Macのアップグレードの時間|4つの段階と予定の押さえ方
Macのアップグレードにかかる時間を調べる理由は、たいてい好奇心ではありません。今日中に済ませたい、通知は何日も出続けている、そして次の予定までの空きで足りるのかを知りたい、という日程の問題です。答えは2つに分かれます。所要時間はAppleが公表していません。そして、本当に押さえるべきなのは全体の長さではなく、Macが完全に使えなくなる区間がどこかという点です。この記事では、工程を分解して、予定表のどこに枠を置けばよいかまで決められる形にします。
所要時間が公表されない理由
AppleのmacOSの入手方法に関する公式ページは、経路ごとの手順を細かく説明していますが、どれくらいの時間がかかるかには一切触れていません。これは情報を伏せているというより、時間を決めているのがソフトウェア側ではないためです。
インストーラの大きさはギガバイト単位で、ダウンロードにかかる時間は回線の速さでそのまま決まります。同じmacOSの中での小さな更新と、メジャーバージョンをまたぐアップグレードでは、置き換えられる範囲が違います。空き容量、内蔵ストレージの速さ、機種の世代、暗号化の有無も効きます。条件が違えば結果も違うので、共通の数字を出しようがありません。
もう1つの理由は、工程が一続きではないことです。実際には4つの段階に分かれていて、Macを触れなくなるのはそのうちの1つだけです。ここを分けずに「アップグレードは何時間」と考えるから、予定が合わなくなります。
4つの段階のうち、押さえるべき枠は1つ
工程を分けると、どこを予定表に入れるべきかがはっきりします。
| 段階 | 何が起きるか | Macを使えるか |
|---|---|---|
| ダウンロード | インストーラが裏で取得される | 使える |
| 準備 | インストーラの展開と検証が走る | 使えるが多少遅くなる |
| 再起動とインストール | システムが置き換わり、再起動が挟まる | 使えない |
| 初回ログイン後 | 設定の確認、索引作成、権限の再許可 | 一応使えるが遅い |
ダウンロードは午前の作業中に始めても構いませんし、そのまま裏で進みます。準備の段階も同様です。画面を占有するのは再起動とインストールの段階だけで、ここだけが「他のことに一切使えない時間」になります。
昼休みのあとにやろう、という計画がうまくいかないのはこのためです。ダウンロードを始めていなければ、空き時間ができた瞬間からすべてが始まります。前の晩にダウンロードだけ済ませておけば、押さえるべき枠から最も長くて読めない部分が消えます。
時間を左右する5つの条件
差が出るのは次の5点です。どれも事前に自分で確認できます。
- 回線の速さとインストーラの大きさ:ここは単純な割り算で見積もれます。共用の回線や外出先の接続では、分の単位が時間の単位に変わります。夜間に回す効果がいちばん大きいのもこの部分です
- 更新かアップグレードか:同じメジャーバージョン内の更新は置き換える範囲が狭く、バージョンをまたぐアップグレードはシステムそのものを入れ替えます
- 空き容量:インストーラ自身の置き場所と、作業のための領域が要ります。残りが少ないディスクは遅くなるだけでなく、途中で止まる原因にもなります
- 機種と内蔵ストレージ:Appleシリコン搭載の新しいMacは、インストールの段階を明確に速く抜けます。ソフトウェア側の設定では埋まらない差です
- 暗号化とアカウントの数:ディスク全体を暗号化していて、利用者アカウントが複数ある構成は、再起動後にやることが増えます
前回のアップグレードにかかった時間を、そのまま次回の見積もりに使うのは避けてください。リリースごとにインストーラの大きさが変わるため、同じMacでも所要時間は動きます。
なお、進捗の表示が長時間動かないように見えることがありますが、残り時間の表示はもともと精度が高くありません。画面が真っ暗なまま、あるいは進捗のバーが止まって見える状態が続いても、電源を切るのがいちばん危険な操作です。中断すると、復旧のための作業が別途必要になり、当初の見積もりとは比べものにならない時間がかかります。放置できる時間帯に始める、という原則はここから来ています。
