Macのスケジュール管理アプリを無料で組む|予定と作業を1枚に
Macのスケジュール管理アプリを無料で探している人の多くは、予定が入っていないのではなく、予定は入っているのに一日が終わらない状態にいます。会議はカレンダーにあり、やることはメモにあり、移動は誰の管理下にもない。この3つがばらばらの場所にあるかぎり、アプリを増やしても一日の総量は変わりません。
この記事では、スケジュール管理という言葉が指している3つの作業を分けたうえで、Macに最初から入っているものと無料で足せるものだけで一日を1枚にまとめる方法を書きます。そのうえで、無料のまま解けない部分がどこかをはっきりさせます。
スケジュール管理は3つの別々の作業でできている
同じ言葉でまとめられているせいで比較がかみ合わない原因が、ここにあります。実際には性質の違う3つの作業が混ざっています。
1つ目は約束の管理です。相手がいて、時刻が動かせないもの。会議、面談、通院、送り迎えがこれにあたります。2つ目は作業の管理です。相手はおらず、いつやるかは自分で決められるもの。資料づくり、返信、片づけがここに入ります。3つ目は他人との調整で、空いている時間を相手に伝えて日程を確定させる作業です。
この3つは道具の得意分野がきれいに分かれています。約束はカレンダー、作業はタスク管理、調整は日程調整の道具。ところがスケジュール管理アプリと呼ばれる製品は、この3つのうち1つか2つしか担当していないことがほとんどです。無料のアプリを試して「思ったほど変わらなかった」と感じるときは、自分が詰まっている作業と、そのアプリが担当している作業がずれています。
This document defines the iCalendar data format for representing and exchanging calendaring and scheduling information such as events, to-dos, journal entries, and free/busy information, independent of any particular calendar service or protocol. 出典: rfc-editor.org
予定とやることと空き時間は、共通の仕様の中では最初から同じ枠組みで扱われています。にもかかわらず日常の道具が分断されているのは、技術的な制約ではなく、製品ごとの担当範囲の都合です。だから使う側が組み合わせて1枚にする余地が残っています。
Macに最初から入っている2つで、どこまで足りるか
無料で組むなら、出発点はMacに同梱されているカレンダーとリマインダーです。追加費用がなく、他のアプリと同じサーバーを読むため、後から乗り換えても予定は残ります。
- カレンダーはiCloud、Google、Exchange、CalDAVのアカウントに対応し、仕事と個人の予定を1つの画面に並べられる
- 新規予定の欄に文を書くと日時として解釈し、フォームを埋めずに予定を作れる
- 予定ごとに移動時間の欄があり、開始前の時間を確保して通知を出発の時刻に寄せられる
- リマインダーは期限と繰り返しを持ち、カレンダーの横に並べて表示できる
- どちらもiPhoneと同じアカウントで同期し、外出先で入力した内容がMacに戻る
機能の場所や設定の手順はAppleサポートに公開されています。ここまでで、約束の管理と作業の管理は最低限そろいます。標準で弱いのは、作業を「いつやるか」まで含めて時間軸に置く操作と、空き時間を相手に提示する調整の部分です。
判断としては、いま困っているのが「予定を見づらい」ことなのか、「やることが時間に落ちない」ことなのかを先に切り分けてください。前者は表示の設定で片づき、後者はアプリを変えても運用を変えないかぎり動きません。
無料で足せるものと、その担当範囲
追加する候補は多いように見えて、担当している作業で並べると数は限られます。
| 足すもの | 担当する作業 | 無料の範囲 | 詰まりやすい点 |
|---|---|---|---|
| メニューバー常駐のカレンダー | 約束の確認 | 無償で公開されているものが多い | 編集や移動時間には弱い |
