Appleのカレンダーアプリの選び方|Macで決める3つの判断

Apple向けのカレンダーアプリを探し始めるきっかけは、たいてい何かが抜け落ちた後です。Apple Watchに出てこない会議があった。会社のGoogleカレンダーがiPhoneには出るのにMacには出ない。画面上は正しいのに、朝8時半には何の役にも立たない。そこで「Macのカレンダーアプリを変えよう」という発想になりますが、この言い方の中には性質の違う3つの判断が混ざっています。

混ざったまま探すと、アプリを入れ替えても症状が変わりません。逆に3つを切り分けると、そもそもアプリを入れ替える必要がない場合と、入れ替えないと解けない場合がはっきり分かれます。

「Apple向けのカレンダーアプリ」に混ざっている3つの判断

1つ目は、予定がどこに保存されているかです。Appleの端末では、これはアプリではなくアカウントの話になります。iCloud、Google、Exchange、Yahoo、あるいは会社や大学が運用しているCalDAVサーバのいずれかです。端末から端末へ予定を運んでいるのはこのアカウントであって、画面を描いているアプリではありません。

2つ目は、その予定をどの端末に出す必要があるかです。Mac、iPhone、iPad、Apple Watch、そしてiCloud.comのWeb画面は、それぞれ別の表示面です。第三者が作ったカレンダーアプリで、この5つ全部に対応しているものはほとんどありません。

3つ目が、Macの画面を描くアプリをどれにするかです。比較記事のほとんどはこの3つ目だけを扱いますが、予定が正しく届くかどうかにいちばん影響しないのも、実はこの3つ目です。

順番を間違えると結果は予想できます。会社のGoogleカレンダーがMacに出ないという人が新しいアプリを入れても、アカウントを追加していない限り予定は出てきません。逆に、Mac専用のアプリを買った人がiPhoneの見え方が変わらないことに戸惑うこともありますが、iPhoneは同じアカウントをAppleのカレンダーで描いているだけなので、これは正常な状態です。先に決めるのはアカウント、最後に決めるのがアプリという順番になります。

予定を運んでいるのはアプリではなくアカウント

Macでカレンダーアカウントを足す場所は1か所です。カレンダーアプリで「カレンダー」から「アカウントを追加」を選び、一覧からプロバイダを選ぶか、一覧に無いサーバを手で設定します。手で設定する場合の入力量は3段階に分かれていて、情報システム担当に問い合わせる前に知っておくと話が早くなります。自動はメールアドレスとパスワードだけ、手動はそれに加えてサーバアドレス、詳細はさらにサーバパスとポート番号まで入力する形です。

ここから実利のある結論が2つ出ます。

1つ目は、カレンダーアプリを替えてもアカウントの不具合は直らないということです。共有されているはずのチームカレンダーが届かないなら、原因はアカウント側かサーバ側の共有設定にあります。アプリを入れ替えるのは、問題を別の画面に移動させているだけです。

2つ目のほうが使えます。データがアカウント側にあるので、Macだけに対応したアプリでも困りません。同じアカウントをiPhoneとiPadにも入れておけば、Apple Watchまで含めて予定は揃います。

同じアカウントを使用するようにすべてのiOSおよびiPadOSデバイスを設定します。これによって、すべてのデバイスとApple Watchでカレンダーが最新の状態に保たれます。 出典: support.apple.com

つまりMacのアプリは、データの入れ物ではなく、共有されているデータを見るためのレンズです。合わなければ外せばよく、外しても予定は1件も消えません。乗り換えの心理的な重さは、実際のリスクよりかなり大きく見積もられています。

