Googleカレンダーを複数アカウントで共有する前に決めること

会社から支給されたアカウント、昔から使っている個人のアカウント、案件用に作ったもう1つ。googleカレンダーの複数アカウント共有を調べている人の手元には、たいてい3つ前後のアカウントが動いています。どこに何が入っているか自分でも把握しきれず、誰かに空き時間を聞かれるたびに全部を開いて確認することになります。

共有の手順そのものは短く、公式のヘルプにも書かれています。それでも失敗が起きるのは、手順を間違えるからではありません。共有しようとしているカレンダーが、そもそも持たせるべきでないアカウントに入っているからです。この食い違いは数ヶ月後、アカウントを1つ手放す日になって初めて表面化します。

同じ画面で解こうとしている、別々の要望

1つ目は自分の中で完結する話です。複数のアカウントを持っている本人が、全部を1つの画面で見たいだけで、他人は関わりません。誰にも権限を渡さないので、表示の設定に過ぎません。

2つ目は他人が関わる話です。同僚、家族、業務委託の相手に、見せる、あるいは編集させる。ここでは権限を渡しています。渡した権限は誤用されうるし、あとから取り消せる形にしておく必要があります。

この2つが同じものとして扱われるのは、Googleの画面が両方に同じ共有欄を使うからです。自分の個人アカウントのカレンダーを会社アカウントに見せる操作と、取引先に空き時間を見せる操作は、同じ設定画面の同じ選択肢で行います。仕組みとしては確かに同じです。ただし後者だけが「渡した相手が別の誰かに渡せる」「権限を消し忘れると残り続ける」という性質を持ちます。区別せずに操作した結果、通院の予定の件名が部署全員から読める状態になっていた、という事故はここから起きます。

設定画面を開く前に、いま解こうとしているのがどちらなのかを言葉にしておくと、選択肢が半分に減ります。前者なら権限の段階はほとんど関係なく、後者なら権限の段階がすべてです。

どのアカウントが持つかで、後から困る量が決まる

Googleカレンダーには、2つのアカウントを1つに統合する機能がありません。カレンダーの所有権を別のアカウントへ移す機能もありません。カレンダーは作ったアカウントのものであり続け、共有と呼ばれているものはすべて、その事実の上に重ねた「見せる許可」です。

そうすると、いちばん重要な問いは共有の手順ではなくなります。そのカレンダーを、どのアカウントで作るのか、です。

判断は「そのアカウントが消えたとき、何が消えるか」で行えます。会社のアカウントは退職した日に消え、そのアカウントが持っていたカレンダーも一緒に消えます。個人のアカウントは、勤務先より長く残る可能性が高いものです。勤務先より長く続く見込みのある予定表は、個人のアカウントで作って会社のアカウントに共有する向きが正しく、その逆にすると引き継ぎの日に作り直すことになります。

もう1つ、共有する範囲についての判断があります。もともと使っているメインのカレンダーをそのまま共有すると、そこに入っている全部を、これから先ずっと共有することになります。3年後に入力する予定も、権限を渡した時点では想定していないまま公開されます。共有用のカレンダーを1つ作り、そちらだけを共有するやり方なら、作業は1分ほど増えるだけで、線引きが意図した位置に留まります。相手ごとにカレンダーを分けるのではなく、関係ごとに分けるのが実務的です。取引先用、家族用、チーム用というふうに作り、それぞれをその関係より長く残るアカウントに持たせます。

実際の手順としては、共有する側のアカウントでGoogleカレンダーを開き、左側の一覧から対象のカレンダーの設定を開いて、特定のユーザーとの共有欄に相手のアドレスを足し、権限を選んで保存します。相手にはメールが届き、そこに載っているリンクを開いた時点で相手の一覧に追加されます。「共有したのに相手の画面に出ない」という相談で最も多い原因が、相手がこのリンクをまだ開いていないことです。設定を疑う前に、相手の受信箱を確認してもらうほうが早く終わります。

権限は5段階。取り違えやすいのは真ん中の2つ

特定のユーザーへの共有は、次の5段階のいずれかで行います。名前が似ているため、選び間違いが起きやすい部分です。

権限 相手に見えるもの 相手ができること
予定の表示(時間枠のみ、詳細は非表示) 埋まっている時間帯だけ なし
予定の詳細の表示 件名・時刻・場所・説明 なし
変更可能(限定公開の予定を、予定の有無としてのみ表示) 限定公開の予定を除く全部 作成・編集・削除
予定の詳細を変更、表示可能 全部と、他に誰が権限を持つか 作成・編集・削除
予定の変更および共有の管理 全部 上記に加えて他人への共有設定

中央の2つの違いが、実際にはいちばん効きます。片方は予定に付けた限定公開の設定を尊重し、その予定を「埋まっている」としか見せません。もう片方は中身まで見せます。大事な予定を限定公開にして守っているつもりでも、後者を選んだ時点でその保護は無くなります。共有相手が編集もする必要がある場合は、まず前者を選び、それで困ってから後者に上げるほうが安全です。

いちばん下の段階は、単に編集を許すものではありません。相手が第三者へ権限を配れるようになります。Googleはこの段階を、他人のカレンダーを共有するための条件として明記しています。

所有権が他のユーザーにあるカレンダーを共有するには、そのユーザーから「予定の変更および共有の管理」権限を付与してもらう必要があります。 出典: support.google.com

秘書や代理で日程を組む相手にはこの段階が適切で、定例会議を1つ足したいだけの同僚には過剰です。

なお、1つのカレンダーに対して相手ごとに違う段階を割り当てられます。チームのカレンダーを、3人には詳細まで、20人には時間枠だけ、という形にできます。カレンダーを2つに分けるより結果が良くなることが多いのは、分けると全員が「どちらに書くか」を覚え続けなければならなくなるからです。