| タスク管理アプリの無料枠 | 作業の管理 | 基本の登録と期限は無料で使える | 予定と同じ画面に置けないことがある |
| カレンダーの無料枠を持つ有料アプリ | 約束の管理 | 表示と入力は無料で試せる | 一括切り替えと調整が有料側 |
| ブラウザのWeb版カレンダー | 約束の共有と権限 | 追加費用なし | タブが埋もれ、通知が届きにくい |
| 標準のリマインダー | 作業の管理 | 追加費用なし | 所要時間を持てない |
この表で効いてくるのは右端の列です。無料の選択肢はどれも何かを引き受けていません。引き受けていない部分が自分の詰まりと重なっていなければ、無料のままで問題なく回ります。
なお、Googleは公式のmacOS用カレンダーアプリを配布していません。Googleカレンダーを主軸に使うなら、ブラウザで開くか、Googleアカウントに対応した別のMac用アプリを追加するかの二択です。共有と権限の設定はGoogleカレンダー ヘルプに手順があります。
無料のまま一日を1枚にまとめる手順
道具を足す前に、運用だけで解ける部分を先に処理します。費用ゼロで効果が出る順に並べると次のようになります。
作業に所要時間を付ける
やることリストの弱点は、所要時間を持たないことです。15分で終わる返信と3時間かかる資料づくりが同じ1行として並ぶため、一日に入る量を見誤ります。リストの各行に見積もりの時間を書き足すだけで、その日に入らない量が入っていることが分かります。
入る分だけカレンダーに置く
見積もりを付けたら、その日の空いている時間に作業そのものを予定として置きます。ここで初めて、約束と作業が同じ画面の同じ時間軸に並びます。置ききれなかった分は翌日以降に回す。この判断を朝に済ませておくと、夕方に慌てて詰め込む必要がなくなります。
移動と片づけを予定として置く
会議と会議の間、外出の前後には、実際には時間が消えています。移動20分と、会議後の片づけ10分を予定として置くと、一日に入る作業の量は減りますが、その日の見込みは現実に近づきます。予定を入れる作業そのものを軽くする方法は予定の入れ方に整理されており、入力にかかる時間が短いほどこの運用は続きます。
この3手順は無料のまま実行できます。そして、ここまでやっても残る詰まりが、費用を出す価値がある部分です。
繰り返しの予定と通知が、静かに時間を削る
スケジュール管理の道具を替える前に効くのが、繰り返しの予定と通知の見直しです。どちらも無料の範囲で調整でき、効果が出るのが早い部分です。
繰り返しの予定は、設定した当時は妥当でも、状況が変わっても残り続けます。週次の定例が実質的に隔週で足りているのに毎週の枠を占め続ける、終わった案件の作業ブロックが半年分先まで並んでいる、といった形です。カレンダーの見た目が埋まっていると、新しい仕事を断る判断も、入れる判断も鈍ります。3か月に一度、繰り返しの予定だけを一覧で見て、生きているものだけ残すと、実際の空きが見えるようになります。
通知も同じです。すべての予定に既定の通知を付けると、通知そのものを読まなくなります。動かせない約束にだけ通知を残し、自分で決めた作業ブロックには通知を付けない、という分け方にすると、鳴ったときに手を止める理由がはっきりします。移動を伴う予定については、開始時刻ではなく出発の時刻に通知が来るように設定できます。これは標準のカレンダーの移動時間の欄で設定でき、追加費用はかかりません。
無料で試すときの順番と、後片づけ
候補を複数まとめて入れると、何が効いたのか分からなくなります。順番を決めておくと、比較が短時間で終わります。
- 1本ずつ入れる。同時に2本入れると、変化の原因が特定できない
- 同じアカウントを読ませる。書き出したファイルを取り込ませない。同じ予定を別の窓から見るのが比較の目的
- 試す期間は1週間。うまくいかなかった瞬間だけを1行ずつ書き残す
- 外すときは、アプリの削除に加えてカレンダーへのアクセス許可も取り消す
最後の項目は見落とされがちです。カレンダーのデータにアクセスする許可はmacOSのシステム設定に残るため、アプリを削除しただけでは消えません。ログイン時に自動で起動する設定が残ることもあります。使わないと決めた道具の許可を残したままにすると、後から予定の変更が思わぬ形で反映されることがあります。