アカウントに付いてこないものが1つだけあります。通知の初期設定、新規予定を入れる既定のカレンダー、表示の設定は、アプリごと端末ごとに持っています。ここは2回設定する前提で考えてください。

macOSに最初から入っているカレンダーの範囲

何を買うべきかは、すでに手元にあるものを把握しないと決まりません。標準のカレンダーは評判よりできることが多く、次の範囲は追加費用なしで動きます。

  • iCloud、Google、Exchange、CalDAVのアカウントを同じ画面に並べ、サイドバーにアカウントごとに分けて表示する
  • 「土曜日の午前11時から午後1時までサッカーの試合」のような文章を、タイトルではなく日時付きの予定として解釈する
  • 予定そのものに移動時間の項目を持ち、場所が地図として解決できるときは出発の通知を出す
  • リマインダーアプリの日時付きタスクを、カレンダーの升目の中に並べる
  • 集中モードに連動して、仕事中は個人のカレンダーを自動的に隠す
  • iPhoneで書きかけた予定をHandoffでMacに引き継ぐ

参加者の空き時間を見る機能もありますが、これはアプリではなくサーバ側の機能なので、条件が付きます。

「空き時間状況を確認」が表示されるのは、空き時間を追跡するカレンダーサービス(CalDAVなど)に予定が登録されている場合のみです。 出典: support.apple.com

弱いのは、画面に何を出すかを切り替える部分です。カレンダーの表示切り替えはチェックボックスの列なので、仕事用の見え方と家庭用の見え方を行き来するたびに列をクリックすることになります。文章の解釈も、短い言い方には強く、長い言い方では途中で諦めます。これは欠陥ではなく、固定されているという性質です。週に8件しか予定が無いうちは気になりませんが、30件を超えると固定されていること自体が費用になります。

固定であることの影響は、機能の有無より運用の場面に出ます。たとえば表示するカレンダーを毎日切り替える人が、1回の切り替えでチェックボックスを6個触っているとすると、往復で12回、営業日で数えると1か月に240回の操作になります。1回あたりは数秒で、意識にも残りません。この種の作業は記憶に残らないまま時間だけを持っていくため、不満として言語化されにくく、結果として「なんとなく重い」という感想だけが残ります。入れ替えを検討するときに測るべきなのは、できるかできないかではなく、この繰り返しの回数です。

日本語環境で最初に触る3つの設定

日本語で使っていると、初期状態のまま放置されがちな設定が3つあります。

週の始まりは「カレンダー」設定の「一般」にあります。月曜始まりに変えると土日が右端に並ぶので、平日が1つのかたまりとして読めるようになります。週の途中に日曜の列が挟まる状態と比べて、予定の詰まり具合を判断しやすくなります。

祝日カレンダーも同じ「一般」で切り替えます。関係のない国の祝日が表示されていると、終日の予定が並ぶ上部の帯を毎週占領します。ここは表示できる件数が限られていて、はみ出した分は黙って隠れるため、見落としの原因になります。

3つ目は時刻の表記です。午後3時と15:00のどちらで表示するかは、カレンダーアプリの設定ではなく、システム設定の「言語と地域」で決まります。アプリの中をいくら探しても見つからないのはこのためです。24時間表記に揃えると時刻の文字数が短くなり、狭い列でも予定名が読める文字数が増えます。

別のアプリに入れ替える価値が出る4か所

入れ替えに払う価値があるのは、手数が減るときだけです。手数は次の4か所に集中します。

入力の速さが1つ目です。文章で予定を入れられるかどうかではなく、実際の言い回しがどこまで壊れずに通るかが分かれ目になります。人・場所・通知・繰り返しを1文に詰め込んだときの結果を見れば判断できます。電話の最中に決まった予定は別の問題で、遅れているのは入力欄ではなくキーボードに戻るまでの時間です。ここは話し言葉で予定を入れられるかどうかが効いてきます。

表示の切り替えが2つ目です。複数のカレンダーをひとまとめに切り替えられるかどうかは、仕事と私生活を同じMacで回している人ほど効きます。

タスクの同居が3つ目です。標準の機能で日時付きのリマインダーは並ぶので、問われるのは外部のタスクサービスを同じ列に出す必要があるかどうかです。

日程調整が4つ目です。空いている時間を相手が選べる形にすると、1回の打ち合わせにつきメールの往復が丸ごと消えます。同時に、仕事の性質によっては全く使わない機能でもあります。

