複数カレンダーの統合の手順|最初に決めておくこと
複数カレンダーの統合を始めるとき、多くの人は最初にアカウントをつなぎます。仕事のGoogle、個人のiCloud、取引先から共有されたMicrosoft 365のカレンダーを1つのアプリに並べれば、あとは見るだけで済むと考えるからです。
ところが、つないだ直後から別の困りごとが出てきます。急いで入れた打ち合わせが家族のカレンダーに入る。同じ会議の通知が3回鳴る。取引先からの招待が個人のGmailに届き、仕事の画面に出てこない。どれも、つなぐ前に決めておくべきことを後回しにした結果です。
この記事では、統合の作業を「決めること」と「つなぐこと」に分け、決めることを先に並べます。順番どおりに進めれば、つないだあとに設定をやり直す回数が減ります。
つないでから決めると、同じ設定を何度も触ることになる
統合の相談で多いのは、機能が足りないという話ではなく、並べた結果が散らかっているという話です。散らかり方には決まった型があります。
- 予定の置き場所がばらばら:同じ種類の予定が、あるときは仕事のカレンダー、あるときは個人のカレンダーに入っている
- 招待の届き先がばらばら:相手が知っているメールアドレスが複数あり、招待がどのカレンダーに入るか相手次第になっている
- 新しい予定の落ち先が端末ごとに違う:Macで入れると仕事、iPhoneで入れると個人、という状態
- 通知が重なる:アカウントごとの既定の通知と、アプリの通知が両方残っている
この4つは、アカウントをつないだあとで直そうとすると、すでに入っている予定を1件ずつ動かす作業になります。反対に、つなぐ前に規則を決めておけば、新しく入る予定から自然に整っていきます。統合の手順は、アプリの設定画面を開く前に紙の上で半分終わっている、と考えるのが実態に近い見方です。
手順1:予定の種類ごとに、置くカレンダーを1つに決める
最初に決めるのは、どの予定をどのカレンダーに置くかです。ここでの規則は1つだけで、1つの種類の予定は1つのカレンダーにだけ置く、というものです。
書き出すと、次のような表になります。
| 予定の種類 | 置くカレンダー | その予定を見る人 |
|---|---|---|
| 顧客との打ち合わせ | 会社のGoogle | 自分、同じ部署 |
| 社内の定例 | 会社のGoogle | 自分、参加者 |
| 通院や役所の手続き | 個人のiCloud | 自分だけ |
| 子どもの行事 | 家族で共有しているiCloud | 家族 |
| 副業の納期 | 個人のGoogleの中の副業用カレンダー | 自分だけ |
右端の列が大事です。置き場所は、予定の中身ではなく、その予定を誰に見せるかで決めると迷いません。通院の予定を会社のカレンダーに置くと、同僚が空き時間を見る画面に題名が出る場合があります。子どもの行事を個人のカレンダーに置くと、家族は見られません。
表の行は、多くの人で5〜8行に収まります。それより多くなったら、見せる相手が同じ行をまとめます。行が多いほど、予定を入れる瞬間の迷いが増えるからです。
この表は、つなぎ終えたあとも手元に残しておきます。数か月後に新しい種類の予定が出てきたとき、どの行に足すかを決めるだけで済みます。
手順2:招待を受け取る宛先を寄せておく
自分で入れる予定は手順1の表で整いますが、他人から届く招待は、相手が送ったメールアドレスのカレンダーに入ります。取引先が個人のGmailを知っていれば、仕事の会議が個人のカレンダーに入ります。
そこで、仕事の相手には仕事のアドレスだけを伝え、名刺や署名、予約の案内に個人のアドレスが残っていないかを確かめます。すでに個人のアドレスで招待を送ってくる相手には、次回から仕事のアドレスに送ってもらうよう一度だけ伝えるのが確実です。
Googleカレンダーの側でも、招待を自動でカレンダーに入れる条件を選べます。ヘルプの説明では、選択肢は、届いた招待をすべて入れる、送信者が分かっている場合だけ入れる、メールで返信したときだけ入れる、の3つです。2つ目は英語版のヘルプで次のように説明されています。
Events are automatically added to your calendar if the sender is in your contacts, part of your organization, or someone you previously interacted with. 出典: support.google.com