無料枠が止まりやすい線
有料の階層を持つ製品では、線の引き方がおおむね共通しています。金額と条件は改定されるので各社の価格ページで確認するとして、構造としては次の3つです。
1つ目は、カレンダーの表示をまとめて切り替える機能です。平日と休日、仕事と家庭で見せる範囲を変える人ほど、1つずつ切り替える手間が積み上がります。
2つ目は、空き時間の提示や予約ページです。社外との打ち合わせが週に3件を超えたあたりから、日程調整の往復にかかる時間が費用を上回り始めます。
3つ目は入力の上限です。無料枠でも文での入力は動くことが多い一方、場所と参加者と通知をまとめた1文の解釈や、話し言葉と音声で予定を入れられるかどうかには差が出ます。予定を作るのが面倒で後回しになる癖がある人は、ここが一番効きます。各製品が何を担当しているかを事実として並べたものは他のカレンダーとの比較にまとまっており、無料枠との差分を測る材料になります。
崩れる原因は意志ではなく、入力と移動の2か所
無料か有料かで比べていると見落としますが、一日が崩れる原因はほぼ2つに集中します。
1つは、決まった予定がその場でカレンダーに入っていないことです。廊下や電話で決まった約束は、後で入力しようと思った時点から抜け落ちます。入力にかかる手間が30秒を超えると、人は入力そのものをやめます。スケジュール管理アプリを比べるとき、表示の美しさより入力の速さを先に見るべき理由がここにあります。
もう1つは、移動が一日の一部として扱われていないことです。多くのカレンダーは移動時間を予定ごとの欄として持っています。この欄はその予定の前に時間を確保しますが、直前の予定がどこで終わったかは見ていません。新宿で終わる打ち合わせの15分後に千葉の予定が入っていても、それぞれの移動時間は正しく設定できてしまいます。一日全体としては成立していないのに、警告は出ません。移動を一日の側から扱う考え方は移動時間に整理されています。
この2か所は、無料のタスク管理アプリを何本入れても解けません。逆に言えば、入力が速く、移動が一日の側で計算されていれば、表示が多少そっけなくても一日は回ります。費用を出すかどうかを決める基準は、機能表の行数ではなく、この2つのどちらで時間を落としているかです。
まず1週間、標準のカレンダーとリマインダーだけで上の3手順を回し、うまくいかなかった瞬間を1行ずつ書き残してください。書き残しが「入れ忘れた予定」で埋まるなら入力の問題、「間に合わなかった移動」で埋まるなら移動の問題、「見づらい」だけなら無料のまま表示を整えれば済みます。費用の形を先に確認したい場合は購入に条件がまとまっており、導入前の細かい疑問はよくある質問で確かめられます。
よくある質問
Macの標準アプリだけでスケジュール管理はできますか?
カレンダーとリマインダーの組み合わせで、約束の管理と作業の管理は成立します。カレンダーはGoogleやExchangeと同期し、文での入力と予定ごとの移動時間に対応しています。弱いのは、作業を時間軸に落とす操作と、空き時間を相手に提示する日程調整の部分です。
タスク管理アプリとカレンダーは分けるべきですか?
分けても構いませんが、同じ時間軸で見られる状態にはしてください。やることリストは所要時間を持たないため、リストだけを見ていると一日に入る量を見誤ります。見積もりの時間を書き、入る分だけカレンダーに置くと、その日に何が入らないかが先に分かります。
無料のスケジュール管理アプリで、有料版との差が出るのはどこですか?
多くの製品で、カレンダーの表示をまとめて切り替える機能と、空き時間の提示や予約ページが有料側に置かれています。予定を見る、作る、同期するといった基本の動作は無料の範囲で動くことがほとんどです。条件は改定されるため、各社の価格ページで確認してください。
アプリを増やすと予定が二重になりませんか?
予定の実体はiCloudやGoogleなどのサーバー側にあり、アプリはそれを読んで表示しています。同じアカウントを読んでいるかぎり、複数のアプリを入れても予定は1つです。二重に見える場合は、同じカレンダーを別のアカウント経由でも購読しているか、招待の受諾で別の予定が作られている可能性があります。