予定のインポートとエクスポートの選び方|形式と経路を決める5つの条件
予定のインポートとエクスポートは、「書き出して、読み込む」という一言で語られがちですが、実際には形式も経路もいくつもあります。 .icsファイル1つ、カレンダーをまとめたZIP、Macのアーカイブ、表計算ソフトのCSV、データのダウンロード、そしてファイルを作らずにURLで渡す方法です。 どれを選ぶかで、運べる情報も、あとから変更が伝わるかどうかも変わります。 この記事では、予定のインポートとエクスポートの選び方を5つの条件に分け、条件ごとにどの形式と経路が合うのかを並べます。
いま選べる形式と経路
最初に、選択肢の全体を確認しておきます。 共通の土台になっているのは、iCalendarという標準の形式です。 Googleカレンダーのヘルプは、この形式を次のように説明しています。
iCalendar ファイルは、カレンダー データの移行に使用される標準のカレンダー形式です。 出典: support.google.com
形式の仕様そのものは、RFC 5545として公開されています。 この形式をもとに、各社が次のような出し方と受け取り方を用意しています。
- .icsファイル(1つのカレンダー):Googleのカレンダーごとの書き出し、Macのカレンダーの「ファイル」>「書き出す」>「書き出す」
- .icsの入ったZIP(すべてのカレンダー):Googleの設定の「インポート/エクスポート」からの書き出し
- カレンダーアーカイブ(.icbu):Macの「ファイル」>「書き出す」>「カレンダーをアーカイブ」
- CSV:表計算ソフトで作り、Googleカレンダーなどに読み込む
- データのダウンロード:Googleのデータの書き出しで、カレンダーをiCalendar形式で受け取る
- URL:Googleの「iCal形式の非公開URL」、公開したカレンダーのURL、Outlook.comの公開
ファイルを作る方法と、URLでつなぐ方法の2系統があると考えると、次の条件が整理しやすくなります。
条件1:あとから変わる予定かどうか
最初に決めるのは、運んだあとに元の予定が変わるかどうかです。 ファイルでの読み込みは、その時点の写しを作るだけです。 Microsoftのサポートは、Outlook.comでの読み込みと購読の違いを、読み込みはその時点のスナップショットで、所有者があとで予定を直しても反映されないと説明しています。 向いている例として挙げられているのは、潮の満ち引きの表や月の満ち欠けのように変わらない予定です。 反対に、映画の上映時間や学校のカレンダーのように頻繁に変わるものは購読が向くとしています。
この区別をそのまま使うと、選び方は次のようになります。
- 変わらない予定(過去の記録、確定した年間の祝日、終わった案件の履歴):ファイルで読み込む
- 変わり続ける予定(チームの当番表、行事予定、取引先の稼働日):URLでつなぐ
- 自分の別アカウントの予定:ファイルでもURLでもなく、共有やアカウントの追加を検討する
URLでつなぐ場合は、反映までの時間も条件に含めます。 Microsoftの説明では、Outlook.comの購読は個人のアカウントでおよそ3時間ごと、職場や学校のアカウントでおよそ6時間ごとに更新され、24時間を超える場合もあります。 その日のうちに何度も変わる予定なら、URLでも追いつかないことを前提にします。
条件2:運びたい情報が何か
次に、予定のどの情報を運ぶ必要があるかを決めます。 件名と日時だけでよいのか、繰り返しの規則や招待した相手まで必要なのかで、選べる形式が絞られます。
| 形式・経路 | 運べると確認できる情報 | 運ばれないと明記されている情報 |
|---|---|---|
| CSV(Googleへの読み込み) | Subject、Start Date、Start Time、End Date、End Time、All Day Event、Description、Location、Private | 繰り返しは1回ずつの予定として入ることがある |
| .ics(Googleへの読み込み) | 予定の中身 | 予定のゲスト、会議のデータ |
| .ics(Macへの読み込み) | 予定の中身 | 予定のカスタムカラー |
| Googleのデータのダウンロード | 開始と終了の時間、繰り返しの間隔、招待者と返答の状況、タイトル、説明、場所、作成日と最終更新日 | 読み込み先で扱えるかは読み込み側による |
