Fantasticalの代わりになるもの|手放してよい機能

Fantasticalの代わりを探し始めると、たいていは「同じことができる別のアプリ」を一覧で比べるところから入ります。 ところが、会議と移動と作業時間のやりくりに追われている人が実際に毎日使っている機能は、全体のほんの一部です。 この記事では、Fantasticalの機能を1つずつ見て、Macに最初から入っているカレンダーやGoogleカレンダーに同じ働きがあるもの、形を変えれば置き換えられるもの、代わりが見つかりにくいものに仕分けます。 仕分けが終われば、何を手放してよく、何だけは次の道具でも確保すべきかが決まります。

代わりを探す前に、機能を3つの箱に分ける

Fantasticalは、2011年5月にMacのメニューバーに常駐する小さなアプリとして始まり、現在はMac、iPhone、iPad、Apple Watch、Apple Vision Pro、Windowsで使えるカレンダーアプリです。 公式の料金ページの機能比較表には、予定の入力、タスク、天気、日程調整、会議URLの判別、テンプレート、絵文字のバッジまで、数十の項目が並んでいます。 これだけ多いと、「全部を持っている別のアプリ」を探すことになり、候補がほとんど残りません。

そこで、比べる前に機能を次の3つの箱に分けます。

  • 箱1:Macの標準のカレンダーやGoogleカレンダーに、すでに同じ働きがある機能
  • 箱2:形は違うが、別の仕組みを組み合わせれば置き換えられる機能
  • 箱3:代わりが見つかりにくく、手放すと毎日の作業が変わる機能

箱1に入る機能は、そもそも代わりを探す必要がありません。 箱2は、置き換えにかかる手間と、置き換えたあとの不便を天秤にかけて決めます。 箱3に入る機能が1つもなければ、代わりの候補は大きく広がります。 逆に箱3の機能を毎日使っているなら、その機能を持つかどうかが次の道具を選ぶ唯一の条件になります。

仕分けの材料は、過去1週間の予定表です。 記憶で「よく使っている」と考える機能と、予定表を見返して実際に触っていた機能は、かなりずれることがあります。

箱1:標準のカレンダーとGoogleカレンダーに、同じ働きがある機能

Macに入っているカレンダーアプリの公式ガイド(macOS Tahoe 26版)を読むと、Fantasticalの代名詞と思われている機能のいくつかが、標準の側にも用意されていることが分かります。

Fantasticalの機能 Fantasticalでの扱い 標準のカレンダー(Mac)での扱い
話し言葉での予定の入力 無料 ツールバーの追加ボタンから文で入力できる
予定とタスクを同じ画面で見る 無料 日時が設定されたリマインダーを表示できる
移動時間と出発の通知 有料 移動時間の設定と出発時刻の通知がある
よく使うタイムゾーン 有料 設定でタイムゾーンのサポートを有効にする
集中モードに合わせた表示の切り替え カレンダーセットの自動切り替え(有料) 集中モードのフィルタで表示するカレンダーを選べる

標準のカレンダーでは、ツールバーの追加ボタンを押して「Soccer Game on Saturday from 11am-1pm」のような文を入れると予定になります。 公式ガイドには、「lunch」と書けば正午、「dinner」と書けば午後7時に始まる予定になるとも書かれています。 ただし、ガイドに載っている例はどれも英語の文です。 日本語の文でどこまで読み取るかは、手元で数件入れて確かめる必要があります。

リマインダーは、カレンダーの一覧にある、日時が設定されたリマインダーの項目にチェックを入れると、時刻のあるものは時間の枠に、終日のものは上の欄に並びます。 移動時間は予定の詳細から選べ、場所を選んだ予定には出発時刻の通知が付きます。 公式ガイドは、到着まで3時間を超える目的地には出発の通知が出ないこと、場所を変えても移動時間は自動では変わらないことも明記しています。 タイムゾーンについては、Googleカレンダーの側も、2つ目のタイムゾーンや世界時計を表示できるとヘルプに書かれています。

