複数カレンダーを1つで管理するアプリの選び方|Mac
仕事用のGoogleアカウント、個人のiCloud、家族と共有しているカレンダー、学校や取引先から配信されている購読カレンダー。app to manage multiple calendarsという語で探し始めるのは、たいていアカウントが3つ4つに増えて、全部見えているのに一日が回らなくなったときです。
この記事では、複数のカレンダーを1つの画面にまとめたあとで実際に壊れる場所を、起きる順に並べます。結論を先に書くと、まとめて表示することはどのアプリでもできていて、問題が出るのは「新しい予定がどのカレンダーに入るか」「相手からどこまで見えているか」「いつ更新されるか」の3点です。この3つを決めてから道具を選ぶと、乗り換えても同じ不便を持ち越さずに済みます。
表示を1つにする機能は、もう差にならない
カレンダーのアプリは、iCloudやGoogleやExchange、CalDAVのアカウントに接続して、サーバー上の予定を読んで描いています。読む処理はどの製品でも同じ結果になるので、同じ4アカウントをつないだ2つのアプリは、同じ予定を表示します。ここで生まれる差は、1画面に何週間入るか、文字の密度がどうか、色の付け方が見やすいか、という表示の作りの差です。
差が出るのは書き込む側です。予定は必ずどこか1つのカレンダーに所属し、その所属が後から効いてきます。誰に見えるか、招待状がどのアドレスから出るか、片方のアカウントしか入れていないスマートフォンに出るかどうか、同僚が空き時間を見たときに埋まって見えるかどうか。すべて所属で決まります。
そして所属を決めているのは、多くの場合ユーザーではなく既定値です。アプリは新規予定の入り先を1つ決めており、たいていは最初につないだアカウントになります。急いで作った予定はそこに落ち続けます。6週間もすれば、個人の通院がチームに共有された業務カレンダーに載り、逆に取引先との打ち合わせが誰にも見えない個人カレンダーに入っている、という状態ができあがります。統合表示では両方とも同じ見た目なので、気づく手がかりがありません。
アプリを比べる前に、直近に作った20件がどのカレンダーに入っているかを見てください。ばらついているなら、直すべきは製品ではなく既定カレンダーの設定です。
macOSとGoogleが無料で引き受けている範囲
有料の道具を検討する前に、手元ですでにできることを確認しておくと、判断が速くなります。
macOSのカレンダーでは、メニューの表示からカレンダーリストを表示を選ぶと、カレンダーごとにチェックボックスが並びます。チェックを外すと、購読を解除したり削除したりせずに、そのカレンダーの予定だけを画面から消せます。さらに、Commandキーを押しながらどれかのチェックボックスを操作すると、すべてのカレンダーをまとめて表示または非表示にできます。
この一括切り替えは、見た目以上に実務で効きます。同じ予定が2つ見えているとき、全部を一度消してから1つずつ戻せば、どのカレンダーが重複の出どころなのかが1分ほどで特定できます。
更新の間隔もアカウントごとに設定できます。カレンダーの設定からアカウントを開き、カレンダーを更新のメニューで間隔を選びます。プッシュを選ぶと、同じアカウントを使っている別の端末で変更したときや、そのアカウント内の共有カレンダーを誰かが編集したときに、自動で反映されます。購読しているカレンダーはこれとは別枠で、カレンダー名をControlキーを押しながらクリックして情報を見るを開き、自動更新の間隔をそこで指定します。
Google側には、知らないと手が止まる制約が1つあります。
Important: You can only create new calendars from a browser. After you create a calendar, you can find it on your browser and in the Calendar app. 出典: support.google.com
新しいカレンダーの作成はブラウザからしかできません。1つの混み合ったカレンダーを用途別に分ける作業は、最初にパソコンのブラウザで済ませておく必要があります。作ってしまえば、その後はどのアプリからでも読み書きできます。
共有の権限を確かめないと、統合表示は正確にならない