この4つが実際にどう作られているかはできることにまとめてあり、文章と音声での入力については予定の入れ方で手順まで確認できます。

端末をまたぐと出る2つの副作用

1つのアプリを全部の画面に揃えたくなりますが、実際には混在させたほうがうまくいきます。Macは計画を立てる場所なので専用のアプリ、Apple Watchは一瞥するだけなので標準のカレンダー、という組み合わせは安定します。アカウントが共通なので中身はずれません。

ただし副作用が2つあります。1つは通知の二重化で、同じアカウントを2つのアプリが見ていると同じ予定で2回鳴ります。これは片方の通知を切れば済みます。もう1つは新規予定の既定カレンダーで、これはアプリごとに設定するため、iPhoneで入れた予定とMacで入れた予定が別のカレンダーに入ることがあります。どちらも設定で片付く話ですが、この2つが「新しいアプリが同期を壊した」という印象の正体になっていることが多いところです。

判断の順番を決める確認リスト

確認すること なぜ結論が変わるか どこで見るか
予定はどのアカウントにあるか 同期はアプリでなくアカウントの仕事 カレンダー設定のアカウント
どの端末に出す必要があるか Mac専用のアプリで足りるかが決まる 実機
予定はどう届くか 入力・音声・参加依頼で重視する点が変わる 実際の1週間
カレンダーを何回切り替えるか 切り替えが多いほど表示の保存が効く サイドバーのチェックボックス
タスクを同じ画面に出すか 標準機能で足りる場合がある 予定されているリマインダー
やめたときに何が残るか 予定はアカウントに残る 確認不要だが知っておく

最後の行が判断の重さを変えます。Appleの端末で使うカレンダーアプリは、試す費用が構造的に低い部類です。合わなければ1週間分の慣れが無駄になるだけで、データの移行は発生しません。

費用のかたちと、実際に効いてくる差

Mac向けのカレンダーは、標準で付いてくるもの、買い切り、月額や年額の3つの形に分かれます。どれが妥当かは金額よりも使い方で決まります。毎朝開くものは継続課金でも見合いますが、週に2回しか開かないものは惰性で残り続けます。価格は改定されるので、記事の中の数字ではなく提供元のページで確認するのが確実です。あわせて、比較対象のサービスが今も新規受付をしているかも見ておくと、乗り換えた直後に終了の告知が出る事故を避けられます。それぞれのMac用カレンダーが実際に何をするかは他のカレンダーとの比較に整理してあり、費用のかたちは購入で確認できます。

見た目の好みは最後に回して構いません。判断の基準としては、何も起きていないときの見え方が変わるだけなら装飾、予定が崩れて焦っているときの操作時間が変わるなら機能、という線引きが役に立ちます。カレンダーの買い物で後悔が出るのは、前者を後者だと思って払ったときです。

よくある質問

カレンダーアプリを変えると同期の方式も変わりますか?

変わりません。Appleの端末で動くカレンダーアプリは、端末に設定済みのアカウントを読み書きしているだけなので、同期を担当しているのは引き続きiCloudやGoogle、Exchange、CalDAVです。Macで標準以外のアプリを使っていてもApple Watchに予定が出るのは、このためです。

アプリを削除したら予定も消えますか?

アカウントに保存されている予定は残ります。アプリを削除しても消えるのは画面のほうで、次に開いたアプリに同じ予定が並びます。例外は「このMac内」のカレンダーに作った予定で、これは端末の中にしかないため、削除の前に有無を確認してください。

MacとiPhoneで別のカレンダーアプリを使っても問題ありませんか?

問題なく使えますし、意図的にそうしている人もいます。注意点は2つで、同じ予定で通知が2回鳴ることと、新規予定の既定カレンダーがアプリごとに別に設定されていることです。どちらも設定の問題で、同期の競合ではありません。

会社のカレンダーがプロバイダの一覧に無いときはどうしますか?

「カレンダー」から「アカウントを追加」を選び、「その他のCalDAVアカウント」で自動・手動・詳細のいずれかを選びます。担当者から渡された情報の量で選ぶ形になり、アドレスとパスワードだけなら自動、サーバパスやポート番号、SSLの指定まであるなら詳細を使います。

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