会社のアカウントでは、共有できるかどうかを管理者が決める

職場や学校から支給されたアカウントは、共有の可否そのものが組織の設定になります。

職場または学校のアカウントで利用するカレンダーの場合、共有できるかどうかは管理者が決定します。 出典: support.google.com

現場では3つの症状として現れ、いずれも不具合と誤解されます。社外のアドレスへ共有すると、どの段階を選んでも時間枠だけの表示になる。社外のアドレスに招待が届かない。詳細を見せる段階が選択肢から消えている。

どれも手元の設定画面では直せず、時間をかけて調べる価値もありません。ここで多くの人が手を出す「招待メールを個人アカウントへ転送する」方法は、問題より悪い結果を招きます。転送した瞬間の写しができるだけで、以後の変更が反映されないためです。向きを逆にするのが早道です。共有用のカレンダーを個人のアカウント側で作り、会社のアカウントに権限を渡します。社外への持ち出しを制限する設定は、社外から受け取る側は止めません。

一度に大量に共有すると、静かに止まる

Googleは利用上の目安を公開しています。普段の使い方で触れることはありませんが、1つだけ現実に当たる場面があります。チーム全員分の共有設定を1日でまとめて作るときです。

Workspaceのアカウント向けの案内では、短期間に60個を超えるカレンダーを作らないこと、短期間に多くのユーザーと共有しないこと(目安として750件の共有)が挙げられています。ドメイン外への招待を短期間に1万件送ると外部への招待が制限され、ゲストへのメール送信機能で外部宛に送れるのは2,000通程度とされています。

問題になりやすいのは共有の件数です。30個のカレンダーを25人にそれぞれ共有すると、午後のうちに届いてしまいます。しかも制限はエラーとして出ません。保存できたように見えて、相手には何も届かない、という形で現れます。2日か3日に分けて作業すれば、この種の事故は起きません。新しいアカウントや無料のアカウントは、長く使っている有料のアカウントより厳しい側の目安が当たります。

パスワードを渡すのは、共有ではない

いちばん手軽に見える方法は、アカウントのパスワードを渡してしまうことです。これが後始末の効かない失敗になる理由を、はっきりさせておく価値があります。

同じアカウントに2人でログインした状態では、どの操作を誰が行ったのかが記録上まったく区別できません。取り消しも部分的にはできず、権限を外すにはパスワードを変えるしかないため、その瞬間にすべての端末と連携アプリが同時にログアウトします。二段階認証を入れていると事態はさらに悪くなります。確認コードは1台の電話にしか届かず、もう1人はログインのたびに止まります。

正規の共有は、この全部を解決します。権限はメールアドレスに紐づき、必要な段階だけを渡せて、外すときは1つの選択肢を変えるだけで済みます。設定のときに増える手間は1分程度で、後片付けの手間はゼロになります。

共有で見えるようになるのは、衝突だけ

すべてのアカウントが1つの画面に並び、必要な相手に必要な段階が渡ったあとで、別の問題が姿を現します。画面が正直になった結果、その1週間に余白がほとんど無いことがはっきりするからです。共有は衝突を可視化しますが、衝突を防ぐための余白を作りはしません。

余白が失われるのは共有の瞬間ではなく、予定を入れる瞬間です。2つの場所の間の移動、通話の前の10分、重い打ち合わせのあとの立て直し。これらは自動では入らず、あとから手で足すことはほとんど起きません。分かれ目は「時間が要ると気づいてから、それが枠になるまでの手数」です。話し言葉と音声で予定を入れられる入力方式が効くのは、その手数を削るためです。移動と余白を予定の一部として持たせる考え方は移動時間に、入力そのものの作法は予定の入れ方にまとまっています。

アカウントの持たせ方が決まって、残る弱点が「見る画面」のほうだった場合は、複数アカウントを1画面に並べたときの扱いがアプリごとにどう違うかを他のカレンダーとの比較で確認できます。順番としては、所有権を決めてから道具を見に行くほうが、比較にかかる時間が短く済みます。

よくある質問

複数のGoogleアカウントを1つにまとめられますか?

まとめられません。Googleカレンダーにアカウントを統合する機能はなく、カレンダーの所有権を別のアカウントへ移すこともできません。選べるのは、両方を残したまま片方をもう片方に見せる共有と、予定を一度だけ複製する書き出しと読み込みの2つです。両方のアカウントを使い続けるなら、正しいのは共有のほうです。

共有したのにMacのカレンダーアプリに出てこないのはなぜですか?

アプリ側の不具合ではありません。デスクトップのアプリへ自動で同期するのは「マイカレンダー」に入っているものだけで、他人から共有されたカレンダーはその外側にあります。Googleの同期設定のページでそのカレンダーをオンにすると表示されます。アカウントを削除して追加し直しても変わりません。設定はGoogle側にあるためです。

秘書や代理の人にはどの権限を渡せばよいですか?

本人の代わりに日程を組み、必要に応じて他の人にも見せてもらうなら「予定の変更および共有の管理」です。他人が所有するカレンダーを共有できるのはこの段階だけです。会議を足したり動かしたりするだけなら変更可能の2つで足り、限定公開の予定を時間枠としてのみ見せる側を選んだほうが安全です。

社外のアドレスに共有すると時間枠しか見えません。設定で直せますか?

そのカレンダーが会社や学校のアカウントに属している場合、個人の設定画面では直せません。社外共有の可否は管理者が決めており、利用者より上の階層で適用されます。現実的な回避は向きを逆にすることです。共有用のカレンダーをその制限の外にあるアカウントで作り、会社のアカウントに権限を渡す形にします。

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