る道は3つあり、それぞれ保証されている内容が違います。

1つ目は、すでに入っているものです。macOSにはカレンダーが最初から付いていて、Google、Microsoft、iCloud、一般的なCalDAVのアカウントに繋がります。何かを入れようとしている人は、まずこれで足りないのかを確かめる価値があります。費用は0円です。

2つ目はMac App Storeです。Appleが公開前に審査し、改ざんされていないことを署名で保証します。更新はストア経由で届き、削除もきれいに終わります。制約として、ストアのアプリは制限された領域で動くため、システムの深い部分には手が届きません。

3つ目は、開発元のサイトからの直接のダウンロードです。.dmgや.zipで配られる形で、「ダウンロードして入れる」という言葉に最も近いのはこれです。同時に、確認が要るのもここです。macOSにはGatekeeper(ゲートキーパー)という仕組みがあり、Appleはこれを「信頼できるソフトウェアだけがMac上で実行されるようにするための技術」と説明しています。あわせて、macOS Catalina以降では公証(notarization)を求めるとしています。公証は、配布の前にAppleが既知のマルウェアの有無を調べる工程です。

署名と公証を通った配布物は、初回に確認のダイアログが出るだけで開きます。逆に「開発元が未確認」という警告が出るものは、その工程を通っていません。回避する方法を探すのではなく、そこで止まるのが正しい判断です。

入れると変わること

予定そのものはMacに移りません。実体はアカウントのサーバーにあり、入れたアプリはそれを写して持っているだけです。変わるのは、予定の周りにあるものです。

通知がシステムの通知になります。集中モードの設定に従い、通知センターに残ります。ブラウザを起動し続けていなくても届きます。デスクトップや通知センターにウィジェットを置けるようになり、メニューバーに次の予定を出しておくこともできます。

オフラインの挙動がはっきりします。手元にデータベースを持つため、機内でも全期間が読めます。そこで作った予定は溜められ、通信が戻ったときに送られます。

キーボードの扱いも変わります。ブラウザとショートカットを取り合う必要が無くなるためです。ログイン時に自動で開くかどうかも、習慣ではなくシステムの設定で決まります。

そして、複数のアカウントが1つの画面に並びます。多くの人が最終的にアプリを入れる理由はこれです。ブラウザのタブは、プロファイルを分けない限り一度に1つのアカウントしか映しません。仕事と個人の予定が同じ列に並んで初めて、その時間が本当に空いているかどうかが分かります。

毎日の時間に効くのは入力の速さ

積み重なる差は入力にあります。ブラウザで予定を作るには、タブを探し、描画を待ち、枠をクリックし、入力欄を埋めて保存します。入れたアプリなら、いま開いている画面の上にショートカットで呼び出せます。話し言葉の1行で受け取れるものもあります。

1件あたりの差は数秒なので軽く見られます。しかし1週間に発生する予定の数を掛けると、やがて「入れないこと」の理由になります。入力が面倒な予定は頭の中に置かれ、頭の中に置かれた予定がダブルブッキングを生みます。この経路を短くする話は予定の入れ方にまとまっています。

入れても変わらないこと

入れたアプリも、結局はサーバーに接続する側です。通り道はブラウザと同じで、その通り道が限界を決めます。

Googleや一般的な提供元が使うCalDAVは、変更を押し込まれるのではなく、決めた間隔で取りに行きます。MicrosoftのExchange Web Servicesは、参加依頼や出席者の応答まで運びます。公開されたICSのリンクは、RFC 5545で定められたiCalendarの形式に沿ったもので、設計上は読み取り専用です。

アプリを替えても、この部分は動きません。読み取り専用で共有されたカレンダーは読み取り専用のままです。会社の方針で止められている接続は止められたままです。反映が遅いのは更新の間隔の話であって、アプリの出来ではありません。通り道の問題を道具の買い替えで解こうとするのが、この分野で最も多い無駄です。

実際に選べるもの

選択肢 入手方法 費用 備考
macOSのカレンダー 最初から入っている 無料 Google・Exchange・iCloud・CalDAVに接続
Fantastical Mac App Store 無料プランは0円、Individualは年払いで月834円、14日試用 有料機能はサブスクリプションで解放
BusyCal 直接ダウンロード 49.99ドル、14日試用 買い切り、macOS 12.0以降
Outlook for Mac Mac App Store 個人のアカウントなら無料 広告なしや容量の追加はMicrosoft 365の契約
Itsycal 直接ダウンロード 無料 MITライセンス、メニューバー専用、macOS 11以降
Webを窓として入れる ChromeまたはEdge 無料 中身はWebページ。システムの通知の外

