日程調整の代わりになるもの|手放してよい機能
日程調整ツールの代わりを探すきっかけは、だいたい3つです。更新の案内で月額の合計を見直した。使っていたサービスが終わると知らされた。会社の方針で外部のサービスが使いにくくなった。どの場合も、同じ種類のツールを探し直す前に、手元のツールが実際にどの仕事をしていたかを確かめると、代わりの候補が広がります。
日程調整ツールと呼ばれるものは、いくつもの仕事を束ねて引き受けています。そのうち毎月使っている仕事は一部で、残りは契約に含まれているだけのことが少なくありません。この記事では、その仕事を分解したうえで、ツールを置き換える4つの代わりと、手放してよい機能、乗り換える前に済ませておく片付けを順に並べます。
代わりを探す前に、ツールがしていた仕事を5つに分ける
日程調整ツールが引き受けている仕事は、おおむね次の5つです。
- 空きの提示:自分のカレンダーの空いている時間を、相手が選べる形で見せる
- 衝突の照合:複数のカレンダーを見て、埋まっている時間を候補から外す
- 確定後の処理:予定をカレンダーに書き込み、招待を送り、Web会議のURLを発行する
- 前日の連絡:リマインドのメールを自動で送る
- 振り分けと記録:チームの誰が担当するかを決め、予約の履歴を残す
先月の調整を思い出して、この5つのうちどれを実際に使ったかに印を付けます。社外の人と月に数回だけ打ち合わせを決める人なら、印が付くのは空きの提示と確定後の処理の2つ程度です。営業チームで問い合わせを受けているなら、5つすべてに印が付きます。
記憶だけで印を付けると、使っている機能を多めに見積もりがちです。ツールの管理画面に予約の履歴があれば、直近の1か月分を開いて、リマインドが実際に送られた件数や、担当の振り分けが働いた件数を数えると、印の根拠がはっきりします。
印の数が、代わりの選び方を決めます。2つで足りる人が5つを備えたツールに払い続けている場合、置き換えは費用を下げる機会になります。5つとも使っている人が、そのうち1つしか持たない代わりに移ると、残りの4つは人の手に戻ります。
サービスが終わるときに消えるもの
代わりを探す理由がサービスの終了である場合、何が消えるかは運営側の発表で決まります。予定を自動で動かして集中の時間を確保する機能で知られていたClockwiseは、公式サイトで次のように告知しています。
Our product will no longer be available starting on March 27, 2026. 出典: getclockwise.com
同じ告知によると、チームはSalesforceに加わり、データはSalesforceに移されずに利用できなくなった後まもなく削除されます。前払いの契約のうち2026年3月27日より先の分は日割りで返金され、移行先としてReclaimと提携して移行する顧客への案内を出していました。
この事例から分かるのは、終了の発表から停止までの期間に、利用者の側で持ち出せるものを持ち出しておく必要があるということです。日程調整ツールの場合、持ち出す価値があるのは次の3つです。
- 予約の履歴:誰と、いつ、どの種類の打ち合わせをしたか。請求や振り返りに使っている場合は必須
- 予約ページの設定:打ち合わせの長さ、前後の余白、受付の締め切り。代わりに同じ設定を入れ直すための控え
- 公開しているリンクの一覧:署名、ウェブサイト、過去のメールに貼ったURL。止まったあとに相手が行き止まりに着く場所
カレンダーに書き込まれた予定そのものは、多くの場合カレンダーの側に残ります。消えるのはツールの中だけにあった情報なので、終了の告知を見たらまず上の3つを控えます。
代わり1:候補を並べて選んでもらう出欠表
いちばん軽い代わりは、候補の日時を並べた表を作り、参加者に丸や三角を付けてもらう出欠表の形です。
調整さんは、サイトの説明によると2006年に始まったサービスで、URLをメンバーに送るだけで出欠確認や日程調整ができ、ログインしなくても使えます。相手に登録を求めないため、社外の人や、普段カレンダーのツールを使わない人が混ざる調整に向いています。サイトのフッターには、関連サービスとして予約型のTimeRexと、法人向けの調整さんビジネスが並んでいます。
