iPhoneとMacのカレンダー同期は、機器同士では起きていない
iphone mac カレンダー 同期という言い方には、事実と少しずれた前提が含まれています。2台の機器が互いに話しているように見えますが、実際にはどちらも起きていません。iPhoneはアカウントに書き、Macは同じアカウントから読んでいるだけです。片方に出て片方に出ない予定があるとき、原因はほぼ例外なく「同じアカウントを見ていない」か「同じアカウントの中の別のカレンダーを見ている」のどちらかです。
この構造が頭に入っていないと、機器の再起動やアカウントの削除と再追加から手を付けることになり、いちばん時間がかかる順番で試すことになります。ここでは、予定がどこに置かれるのかを先に確認し、片方にしか出ない状態の原因を絞り込む順番、そして同期が直った後にも残る問題までを扱います。
予定の実体は、機器ではなくアカウントの中にある
カレンダーの予定は、機器の中に保存されているわけではありません。iCloud、Google、Exchangeといったアカウントの側に置かれ、iPhoneもMacもそれを読み書きする窓口として動いています。この前提が成り立っているとき、片方で作った予定は数秒から数分でもう片方に出ます。
例外が2つあります。1つは、機器の中だけに置かれるローカルのカレンダーです。Macでは「このMac」、iPhoneでは端末内のカレンダーとして現れます。ここに作った予定は、設計上どこにも送られません。もう片方に出ないのは不具合ではなく、そういう置き場所を選んだ結果です。予定を作る画面でカレンダーの選択欄を見ると、どこに置こうとしているかが分かります。
ローカルのカレンダーは、意図して選ぶものではなく、選択肢の一番上にあったから選ばれることがほとんどです。アカウントを追加する前に作った予定が、そのまま端末の中に残っている場合もあります。心当たりがあるなら、ローカルのカレンダーを表示させて中身を確認し、必要なものだけアカウント側へ移してください。移動は、予定を開いてカレンダーの欄を変えるだけで済みます。
もう1つは、書き込めない購読のカレンダーです。祝日や試合日程のように、配信されているものを重ねて表示しているだけの場合、そこには予定を追加できません。追加しようとすると別のカレンダーに落ちるため、意図した場所と違うところに入ります。
置き場所がそのまま届く範囲になることは、購読するカレンダーを追加する画面の説明にはっきり表れています。
iCloudアカウントを選択すると、iCloudを設定済みのすべてのコンピュータおよびデバイスでカレンダーを使用できます。 「 このMac内 」を選択すると、カレンダーはお使いのコンピュータに保存されます。 出典: support.apple.com
購読のカレンダーにも置き場所の選択があるということは、祝日や試合日程を1台にしか入れていない状態が普通に起こり得るということでもあります。他の予定は両方に出ているのに祝日だけが片方にない、という症状は、追加したときに選んだ場所がそのまま効いているだけで、同期の不具合ではありません。
片方にしか出ないとき、確認が軽い順に3つ
原因を探すとき、手数の少ないものから順に見ると早く終わります。
1. 表示が外れているだけ
いちばん多いのがこれです。アカウントの中には複数のカレンダーがあり、機器ごとにどれを表示するかのチェックが別々に保存されています。Macのサイドバーでは色が付いているのに、iPhoneのカレンダー一覧では外れている、という状態が起きます。予定は同期されていて、見えていないだけです。
チェックが別々に保存されるのは仕様であって、不具合ではありません。手元の端末では仕事のカレンダーだけを見たい、机の前では全部見たい、という使い分けができるようにするためです。ただし、この仕組みのせいで「同期していない」と誤解される場面が最も多くなっています。予定が見当たらないときに最初に見るべきなのは、通信でも認証でもなく、カレンダーの一覧のチェックです。
Googleのアカウントには、これに加えてもう一段あります。iPhoneやMacの標準アプリに表示するカレンダーを選ぶ画面が、ブラウザ側に用意されています。ここで外れているカレンダーは、機器の側でいくらチェックを入れても出てきません。副カレンダーだけが出ない、という症状のときは、まずここを疑うと早いです。
2. 既定の作成先がずれている