連絡先に入っている人、同じ組織の人、以前やり取りした人からの招待だけが自動で入る、という意味です。統合したカレンダーに見知らぬ相手の招待が紛れ込むと、並べた画面そのものが信用できなくなります。個人のアカウントではこの設定を先に見直しておくと、統合したあとの画面が静かになります。なお、同じヘルプには、組織の管理者が選択肢を制限している場合は選べないこと、設定の変更は新しい招待にだけ適用されることも書かれています。
手順3:新しい予定が入る先を、端末ごとにそろえる
手順1の表を決めても、予定を入れる瞬間に既定のカレンダーが違っていれば、表のとおりには入りません。統合したあとの散らかりで最も多いのがこれです。
既定のカレンダーは、端末ごとに別々に設定します。
- Macのカレンダー:「カレンダー」メニューの設定から「一般」を開き、「デフォルトカレンダー」で選ぶ。Appleの説明では、ここで選んだカレンダーに新しい予定が追加される
- iPhone:設定アプリの「アプリ」から「カレンダー」を開き、「デフォルトカレンダー」で選ぶ
- ウェブのGoogleカレンダー:予定を作る画面でカレンダーを選ぶ欄があり、作るたびに確かめる
ここで決めるのは、手順1の表でいちばん件数の多い行のカレンダーです。平日に入れる予定の大半が顧客との打ち合わせなら、会社のGoogleを既定にします。件数の少ない種類は、入れるときに手で切り替える前提にします。
Macのカレンダーには、カレンダーの一覧で選んでいるカレンダーを既定にする選び方もあります。画面で見ているカレンダーにそのまま入るので直感的ですが、直前に家族のカレンダーを選んで眺めていた場合、次に入れる仕事の予定もそこに入ります。複数のカレンダーを並べる人ほど、固定のカレンダーを選んでおくほうが事故は少なくなります。
Appleのヘルプにもあるとおり、入れたあとに予定を別のカレンダーへ移すことはできます。ただし、移した予定の招待はすでに相手に送られていることがあるため、あとから移す手間は入れる前に選ぶ手間より大きくなります。
手順4:1つの予定で、通知が1回だけ鳴るようにする
アカウントをいくつもつなぐと、通知が重なります。Googleのアカウントに既定の通知があり、Macのカレンダーにもアカウントごとの既定の通知があり、スマートフォンのGoogleカレンダーのアプリも通知を出す、という状態です。同じ会議の通知が3回鳴れば、どの通知を信じればよいか分からなくなり、やがてすべてを無視するようになります。
Macのカレンダーでは、「カレンダー」メニューの設定から「通知」を開き、アカウントを選んで、通常の予定、終日の予定、誕生日のそれぞれに既定の通知を決めます。通知が要らないアカウントは「なし」を選べます。同じ画面には、既定の通知をこのMacだけで使い、同じアカウントを使う他の端末には適用しない選択肢もあります。
決め方の目安は次のとおりです。
- 通知を出す端末を1台に決める。机の前にいる時間が長いならMac、外出が多いならスマートフォン
- 通知を出すアプリを1つに決め、他のアプリではそのアカウントの通知を「なし」にする
- 終日の予定は、前日の夕方に1回だけ鳴らす。当日の朝に鳴っても手遅れのことが多い
- 家族の共有カレンダーの通知は、自分が関わる予定だけに個別に付ける
Macのカレンダーには、出発する時刻を知らせる機能もあります。Appleの説明では、予定の前にいそうな場所、予定の場所、そのときの交通状況をもとに知らせます。場所を入れた予定では、この通知と通常の通知が両方鳴ることになるため、場所のある予定が多い人は通常の通知を短めにしておくと重なりにくくなります。
手順5:色と名前は、見せる相手ごとに付ける
並べたカレンダーを一目で見分けるには、色と名前の規則を先に決めておきます。規則を決めずにつなぐと、各アカウントが最初に割り当てた色がそのまま並び、似た青が3つ並ぶといったことが起きます。
- 色は、手順1の表の「見る人」の列に合わせる。自分だけが見る予定は1色、仕事で共有する予定は1色、家族の予定は1色
- 同じ系統の色は、同じ見せ方の予定に使う。仕事の中で部署を分けたいなら、青の濃淡で分ける
- 名前は、アカウントの名前ではなく用途で付ける。「hanako@」ではなく「仕事・顧客」「家族」
色を用途ではなく見せる相手で付けるのは、予定を入れる瞬間の確認に使えるからです。入れた予定が家族の色で表示されたら、置き場所を間違えたとすぐに気付けます。
他人から共有されたカレンダーは、名前を自分の側では変えられない場合がありますが、色は見る人ごとに選べることが多いので、色で揃えます。
手順6:更新の間隔を決め、止まったときの見分け方を覚える
ここまで決めてから、ようやくアカウントをつなぎます。つないだら、更新の間隔を確かめます。