海外でよく使われるDoodleにも同じ形の投票機能があります。公式のヘルプにある無料版と有料版の比較では、無料版は投票の候補が10枠まで、参加者の画面には広告が表示され、締め切りの設定と自動のリマインドは有料のProfessionalの機能です。Professionalは月払いで15ドル、年払いで132ドルと案内されています。
出欠表で手放すのは、衝突の照合と確定後の処理です。候補を並べる段階で自分のカレンダーを見て、埋まっている時間を外すのは自分の仕事になります。決まった日時をカレンダーに入れ、会議のURLを送るのも手作業です。出欠表を使うときは、候補の出し方で決まる早さが変わります。候補を多く並べるほど全員に丸が付く枠は見つかりやすくなりますが、並べた時間はすべて、決まるまで他の予定を入れにくい時間になります。候補は自分のカレンダーで確実に空いている時間に絞り、回答の締め切りを案内の文面に日付で書いておくと、無料の範囲で締め切りの機能が無くても回答が集まりやすくなります。締め切りを過ぎたら、その時点で最も丸の多い枠に決めると先に伝えておくのも有効です。
その代わり、3人以上が関わる調整では、予約ページより出欠表のほうが早く決まることがよくあります。予約ページは1人の空きしか見せないため、残りの人の都合は別に確かめる必要があるからです。
代わり2:メールソフトに入っている投票機能
会社がMicrosoft 365を使っているなら、別のサービスを契約しなくても、Outlookに投票の機能が入っています。Microsoftは以前、FindTimeという追加の機能で日時の投票を提供していましたが、2023年12月に提供を終え、Outlookに組み込まれたスケジュール投票に置き換えました。
Microsoftのサポートページによると、スケジュール投票はMicrosoft 365の職場のアカウントを使って、自分と組織内の参加者のカレンダーを見て、候補にふさわしい時間を提案します。組織の外の参加者も投票できますが、そのカレンダーは見えないため、空き状況は不明として表示されます。必須の参加者全員が同じ候補に賛成すると、自動で予定を確定させる設定もあり、投票の前に本人確認を求める設定も選べます。
この代わりで手放すのは、社外の相手の空きを事前に照合する仕事です。そのかわり、社内の参加者については照合がそのまま効き、確定後の招待もOutlookから送られます。社内の会議が多く、社外の人は時々混ざる程度、という職場では、追加の費用なしで調整の往復を減らせる形です。
代わり3:無料枠のある予約ページに移る
相手に空き時間を選んでもらう予約ページの形をそのまま残したい場合は、無料枠の広いサービスに移る選択肢があります。
国内のサービスでは、TimeRexの料金ページに、無料プランで日程調整カレンダーの数が無制限、2人までの予定を考慮した調整に対応すると書かれています。ZoomやTeams、Google Meetとの連携も無料プランに含まれます。有料のベーシックは1ライセンスあたり年払いで月750円、月払いで900円、プレミアムは年払いで月1,250円、月払いで1,500円です(いずれも税抜)。
Googleのアカウントを持っているなら、Googleカレンダーの予約スケジュールも候補になります。Googleの公式の機能比較のページでは、個人のGoogleアカウントとWorkspace Business Starterで作れる予約ページは1つと書かれています。
一部の機能をご利用には、対象となる Google Workspace サブスクリプションまたは Google One メンバーシップが必要です。 出典: support.google.com
同じページの表で、複数の予約スケジュールの作成、リマインダーメールの自動送信、複数カレンダーでの空き状況確認に印が付いているのは、Google One プレミアム、Google AI Pro、Google AI Ultra、Workspace Individual、Business StandardとBusiness Plus、Enterprise、教育機関向け、非営利団体向けの列です。個人の無料アカウントの列はありません。