予定を作るとき、どのカレンダーに入るかの初期値は機器ごとに設定されます。iPhoneの既定が個人のiCloud、Macの既定が仕事のGoogle、という状態になっていると、入力した機器によって予定の行き先が変わります。両方とも同期はしているので、探せば見つかりますが、探すまでは消えたように見えます。
この設定は、iPhoneとMacの両方で同じ値にそろえておくのが確実です。作る場所を毎回選ぶ運用は、急いでいるときに崩れます。
見分け方は簡単で、消えたと感じる予定に規則性があるかどうかです。iPhoneで作ったものだけが見当たらない、あるいはMacで作ったものだけが相手に共有されない、という形で偏っていれば、既定の作成先のずれです。日によってばらばらであれば、別の原因を探すことになります。
そろえる値をどちらにするかは、共有の相手で決めるのが無難です。仕事の予定を同僚から見られる必要があるなら、既定は仕事側のアカウントにします。個人の予定は、作るときに手で移すほうが事故が少なくなります。逆にすると、私的な予定が同僚の画面に並ぶ事故が起きます。
3. 更新の間隔と認証
上の2つで出ないなら、次は更新の設定です。Macのカレンダーには、アカウントごとに更新の頻度を選ぶ項目があり、押し出しで即時に届く設定と、決まった間隔で取りに行く設定が選べます。間隔を長くしていると、iPhoneで入れた予定がMacに出るまで待たされます。すぐに確かめたいときは、表示のメニューからカレンダーの更新を手で実行できます。
更新の頻度は電池の持ちとも関係します。すべてのアカウントを押し出しにすると、変更のたびに通信が起きます。実際には、仕事のアカウントだけ即時にして、購読している祝日のカレンダーは1時間や1日の間隔にしておけば足ります。祝日が急に変わることはないので、そこに通信を使う理由がありません。
それでも変わらない場合に、はじめて認証を疑います。同期されない場合の公式の案内では、まずサービスのシステム状況に障害が出ていないかを調べ、次にiOSとmacOSが最新かを確かめ、すべての機器で同じApple Accountにサインインしているか、iCloudの設定でカレンダーが有効になっているか、日付と時刻の設定が現在地に対して正しいかを順に確認する流れが示されています。日付と時刻は見落とされやすい項目で、ここがずれていると通信そのものが弾かれることがあります。
アカウントの削除と再追加を後回しにするのには理由があります。この操作は、まだアカウントへ送られていなかった手元の予定を巻き添えにすることがあり、直そうとして失う側に回りかねません。時刻の設定違いが認証の失敗として現れるとき、症状だけを見て再追加に進むのが最も危ない道になります。
会社のカレンダーだけ様子が違うとき
仕事のアカウントがExchangeの場合、個人のカレンダーとは扱いが変わります。追加したカレンダーが増えても、すべての機能が使えるのは1つだけです。
メインのExchangeカレンダーでしか、すべてのカレンダー機能を使用できません。 出典: support.apple.com
具体的に何が落ちるかも明記されています。追加したカレンダーの予定については、更新された参加依頼や出席者の応答が表示されません。さらに、そのカレンダーの予定は、カレンダーアカウントを共有している相手からは見えず、空き時間状況を確認されたときにも現れません。
この制限は、機器を増やしても変わりません。iPhoneで見ても、Macで見ても、追加したカレンダーの予定には出席者の応答が付きません。同期の設定を何度やり直しても直らない理由がここにあります。整理したい気持ちは色や分類で満たし、予定そのものは分けないでおくのが安全です。
つまり、Exchangeのアカウントで会議の招待を扱うなら、予定はメインのカレンダーに置く必要があります。整理のつもりでカレンダーを分けると、相手からは空いているように見えてしまい、二重に予約が入る原因になります。同期が壊れているように見える症状の一部は、この仕様によるものです。
二重に見える予定と、消したのに残る予定
同じ予定が2件並ぶとき、原因は同期の失敗ではなく、同じ予定が2つの経路で届いていることです。よくあるのは3つの形です。
1つめは、同じアカウントを2通りの方法で追加している場合です。Googleのアカウントを、標準のカレンダーに追加すると同時に、別のアプリからも同じカレンダーを読み込ませていると、同じ予定が別々のカレンダーとして重なります。色が違うので見分けられます。