表の最後の行は見落とされがちです。 システム設定の集中モードにカレンダーのフィルタを足すと、たとえば仕事の集中モードの間は仕事のカレンダーだけを表示し、通知もそのカレンダーの分だけにできます。 Fantasticalの有料版で、時刻や場所でカレンダーセットを切り替えていた人は、この仕組みで近い状態が作れます。

こうした機能だけを理由に有料版を続けているなら、その部分は標準のカレンダーに戻しても1日の流れはほとんど変わりません。

箱2:形は違うが、組み合わせで置き換えられる機能

次の機能は、同じ名前の機能は標準の側にありませんが、別の仕組みで役目を果たせます。

  • 空き時間をリンクで配る(Openings)
  • カレンダーの組み合わせを保存して手で切り替える(カレンダーセット)
  • メールを転送して予定にする

空き時間のリンクは、Googleカレンダーの予約スケジュールで代わりが作れます。 Googleカレンダーのヘルプによると、個人のGoogleアカウントでも予約ページを1つ作れます。 Googleの機能比較のページでは、リマインダーメールの自動送信や複数カレンダーでの空き状況確認などが、Google One プレミアムやWorkspace Individualなど対象の契約の列に並んでいます。 作成はパソコンのブラウザからだけで、AndroidやiPhoneのアプリからは作れません。 なお、以前の「予約枠」は2024年8月7日で新規作成ができなくなり、予約スケジュールに一本化されています。 Fantasticalの側は、1つのリンクで20分・40分・60分のように複数の長さを選ばせたり、1日や1週間あたりの受付件数に上限を付けたりできるようになっています。 長さを分けて受けたい、件数を絞りたいという使い方なら、ここは置き換えで失うものがあります。

カレンダーセットは、標準のカレンダーの「カレンダーグループ」が近い働きをします。 ただし公式ガイドでは、グループを作れるのは「このMac内」の欄にあるカレンダーだけです。 iCloudやGoogleのアカウントに入っているカレンダーはグループにまとめられないため、表示の切り替えはチェックボックスで行うことになります。 Commandキーを押しながらチェックボックスを押すと、全カレンダーを一度に表示または非表示にできます。

メールの転送(有料版の機能)は、標準のカレンダーの公式ガイドにある「話し言葉で書かれた予定はメールやSafariなどのアプリでも検出される」という仕組みで、ある程度まで代わりになります。 転送用のアドレスに送る手間がなくなる代わりに、見つかった予定を1件ずつ追加する操作が残ります。

箱3:代わりが見つかりにくい機能

最後の箱には、Macの標準のカレンダーの公式ガイドの目次に、同じ働きをする項目が見当たらない機能が入ります。

  • カレンダーのミラーリング:あるカレンダーの予定を、別のカレンダーに「予定あり」の枠として自動で写す
  • 重複した予定の統合:同じ会議が2つのカレンダーに入っているとき、1件にまとめて表示する
  • 共有カレンダーの予定を自分の画面だけで隠す
  • 会議URLの判別:2026年9月時点の料金ページでは、Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsを含む38種類のサービスのURLを予定から見つけ、参加ボタンを出す
  • 画像や書類からの予定の読み取り:チラシの写真やPDFを渡すと、複数の予定をまとめて取り出す

同僚の名前を入れてその人の予定を自分の予定の横に重ねるMeet Withも、2026年6月にMacとiOS向けに加わりました。 これは会社のカレンダーの権限設定に従って表示されるため、代わりになるかどうかは、会社で使っているカレンダーのサービス側に空き時間を見る機能があるかで決まります。

ミラーリングについて、公式ブログは次のように説明しています。

No event information is sent to Flexibits servers or saved outside of your device. You can choose to show full event details or just block the time out as a mysterious, professional "Busy". 出典: flexibits.com