上の数字はいずれも提供元のページに書かれていた内容です。価格のページは変わるので、購入の前に必ず現物を確認してください。

なお、Mac App Storeで無料と表示されていることは、使うのが無料であることを意味しません。ダウンロード自体は0円で、機能はアプリ内の課金で解放される作りが複数あります。ストアの表示は届け方の話であって、費用の話ではありません。

契約が切れたときに何が起きるか

試用を始める前に確認しておく価値がある点です。サブスクリプションのカレンダーは、支払いが止まると多くの場合は機能の少ない無料の状態に戻ります。予定の実体はサーバーにあるので、データが消えるわけではありません。失われるのは、その機能を前提に作った手順のほうです。

買い切りは、毎年の判断が不要になる代わりに、別の形でリスクを持ちます。macOSの更新に追随するために、いずれ有料の版上げが必要になります。その時期を決めるのは利用者ではなく開発元です。

消すのは思ったより安全

入れて試すことをためらう理由は、たいてい予定が消えることへの不安です。この不安は、ほとんどの場合は当たりません。

アカウントはアプリの中ではなく、macOSのシステム側に登録されています。同じアカウントを複数のカレンダーアプリが同時に読むことができ、それぞれが自分の写しを持ちます。片方のアプリを削除しても消えるのはその写しだけで、アカウントには何も起きません。試用の期間中に2つのアプリを並べて使っても、互いを壊しません。

例外は1つあります。アカウントの中ではなくMac本体に作ったカレンダーです。これはどこにも同期されないため、アプリやシステムから消えると戻せません。そういうカレンダーを作っているなら、消す前に書き出しておきます。

乗り換えの前に、各カレンダーを一度.icsのファイルに書き出しておく習慣は、それだけで判断を取り消し可能にします。かかる時間は1分程度で、できたファイルはどのカレンダーでも読めます。

入れる前に見る3つの点

1つ目は動作条件です。BusyCalはmacOS 12.0以降、ItsycalはmacOS 11以降と書かれています。古いMacでは選択肢がすぐに絞られます。この情報は提供元のページに書かれているので、レビューを読む前に確認できます。

2つ目は繋がる先です。GoogleとiCloudはほぼどれでも扱えます。会社のExchange、共有されたカレンダー、自前で立てたCalDAVのサーバーは製品によって差が出ます。使い始めて2週目に手放す理由の多くはここです。

3つ目は試用の有無です。FantasticalとBusyCalはどちらも14日の試用を用意しています。2週間あれば会議の一巡が入るので、その道具が手間を減らすのか、手間の場所を移しただけなのかが分かります。

そのうえで問うべきなのは、いまのカレンダーが1日に何分を奪っているかです。予定を1件入れるのに6回クリックしているなら、1回で済む道具には払う価値があります。表示するだけでない部分に何があるかはできることに、製品ごとの違いは他のカレンダーとの比較に、費用の考え方は購入にまとまっています。

順番としては、まずMacに入っているカレンダーにアカウントを繋いでみることです。それで不便が消えるなら、原因はカレンダーではなくブラウザだったということになります。消えないなら、買う前に試用で、予定を1件入れるのにかかる時間を測る。この順で進めると、買ってから合わないと気づく失敗が減ります。

よくある質問

Googleカレンダーの公式アプリをMacにダウンロードできますか?

できません。Googleのヘルプに、パソコンにカレンダーをダウンロードしてインストールすることはできない、と明記されています。Mac App Storeにも公式のものはありません。選べるのは、ブラウザ、ブラウザの窓を独立させたもの、Googleアカウントに接続する他社のアプリの3つです。

Macには最初からカレンダーが入っていますか?

入っています。macOSのカレンダーがそれで、Google、Microsoft Exchange、iCloud、一般的なCalDAVのアカウントに接続できます。何かを入れる前に、まずここにアカウントを繋いでみると、費用をかけずに元の不便が解消することがあります。

App Store以外から落としたカレンダーアプリは安全ですか?

Developer IDの署名と公証を通っていれば通常どおり使えます。AppleはmacOS Catalina以降で公証を求めており、公証は既知のマルウェアが含まれていないかを配布前に調べる工程です。「開発元が未確認」という警告が出るものは、その工程を通っていません。

アプリを入れると同期は速くなりますか?

それだけでは速くなりません。反映の速さは通り道と更新の間隔で決まり、アプリでは変わらないからです。CalDAVのアカウントは決めた間隔で取りに行くため、アカウントの設定で間隔を短くするほうが効きます。

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