まとめた画面が正しいかどうかは、1枚1枚の共有権限で決まります。Googleの共有には大きく2段階あり、予定の詳細まで見せる設定と、空き時間の情報だけを見せて詳細を隠す設定があります。後者で共有されたカレンダーは、題名のない塊として表示されます。二重予約を防ぐには足りますが、その塊が何なのかは分かりません。
自分が押さえていたつもりの時間に予約が入ったときは、まずここを疑います。設定は所有者側にあるので、見る側では変えられません。
共有の設定変更がすぐに反映されるとは限らない点も、覚えておく価値があります。Googleの公開カレンダーに関する案内では、変更は通常は数分で反映されるものの、4時間かかる場合があると書かれています。共有したばかりのカレンダーが相手に見えていないときは、設定をやり直すより待つほうが正解であることが多いということです。
権限まわりにはもう1つ落とし穴があります。相手に自分の稼働時間帯を伝える勤務時間の設定は、職場や学校のアカウントで使う機能です。個人のGoogleアカウントを主に使っている場合、相手が参照できる勤務時間帯は存在せず、時間帯の防御は自分で予定を置く形でしか作れません。
よくある4つのやり方と、それぞれが直さない部分
製品名ではなく、形で分けます。多くの人の環境はこの4つのどれかです。
| やり方 | 直る問題 | 直らない問題 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 1つのネイティブアプリに全アカウントを入れる | 1画面での一覧、通知、オフラインでの閲覧 | 既定カレンダーの取り違え、送信元アドレス | macOS標準は無料、有料アプリは数千円から |
| アカウントごとにブラウザのタブを開く | 各サービス固有の設定に全部触れる | 行き来の手間、週単位の統合ビューが無い | 無料 |
| カレンダーを相互に共有して1アカウントに寄せる | 空き時間が1か所で見える | 共有分は編集できない、反映の遅れ | 無料 |
| メニューバーやウィジェットの表示専用ツールを足す | 次の予定をすぐ確認できる | 編集、招待、重複の解消 | 無料のものが中心 |
選ぶときに見るべきは3列目です。直らない問題のうち、自分が我慢できるものが入っている行を選びます。機能が多い行を選ぶのではありません。
購読カレンダーは別物として扱う
一覧に並んでいるカレンダーのうち、アカウントではなくURLで購読しているものがあります。学校の年間予定、祝日の配信、チームの当番表、予約システムが公開している空き情報などです。これらは読み取り専用で、他と同じ扱いをすると2つの問題が起きます。
1つは古いまま止まることです。購読カレンダーの更新間隔はアカウント単位ではなくカレンダー単位で決まっているため、他の予定は最新なのにその1枚だけが先週の内容を表示していることがあります。配信元のウェブサイトと内容が食い違うときは、まず自動更新の間隔を確認します。
もう1つは、切れても静かなことです。公開や共有、購読しているカレンダーに接続できなくなると、カレンダー名の横に警告の記号が出るだけで、予定は単に増えなくなります。1か月前から死んでいる配信と、新しい予定が無いだけの配信は、画面上では見分けがつきません。月に一度、警告の記号が出ていないかを見る習慣が安上がりです。
そもそも常時表示しておくべきかも考える価値があります。祝日や当番表は参考情報であって約束ではありません。常に出しておくと、画面の中に「読み飛ばしてよい項目」が増えて、本当の予定まで軽く見るようになります。ふだんはチェックを外し、計画を立てるときだけ表示するほうが機能します。
2週目に必ず出る3つの不具合
同じ予定が2件見えるときは、アプリの不具合ではなく、2つのアカウントに実体があると考えます。片方のアカウントで招待を承諾し、もう片方に手で同じ予定を作った、あるいは個人カレンダーを業務アカウントに共有していて元の予定も残っている、というのが典型です。直し方は片方の実体を消すことで、カレンダーを非表示にして隠すのは対処になりません。そのカレンダーにしかない予定まで消えます。
招待状の送信元がずれるのも、所属で決まる現象です。個人カレンダーに取引先との打ち合わせを作れば、招待は個人のアドレスから届き、返信は誰も見ていない受信箱へ飛びます。作ったあとで別のカレンダーへ移すと招待が再送されるので、これは作る瞬間に防ぐ種類の問題です。社外とやりとりするアカウントを既定カレンダーにしておけば、大半は起きません。