Appleが案内している入手経路
経路は1つではなく、選び方で時間も危険度も変わります。公式ページは「ソフトウェアアップデート」について次のように書いています。
「ソフトウェアアップデート」は、ほかのどの方法よりも速くて簡単にmacOSのアップデートとアップグレードを入手でき、場合によっては、ダウンロードとインストールに必要な保存容量が少なくすみます。 出典: support.apple.com
同じページには、対応していないソフトウェアは表示されないとも書かれています。つまりソフトウェアアップデートの画面そのものが、対応機種の確認を兼ねています。最新のmacOS Tahoe 26については、App Storeへのリンクではなく、ソフトウェアアップデートかターミナルを使う、と案内されています。
ターミナルを使う経路では、softwareupdate --list-full-installers でそのMacに入れられるバージョンの一覧を出し、softwareupdate --fetch-full-installer --full-installer-version にバージョン番号を続けて実行すると、完全なインストーラがアプリケーションフォルダに置かれます。複数台に同じバージョンを入れる場合に効きます。
macOS復旧からの再インストールは、アップグレードではなく復旧のための経路です。ソフトウェアアップデートからインストールできない場合や、Macが正常に起動しない場合に使います。必要なものを途中でAppleから取得するため、時間は長くなります。起動可能なインストーラは、何台にも入れるときにダウンロードを1回で済ませるための手段です。1台を1回アップグレードするだけなら、ソフトウェアアップデートが最も手数が少なく、失敗の余地も少ない経路になります。
終わったあとに残る作業のほうが、予定を壊す
進捗のバーが消えた時点では終わっていません。見積もりから抜け落ちるのはここです。
メジャーバージョンをまたいだ直後の初回ログインでは、設定の確認画面がいくつか出ます。裏では索引の作成が走るので、検索が当てにならず、本体も熱を持ちます。そして、システムの権限を必要とするアプリは、許可をもう一度与え直す必要があります。問題は、その対象がちょうど会議で使うアプリだという点です。
画面収録の許可、マイクの使用、カメラの使用は、アップグレード後にそのアプリが最初に要求した時点で初めて確認画面が出ます。アップグレード直後にビデオ会議へ入ると、画面共有が動かず、設定画面を開いてアプリを再起動する羽目になります。参加者全員を待たせる5分から10分が、いちばん人目につく場面で発生します。
同期するものにも作業が残ります。メールは受信し直し、クラウドのストレージは中身を照合し、複数のアカウントを読むカレンダーは1つずつ接続し直します。難しい作業ではありませんが、瞬時には終わりません。しかも索引の作成と同時に走るので、通常より時間がかかります。したがって、インストールと同じ長さの余白を後ろに取り、その余白の中に画面共有を伴う予定を入れない、という置き方になります。
自動で始まらないようにしておく
時間の話でもう1つ押さえておきたいのが、アップグレードが自分の意思とは別のタイミングで動き出す経路です。
macOSは、更新の準備ができた段階で再起動を促す通知を出します。この通知は、会議中でも画面共有中でも遠慮なく前面に出ます。自動での更新を有効にしていると、ダウンロードと準備までが裏で進み、あとは再起動を待つだけ、という状態が作られます。その状態で「今すぐ再起動」を押し間違えると、押さえていない時間帯にインストールの段階が始まります。
対処は難しくありません。システム設定のソフトウェアアップデートの詳細設定で、どこまでを自動にするかを選べます。更新の確認とダウンロードまでは自動に任せ、インストールだけは手動にしておくと、時間の主導権はこちら側に残ります。ダウンロードが済んだ状態で待機してくれるので、前日にダウンロードを終わらせておくという先ほどの手順とも噛み合います。
もう1つ、画面共有をする予定の前後は集中モードを使って通知そのものを止めておくと、通知が相手の画面に映る事故も一緒に防げます。アップグレードの時間を計画する話は、突き詰めると「いつ再起動を許すか」を自分で決める話に近づきます。