Macのカレンダーでは、「カレンダー」メニューの設定から「アカウント」を開き、アカウントごとに「カレンダーを更新」の項目で間隔を選びます。Appleの説明によると、「プッシュ」を選ぶと、同じアカウントを使う他の端末で変更したときや、そのアカウントの共有カレンダーを誰かが変更したときに、自動で更新されます。すぐに反映させたいときは、「表示」メニューの「カレンダーを更新」でも更新できます。
照会用のURLで購読しているカレンダー、たとえば祝日や学校の行事表は、アカウントとは別の扱いです。カレンダーの名前を右クリックして「情報を見る」を開き、自動更新の間隔を選びます。
更新が止まったときの見分け方も覚えておきます。Appleの説明では、カレンダーの名前の横に警告の記号が出ている場合、そのアカウントに接続できていません。統合した画面は、1つのアカウントが止まっていても他のアカウントの予定は普通に表示されるため、止まったことに気付きにくいのが弱点です。週に1回、一覧に警告の記号がないかを見る習慣を付けておくと、古い予定を信じて動く事態を防げます。
手順7:試しの予定で、すべての経路を1回ずつ確かめる
最後に、試しの予定を使って確認します。確認は15分ほどで終わり、この一手間で、統合を信用してよいかが分かります。
| 確かめること | やり方 | 期待する結果 |
|---|---|---|
| 既定のカレンダー | Macとスマートフォンで1件ずつ予定を入れる | 手順3で決めたカレンダーに入る |
| 他の端末への反映 | Macで入れた予定をスマートフォンで見る | 数分以内に表示される |
| 招待の届き先 | 別のアドレスから仕事のアドレスに招待を送る | 仕事のカレンダーに入る |
| 通知 | 5分後の予定を入れて待つ | 決めた端末で1回だけ鳴る |
| 削除の反映 | 試しの予定を消す | すべての端末から消える |
表のどこかで期待と違う結果が出たら、その行に対応する手順に戻ります。反映が遅い場合は手順6、通知が重なる場合は手順4です。
確認を飛ばして使い始めると、最初に気付くのは本物の予定を取りこぼしたときになります。試しの予定の題名は「テスト」など一目で分かるものにして、確認が終わったら必ず消しておきます。
統合を終えたあとに、手元に残る2つの手間
手順1から7までを終えると、アカウントの間の行き来は仕組みに任せられます。それでも毎日の中に残る手間が2つあります。
1つは、予定を入れる瞬間に正しいカレンダーを選ぶ手間です。既定のカレンダーを決めても、件数の少ない種類の予定は手で切り替えることになります。入力の手数そのものを減らす形として、話し言葉と音声で予定を入れられる流れを予定の入れ方にまとめています。
もう1つは、並んだ予定の間に移動を挟めるかを判断する手間です。統合した画面は予定の重なりを見せてくれますが、会議室から客先までの移動の時間は、カレンダーに入れない限り空き時間に見えます。この扱いは移動時間で説明しています。
Mac用のカレンダーアプリがこの2つの手間をどう扱うかは他のカレンダーとの比較で並べており、つなげるアカウントの種類などはできることで確かめられます。
よくある質問
すでに予定が散らかっている場合、どこから直せばよいですか?
過去の予定を動かすより先に、手順1の表と手順3の既定のカレンダーを決めてください。新しく入る予定が整えば、散らかった状態は時間とともに過去へ流れていきます。そのうえで、今後1か月分の予定だけを表に合わせて移すと、作業量を抑えられます。招待で入った予定は、移すと相手側の表示に影響することがあるため、自分で入れた予定から先に動かします。
仕事と個人のカレンダーは、色を分けるだけでは足りませんか?
色は見分けには役立ちますが、置き場所の間違いは防げません。間違いの多くは、予定を入れる瞬間に既定のカレンダーが違っていることから起きます。色の規則と合わせて、Macとスマートフォンの両方で既定のカレンダーを決めておくと、入れた直後に色で間違いに気付き、すぐに直せる状態になります。
同じ会議の通知が何度も鳴るのを止めるには?
通知を出す端末とアプリをそれぞれ1つに決め、それ以外ではそのアカウントの既定の通知を「なし」にします。Macのカレンダーでは設定の「通知」でアカウントごとに変えられます。Googleのアカウント側の通知と、スマートフォンのGoogleカレンダーのアプリの通知も残っていないか確かめてください。
統合したカレンダーの一部だけが古いまま表示されるのはなぜですか?
そのアカウントへの接続が止まっている可能性があります。Macのカレンダーでは、名前の横に警告の記号が出ていれば接続できていません。インターネットの接続と、アカウントのパスワードが変わっていないかを確かめ、「表示」メニューの「カレンダーを更新」を試します。購読しているカレンダーは、情報の画面で自動更新の間隔も確認します。