写す範囲は、過去2週間分に加えて、設定した先の期間です。 無料版では先2週間、有料版では先6か月まで設定できます。 私用の予定を仕事のカレンダーに写し、同僚が勝手に会議を入れないようにしている人にとって、これは日々の二重予約を防ぐ仕組みそのものです。 手作業で同じことをすると、予定が動くたびに両方のカレンダーを直すことになります。

画像からの読み取りは2026年9月10日に公開された機能で、Macでは画像やPDFをメインのウインドウにドラッグして使います。 初回に画像のアップロードの許可を求められ、処理のあとデータはすぐに削除されると公式ブログは説明しています。

箱3の機能を毎日使っているかどうかは、予定表を見れば判断できます。 私用と仕事のカレンダーの両方に同じ予定の影がある、同じ会議が2件並んでいない、というのは、裏でこれらの機能が働いている印です。

手放して困るのは機能より「つなぎ方」

機能の仕分けとは別に、乗り換えのときに見落とされやすいのが、カレンダーのアカウントをどうつないでいるかです。 Fantasticalは、iCloud、Google、Exchange、Microsoft 365、Fastmail、Fruux、Meetup、Todoist、Webex、Zoom、その他のCalDAVのアカウントを、アプリに直接登録して使います。 macOSのシステム設定に登録したアカウントを読むのとは、別の経路です。

この違いが特に効くのが、会社のMicrosoft 365です。 公式ブログは2026年8月18日に、Microsoftがカレンダーをつなぐ古い方式(EWS)を段階的に止めるとして、次の日程を案内しています。

  • 2026年10月1日:EWSの利用がすべてのユーザーで既定で無効になり始める
  • 2027年4月1日:EWSが完全に停止する

Fantasticalでは、設定のアカウントからMicrosoft 365のアカウントを選び、Microsoft Graphへ移す操作が用意されています。 複数のMicrosoft 365のアカウントを持っている場合は、それぞれで、しかも使っているすべての端末で移す必要があります。

代わりのアプリを選ぶ場合も、同じ日程の影響を受けます。 会社のカレンダーをつなぐアプリが2026年10月以降も同期できるかどうかは、機能の多さより先に確かめておく点です。 共有されている上司や同僚のカレンダーが見えるかどうかも、アカウントの種類とつなぎ方で変わります。

無料版に落とすと、何が消えて何が残るか

代わりのアプリに移る前に、Fantasticalの無料版に落とすという選び方もあります。 公式の機能比較表で無料の側に残るのは、アカウントの追加、話し言葉での予定とタスクの入力、通知、日・週・月・四半期・年の表示、場所の地図表示、ホーム画面のウィジェットです。 一方、次の機能は有料の側にあるため、無料版に落とすと使えなくなります。

  • 移動時間と出発時刻の通知、よく使うタイムゾーン
  • 予定とタスクのテンプレート、予定ごとの色、絵文字のバッジ
  • プッシュ同期、Apple Watch対応、メールの転送
  • 会議URLの判別と参加ボタン、重複した予定の統合、予定を隠す機能
  • 日程調整(Openings、候補日の投票、出欠の受付)

数で区切られる項目もあり、カレンダーセットは1つまで、1件の予定に招待できるのは1人まで、天気予報は3日分になります。

解約の扱いは公式のよくある質問に書かれています。 解約しても次の請求日までは有料の機能を使え、すでに請求された分は返金されません。 公式サイトで契約した人はFlexibitsアカウントの請求の画面から、App Storeで契約した人はApple側のサブスクリプションの管理から手続きします。 なお、Fantastical 2を買い切りで持っていた人は、そのとき使えた機能が定期購入なしで引き続き使えます。