表から分かるのは、CSVは列が決まっている分だけ運べる情報が少なく、繰り返しの規則も崩れやすいという点です。 一方で、CSVは表計算ソフトで一から作れるため、まだどこにも存在しない予定を大量に作る用途では最も手数が少なくなります。 Googleのヘルプでは、ヘッダーは英語で書き、必須はSubjectとStart Dateの2つだけとされています。
招待した相手と返答の記録を残したい場合は、読み込みで使う書き出しではなく、データのダウンロードを選びます。 ただし、ダウンロードしたファイルを別のサービスに読み込んだときに、招待の情報まで生きるかどうかは読み込む側の仕様次第です。 「記録として保管する」と「別のサービスで使う」は、分けて考えます。
条件3:書き出す側で何ができるか
形式が決まっても、書き出す側の条件で使えないことがあります。 事前に確かめたいのは次の点です。
- Googleカレンダー:書き出しはパソコンのWeb版だけで、スマートフォンのアプリからはできない
- Googleカレンダー:書き出すカレンダーに「変更および共有の管理」の権限が必要。職場や学校のアカウントでは管理者が書き出しを制限していることがある
- Googleカレンダー:すべてを書き出すとZIPになり、読み込むときは中の.icsを1つずつ取り出して読み込む
- Macのカレンダー:1つずつなら.ics、まとめるとアーカイブ(.icbu)のみ
- Outlook.com:Microsoftの一覧では、書き出しの項目として挙がっているのは連絡先で、カレンダーは共有または公開の案内になっている
権限の条件は、共有されたカレンダーで特に効きます。 同僚から「予定の詳細の表示」の権限で共有されているカレンダーは、画面では全部見えていても、Googleの案内どおりなら書き出しの対象になりません。 記録を残したい共有カレンダーがあるなら、所有者に書き出してもらうか、権限を上げてもらう必要があります。
Macのアーカイブは、まとめて書き出せる便利さと引き換えに、使い道が限られます。 Appleのガイドは、アーカイブを読み込むと現在のすべてのカレンダーの情報とデータが置き換わると警告しています。 別のサービスに移す目的なら、手間はかかってもカレンダーごとの.icsを選びます。
条件4:読み込む側が何を受け付けるか
運ぶ先の条件も、形式を決める材料です。
- Googleカレンダー:.icsと.csvを受け付け、ファイルは1MB以下。取り込み先のカレンダーを選ばないとメインのカレンダーに入る
- Googleカレンダー:Microsoft Outlook、Appleのカレンダー、Yahooカレンダーなど主要なアプリで作られたファイルを使える、とされている
- Macのカレンダー:.icsはドラッグするか「ファイル」>「読み込む」で、追加先のカレンダーを選べる
- Outlook.com:.icsを既存のカレンダーに読み込むか、URLで購読する
- iCloud:カレンダー、イベント、リマインダーの合計は50,000件、1つの予定は添付ファイルを含めて20MBまで
Googleの1MBという上限は、何年分もの予定を1つのファイルで運ぶ計画に直接かかわります。 長く使ったカレンダーを移す場合は、書き出す期間を区切るか、カレンダーを分けて書き出すことを最初から前提にします。
読み込み先を選べるかどうかも、見落としやすい条件です。 既存のカレンダーに混ぜて読み込むと、あとで「読み込んだ分だけを消す」ことが難しくなります。 Googleでも、Macでも、先に空のカレンダーを1つ作ってそこへ読み込むと、確認が終わるまで元の予定と分けておけます。
条件5:ファイルやURLが誰の手に渡るか
最後の条件は、運ぶ手段が誰の手に残るかです。 予定の中身には、取引先の名前や面談の相手、自宅の住所が入っていることがあります。
- .icsやCSVのファイル:渡した相手の手元に写しが残り、取り消せない
- Googleの非公開URL:URLを知っている人は予定を読める。Googleは誰とも共有しないよう注意しており、誤って渡したら「リセット」で無効にできる
- 公開したカレンダーのURL:誰でも開ける前提になるため、公開専用のカレンダーを作り、見せてよい予定だけを置く
社外の人に予定表を渡すとき、ファイルは手軽ですが、あとから中身を引き上げる方法がありません。 取り消せる必要があるなら共有やURL、そもそも見せる範囲を絞りたいなら公開専用のカレンダー、というように、渡す相手との関係から逆算します。
5つの条件を表にして選ぶ
ここまでの条件を、よくある場面に当てはめると次のようになります。