3つ目は、記録としては正しいのに成立しない日です。別々の場所で行われる2つの打ち合わせが背中合わせに入っていて、その間の移動25分はどこにも書かれていない。統合ビューはこれを空白のない整った一日として描きます。移動は表示する対象ではなく、計算して枠を確保する対象です。予定と予定のあいだをどう空けておくかは移動時間で扱っています。
道具に任せられるのは、入れる手前と組み立てる部分
アカウントをつないだ後に残る作業は、予定を入れることと、埋まった一日をどう組み替えるかの2つです。有料の道具を検討する価値があるのはこの2つで、表示の作り込みではありません。
入れる手前とは、予定を決めてから正しく記録されるまでの手間のことです。項目が6つ並ぶ入力画面を埋める作業が挟まるから、急いでいるときに既定のカレンダーへ落ちて、後で移す羽目になります。話し言葉の一文をそのまま日付と時刻の付いた予定に変える方法は予定の入れ方にまとめてあります。
組み立てる部分は、すでに埋まっている日に新しい予定を差し込むときに何が起きるかです。Mac用のカレンダーアプリどうしの違いは、表示ではなくここに集まっています。製品を並べた他のカレンダーとの比較は、機能の多寡ではなく「入れる手前」と「組み立て」のどちらを引き受けているかで読むと、選びやすくなります。
料金の幅が広いのは、売り方が違うからです。Fantasticalの個人向けプランは年払いで月834円、無料のプランと14日間の試用があります。BusyCalは49.99ドルの買い切りで、14日間の試用が用意され、動作にはmacOS 12.0以降が必要です。買い切りと定額は3年で見ると同程度の金額になることもあるため、月額の表示ではなく総額で比べてください。判断に迷う場合は、まず無料の試用期間で自分の実際の1週間を入れてみるのが確実です。
公開されている情報から読み取れること
Mac用のカレンダーアプリの案内ページを横に並べると、各社が何を主戦場だと考えているかが分かります。できることのように機能を列挙するページで上位に置かれている項目が、その製品が引き受けると宣言している仕事です。表示の作り込みを先頭に置く製品と、入力と時間の確保を先頭に置く製品があり、後者は表示の細かさでは前者に及ばないことがあります。
料金ページの構造にも同じことが表れます。定額制の製品は共有や日程調整といった継続的に使う機能に費用を割り当て、買い切りの製品は本体機能を一度で完結させる作りになっています。購入のように支払い方が1種類しかない製品は、機能を継続的に足していく前提を採っていないという読み方ができます。どちらが優れているという話ではなく、自分が今後もカレンダーの使い方を増やしていくのかどうかで、合う側が変わります。
導入前に確認しておくとよいのは、無料の試用期間中に何が試せるかです。共有や日程調整は相手が必要になるため、1人では検証しにくく、試用が終わってから合わないと気づくことがあります。試用を始める前に、検証したい項目を3つほど書き出しておくと、期間内に判断が付きます。細かい仕様はよくある質問にまとまっていることが多いので、先に目を通しておくと試用の時間を無駄にしません。
よくある質問
アプリを乗り換えると、GoogleやiCloudの予定は移動してしまいますか?
移動しません。予定の実体はサーバー側にあり、アプリはアカウント接続を通じて読み書きしているだけです。アプリを削除しても予定は残ります。例外はファイルに書き出して別のサービスに読み込ませる場合で、これは移動ではなく複製になるため、繰り返しの予定が正しく入ったかを個別に確認してください。
カレンダーは何枚くらいまで1つのアプリに入れられますか?
技術的な上限より先に、見分けがつかなくなる限界が来ます。10枚から15枚を接続している状態は珍しくありませんが、同時に表示するのは8枚あたりが目安です。それを超えると色で判別できなくなります。アカウント単位でまとめ、必要なときだけ表示を切り替える運用が現実的です。
共有されたカレンダーが、題名の無い塊で表示されるのはなぜですか?
そのカレンダーが、詳細を隠して空き時間だけを見せる権限で共有されているためです。同期の失敗ではなく、所有者側の設定です。見る側では変更できないので、詳細が必要なら所有者に権限の変更を依頼します。変更が反映されるまで数分かかることがあります。
仕事用と個人用は、1つのアプリにまとめるべきですか?
見るのは1つにまとめ、新しい予定がどのカレンダーに入るかだけを厳密に決めるのが現実的です。アプリを分ければ混入は防げますが、重複の検出という統合の利点も同時に失われます。全部を1画面に出したうえで、既定カレンダーを自分で選び直すのが折衷案になります。