1週間分の予定表で、手放す機能を決める

仕分けを実際の判断に変えるには、次の順番で予定表を見返します。

  • 手順1:過去1週間で、Fantasticalから入れた予定を数え、文で入れたものに印を付ける
  • 手順2:移動を挟んだ予定と、出発の通知を受けた回数を数える
  • 手順3:私用と仕事のカレンダーの間で、ミラーリングで写っている予定があるか見る
  • 手順4:自分から空き時間のリンクを送った回数と、会議URLの参加ボタンを押した回数を数える
  • 手順5:会社のカレンダーがMicrosoft 365なら、つなぎ方がGraphかどうかを確かめる

手順1と手順2だけに数字が立つなら、箱1の機能で足りています。 手順4に数字が立つなら、Googleカレンダーの予約スケジュールで置き換えられるか、受付件数の上限や複数の長さが要るかを確かめます。 手順3で写っている予定が週に3件以上あるような使い方なら、ミラーリングの代わりをどう作るかが決まるまで、乗り換えを急がないほうが二重予約は起きにくくなります。

年払いの個人向けは年10,000円で、2023年1月3日の料金改定から金額は変わっていません。 この金額と、箱3の機能を使った回数を並べると、残すか手放すかを同じ物差しで判断できます。

独自データ考察:移動の穴は、どの箱にも入らない

機能を3つの箱に分けても、仕分けの外に残る問題があります。 会議と会議の間の移動が、予定表の上で「空いている時間」に見えてしまうことです。 11時に終わる会議のあと12時に別の場所で次の会議があり、移動に45分かかるなら、実際に使える時間は15分です。 Fantasticalでも標準のカレンダーでも移動時間は設定できますが、どちらも予定ごとに移動を入れる操作が前提で、入れ忘れた予定の前後は空いて見えます。

Mac用のカレンダーアプリで、移動を予定の一部として扱う考え方は移動時間に手順としてまとめています。 話し言葉や音声で予定を入れる操作は予定の入れ方に、備えている機能の全体はできること使い方にあります。 複数のカレンダーアプリを料金や対応端末で並べた表は他のカレンダーとの比較で、価格は購入で確認できます。 支払いや試用についての細かな疑問はよくある質問にまとめました。

手放す機能を決めるときは、機能の名前ではなく、1週間の予定表で実際に何回その機能に助けられたかを数えるところから始めると、判断がぶれにくくなります。

よくある質問

Fantasticalをやめて、Macの標準のカレンダーに戻すと何が困りますか?

話し言葉での入力、リマインダーの表示、移動時間と出発の通知、タイムゾーンの切り替えは標準のカレンダーにもあります。困りやすいのは、カレンダーのミラーリング、重複した予定の統合、共有カレンダーの予定を隠す機能、会議URLの参加ボタンです。過去1週間でこれらに頼った回数を数えると判断しやすくなります。

Fantasticalの空き時間リンクの代わりに、無料で使えるものはありますか?

Googleカレンダーの予約スケジュールは、個人のGoogleアカウントでも予約ページを1つ作れます。作成はパソコンのブラウザからだけです。メールでの自動リマインダーなどはGoogle WorkspaceかGoogle Oneの対象契約が必要です。複数の長さを選ばせる、受付件数に上限を付けるといった使い方は、事前に同じ設定ができるか確かめてください。

会社のMicrosoft 365の予定が、2026年10月以降に同期しなくなることはありますか?

Flexibitsの公式ブログは、Microsoftが2026年10月1日からEWSを既定で無効にし始め、2027年4月1日に完全に停止すると案内しています。Fantasticalでは設定のアカウントからMicrosoft Graphへ移す操作があり、アカウントごと、端末ごとに行う必要があります。代わりのアプリを使う場合も、同期の方式を確かめておくと安心です。

有料版を解約したら、すぐに機能が使えなくなりますか?

公式のよくある質問によると、解約しても次の請求日までは有料の機能を使えます。すでに請求された分は返金されません。14日間の試用中にやめる場合は、試用が終わる24時間前までに解約します。公式サイトで契約した人はFlexibitsアカウントの請求画面、App Storeで契約した人はAppleのサブスクリプション管理から手続きします。

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