| 場面 | 変わるか | 必要な情報 | 合う形式・経路 |
|---|---|---|---|
| 退職前に仕事の予定の記録を残す | 変わらない | 招待者と返答まで | データのダウンロード |
| 別のサービスへ移る | 移したあとは移行先で管理 | 件名、日時、繰り返し | カレンダーごとの.ics、空のカレンダーへ読み込み |
| 試験日程を表から一括で入れる | 変わらない | 件名、日時、場所 | CSV |
| 当番表をチームに配る | 変わる | 件名、日時 | 公開用カレンダーのURL |
| 自分の別アカウントで仕事の予定を見る | 変わる | 件名、日時、詳細 | 共有、アカウントの追加 |
| このMac内のカレンダーの控えを取る | 変わらない | すべて | カレンダーごとの.ics、またはアーカイブ |
表のなかでアーカイブを使うのは、Macのカレンダーに戻す控えだけです。 ほかのサービスに渡る場面では、.ics、CSV、URLのどれかから選ぶことになります。
条件どうしがぶつかる場面もあります。 たとえば「取引先との定例は今後も変わるが、これまでの招待と返答の記録も残したい」という場合、条件1はURLや共有を、条件2はデータのダウンロードを指します。 このときは1つの方法で両方を満たそうとせず、役割を分けます。 これから先の予定は共有やURLでつなぎ、過去の記録はダウンロードで一度だけ保管する、という組み合わせです。
優先順位を付けるなら、条件5の「誰の手に残るか」を最初に、条件1の「あとから変わるか」を次に置きます。 渡してはいけない相手にファイルが残る失敗は取り返せませんが、形式の選び直しは、手間が増えるだけでやり直せるからです。 形式や上限の条件3と条件4は、この2つで候補を絞ったあとに、実際に通るかを確かめる順番で見れば足ります。
独自データから見えること:どの形式を選んでも残る作業
形式と経路を条件で選ぶと、運んだ直後の抜けや二重登録は減ります。 それでも、運んだあとの画面では共通の作業が残ります。
1つは、置き場所が増えることです。 購読したカレンダー、読み込み用に作った空のカレンダー、共有された同僚のカレンダーが1つの画面に並ぶと、どの予定がどこから来たのかを見分けながら1日を組むことになります。 他のカレンダーとの比較では、複数のアカウントを1つの画面で扱うMac用のカレンダーアプリを、対応しているアカウントと支払いの形で並べています。
もう1つは、ファイルにするほどでもない数件の予定の入力です。 CSVを作るほどではない3件、4件の予定は、結局作成画面で1件ずつ入れることになります。 予定の入れ方では、日時と場所を含む一文から予定を作る流れを紹介しており、話し言葉と音声で予定を入れられる形なら、表を用意する手間と1件ずつの入力の中間を埋められます。
選び方の要点は、「何を運ぶか」より先に「運んだあとに変わるか」と「誰の手に残るか」を決めることです。 この2つが決まれば、形式の候補は多くても2つに絞られます。
よくある質問
.icsとCSVは、どちらを選べばよいですか?
すでに別のカレンダーにある予定を運ぶなら.ics、まだどこにもない予定を表計算ソフトで作って一括で入れるならCSVが向きます。GoogleカレンダーのCSVは列が決まっていて、繰り返しの予定が1回ずつの予定として入ることがあるため、繰り返しを保ちたい場合は.icsを選びます。
Googleカレンダーの予定を記録として残すには、どの方法がよいですか?
招待者と返答の状況まで残したい場合は、Googleのデータのダウンロードを使います。予定の開始と終了、繰り返しの間隔、招待者と返答、タイトル、説明、場所、作成日と最終更新日がiCalendar形式で含まれます。職場や学校のアカウントでは、ダウンロードできないデータがあることも案内されています。
共有されている同僚のカレンダーを書き出せないのはなぜですか?
Googleカレンダーでは、書き出すカレンダーに「変更および共有の管理」の権限が必要です。「予定の詳細の表示」などの権限で共有されている場合は、画面で予定が見えていても書き出しの対象になりません。所有者に書き出してもらうか、権限の変更を依頼します。
Macの「カレンダーをアーカイブ」は、どんなときに選べばよいですか?
Macのカレンダーに戻す前提の控えを、すべてのカレンダーまとめて取りたいときに選びます。アーカイブを読み込むと現在のすべてのカレンダーの情報が置き換わるとAppleは警告しているため、別のサービスへ移す目的にはカレンダーごとの.icsを使います。