2つめは、招待を受けた予定を自分でも作っている場合です。会議の招待が届いているのに、忘れないようにと自分のカレンダーにも入れると、出席者の応答が付いた予定と付いていない予定が並びます。
3つめは、購読しているカレンダーに自分の予定と同じものが含まれている場合です。共有された仕事用のカレンダーを購読しつつ、そのカレンダーの予定に自分も招待されていると、二重に見えます。
対処は、重複した予定を消すことではなく、届く経路をひとつ減らすことです。ここを間違えると事故になります。見えている片方を削除すると、実体としては招待そのものを削除してしまい、主催者に辞退として伝わることがあります。まず色を確認し、どのカレンダー由来かを見極めてから、不要な側のカレンダーの表示を外すか、購読を解除してください。
消したのに残る、という症状は逆向きの現象です。片方の機器から削除した情報が、まだもう片方に届いていない状態で、そちらの機器が古い情報を送り返しています。この場合、両方の機器でカレンダーの更新を実行し、少し待ってから確認すると解消することがほとんどです。
同期が直っても、一日が回るとは限らない
ここまでの確認で予定は両方の機器にそろいますが、そろったからといって一日が回るわけではありません。同期の相談として持ち込まれる困りごとのうち、実際には同期と関係のないものが混ざっています。
代表的なのが、移動時間です。iPhoneで外出先の予定を入れ、Macで社内の予定を入れていると、両方はきちんと同期します。しかし、外の予定が終わる場所と次の予定の場所の距離は、どちらの機器も見ていません。15分後に別の場所の予定が入っていても、それぞれの予定としては正しく登録できてしまいます。住所から所要時間を出して移動そのものを予定として置く考え方は移動時間に整理されています。
もうひとつが、入力の場所によって内容の粒度が変わることです。iPhoneで急いで入れた予定は題名だけになりやすく、Macで入れた予定には場所も出席者も入ります。同じカレンダーの中に情報量の違う予定が混ざると、後から見たときに判断できません。どちらの機器でも同じ書き方で入れられるようにしておくことが、同期の設定より効きます。話し言葉のまま日時と場所と会議のリンクまで解釈させる入力の考え方は予定の入れ方にまとまっています。
確認の順番としては、まず表示のチェック、次に既定の作成先、次に更新の間隔、最後に認証です。この順で見れば、多くの場合は最初の2つで終わります。それでも合わないときだけ、アカウントの追加をやり直してください。道具そのものが何を引き受けるのかはできることに一覧があり、他の製品との違いは他のカレンダーとの比較で確認できます。費用の条件は購入に、導入前の疑問はよくある質問にまとまっています。
よくある質問
iPhoneで入れた予定がMacに出ません。何から確認すればよいですか?
まず、その予定がどのカレンダーに入ったかを確認してください。端末内だけのローカルカレンダーに入っている場合、設計上どこにも送られません。次に、Mac側でそのカレンダーの表示チェックが外れていないかを見ます。Googleのアカウントでは、機器に表示するカレンダーをブラウザ側で選ぶ画面もあり、そこで外れていると機器側の操作では出てきません。
反映されるまでに時間がかかるのはなぜですか?
Macのカレンダーはアカウントごとに更新の頻度を設定でき、押し出しで即時に受け取る設定と、決まった間隔で取りに行く設定があります。間隔を長くしていると、その分だけ遅れます。すぐに確認したいときは、表示のメニューからカレンダーの更新を手で実行してください。それでも変わらない場合は、日付と時刻の設定が正しいかを両方の機器で確かめます。
会社のExchangeのカレンダーだけ挙動が違うのはなぜですか?
Appleのサポート情報では、すべてのカレンダー機能が使えるのはメインのExchangeカレンダーだけだと明記されています。追加したカレンダーの予定は、更新された参加依頼や出席者の応答が表示されず、アカウントを共有している相手からも見えません。会議の招待を扱う予定は、整理のために分けず、メインのカレンダーに置いてください。
同じ予定が2件ずつ表示されます。同期の不具合ですか?
同期の失敗ではなく、同じ予定が2つの経路で届いている状態です。同じアカウントを標準のカレンダーと別のアプリの両方から読み込んでいる、招待された予定を自分でも作っている、購読中のカレンダーに同じ予定が含まれている、のいずれかであることがほとんどです。色を見れば、どのカレンダー由来かが分かるので、不要な側の表示を外すか登録を解除してください。