予定表のどこに枠を置くか
やることは3つです。
前提として、枠は「1時間くらい」といった曖昧な幅ではなく、開始時刻と終了時刻を決めた予定として置いてください。幅で持っている限り、その時間は他の予定に食われます。終了時刻を決めておけば、想定より延びたときに何を諦めるかの判断も、その場でできます。
1つ目は、作業のまとまりの終わりに置くことです。インストールの段階は、そのあとにMacを必要とする予定がない時間帯を求めます。昼休みの直前は、昼休みが本当に休みなら成立します。退勤前はもっと確実で、機械だけで終わらせられます。
2つ目は、余白まで含めて「予定あり」で入れることです。枠として入っていない時間は、あらゆる日程調整の仕組みから空き時間として扱われ、その日のうちに誰かの会議が入ります。入力そのものを軽くしておくことも効きます。話し言葉と音声で予定を入れられる形なら、思いついた時点で枠を置けるので、後回しにして忘れる経路が減ります。書き方は予定の入れ方にまとめてあります。
3つ目は、枠の前後を確認することです。特に、直後に移動を伴う予定がないかを見てください。あと10分かかる状態のMacは、閉じて持ち出せません。次の予定に移動時間を持たせておけば、この衝突は玄関で気づくのではなく画面の上で先に見えます。設定のしかたは移動時間を参照してください。
前日のうちに済ませること
枠の中に入れてはいけない作業が3つあります。
まず、対応機種の確認です。ソフトウェアアップデートに「Macは最新の状態です」と表示されるなら、そのMacに新しいバージョンは提供されていません。この1行で、そもそも実行できないアップグレードの計画がなくなります。
次にバックアップです。外付けディスクへの初回のバックアップは、データ量とディスクの速さによってはアップグレードそのものより長くかかります。これを当日の枠の中で走らせるから、1時間の予定が半日になります。前日の夜にインストーラのダウンロードと一緒に回しておけば、業務時間は1分も使いません。
最後に、電源と接続の確保です。電池で動かしたまま、電波の不安定な場所でインストールを始めるのが、中断して復旧作業になる典型的な条件です。電源につなぎ、安定した回線で、放置できる状態にしておく。ここまで前日に済ませておけば、当日に押さえるべきなのはインストールの段階とその後の余白だけになり、はじめて現実的な長さの枠として見積もれます。道具ごとの入力や表示の違いを比べたい場合は他のカレンダーとの比較を、機能の範囲はできることを参照してください。
よくある質問
Macのアップグレードは何時間くらいかかりますか?
Appleは所要時間を公表していません。回線の速さ、インストーラの大きさ、空き容量、機種の世代で大きく変わるためです。実務的には工程を分けて考えてください。ダウンロードと準備は裏で進み、Macを触れなくなるのは再起動とインストールの段階だけです。前日にダウンロードを済ませておけば、押さえる枠は短く読めるものになります。
ダウンロード中もMacは使えますか?
使えます。ダウンロードと準備の段階は他の作業と並行できます。ただし再起動が始まると画面が占有され、終わるまで他のことはできません。予定表に入れるべきなのはダウンロードではなく、この再起動から先の区間です。
アップグレードのあとに画面共有ができなくなるのはなぜですか?
画面収録やカメラ、マイクといったシステムの権限が、メジャーバージョンをまたいだあとに再許可を求められるためです。確認画面はそのアプリが最初に要求したときに出るので、会議の場で初めて気づくことになります。余白の時間にビデオ会議のアプリを一度起動しておけば防げます。
最新のmacOSはApp Storeから入手できますか?
Appleのダウンロード方法の案内では、最新のmacOS Tahoe 26についてはソフトウェアアップデートかターミナルを使うと記載されており、以前のバージョンのようなApp Storeへのリンクは示されていません。1台を1回アップグレードするだけなら、システム設定のソフトウェアアップデートが最も手数の少ない経路です。