なお、空き状況の確認を説明した別のヘルプでは、有効なプランが必要なのは「予備のカレンダーから空き状況を確認する」場合と書かれており、比較ページの「複数カレンダー」とは表記が揃っていません。仕事と私用のカレンダーを分けている人は、無料のアカウントのまま使う前に、もう片方のカレンダーの予定が候補から外れるかを確かめてください。
予約ページ同士の乗り換えで手放しやすいのは、ロゴなどの表示を消す機能と、予約ページを何種類も持つ機能です。反対に、衝突の照合は手放すと実害が出ます。仕事と個人でカレンダーを分けているのに、片方しか照合しない予約ページに移ると、もう片方の予定の時間にそのまま予約が入ります。
代わり4:ツールを使わず、決まった枠を先に公開する
調整の件数が少ない人には、ツールを使わない代わりもあります。週のうち社外の打ち合わせを受ける時間をあらかじめ決め、その枠を案内してしまう形です。
たとえば「火曜と木曜の14時から17時の間で、30分単位でお選びください」と署名や案内の文面に書いておきます。相手はその中から候補を2つか3つ返し、こちらはカレンダーを見て1つに決めます。往復は1回から2回で済み、ツールの契約も、相手の側の操作も要りません。
この形で手放すのは、空きの提示と確定後の処理の自動化です。枠の中にすでに予定が入っていれば、返ってきた候補を断ることになります。そこで、決めた枠には社内の会議を入れない規則を自分に課すと、断る回数が減ります。
月に5件程度までの社外の打ち合わせなら、この形で困らない人は多くいます。件数が増えて返信の手間が気になりはじめたら、代わり3の予約ページに移る目安です。
手放してよい機能と、手放すと困る機能
ここまでの代わりを、機能ごとに整理すると次のようになります。
| 機能 | 手放しても代わりが利く場面 | 手放すと困る場面 |
|---|---|---|
| ロゴなどの表示の除去 | 相手が取引先や知人で、見た目を気にしない | 見込み客に初めて案内する |
| 予約ページを複数持つ | 打ち合わせの長さが1種類 | 相談と商談で長さが違う |
| 複数カレンダーの照合 | カレンダーが1つにまとまっている | 仕事と個人でカレンダーが分かれている |
| リマインドの自動送信 | 相手が社内か、無断で欠席しない関係 | 初対面の相手や、欠席が多い種類の予約 |
| 担当者の振り分け | 受ける人が1人 | チームで問い合わせを受ける |
| Web会議URLの自動発行 | 対面か電話が中心 | オンラインの打ち合わせが中心 |
表の中で、他の方法で補いにくいのは複数カレンダーの照合です。表示の除去や予約ページの数は見た目と手間の話ですが、照合を手放すと二重予約という実害になります。代わりを選ぶときは、まずこの行に当てはまるかを確かめ、当てはまるなら照合を持つ代わりを残すのが無難です。
乗り換える前に済ませる片付け
代わりが決まったら、切り替えの前に片付けを済ませます。
- 古いリンクを探して差し替える:メールの署名、ウェブサイトの問い合わせページ、よく使う定型文、SNSのプロフィール。古いツールを解約したあとに残ったリンクは、相手を行き止まりに送る
- 確定済みの予約を確かめる:切り替えの日より先に入っている予約は、古いツールから送られた招待のまま残る。変更や取り消しが古いツールの画面からしかできない場合は、解約の日を最後の予約の後にずらす
- リマインドの穴を埋める:代わりにリマインドが無いなら、確定済みの予約の前日に連絡する予定を自分のカレンダーに入れておく
とくに1つ目は見落としやすく、解約から数か月後に「リンクが開けない」と連絡が来て初めて気付く例があります。差し替え先が決まっていない場合でも、古いリンクの場所を一覧にしておけば、あとで一度に直せます。
調整を軽くしたあとに、カレンダーの側に残る仕事
ツールを手放しても手放さなくても、決まった予定を正しいカレンダーに入れる仕事と、並んだ予定の間に移動や準備の時間を確保する仕事は残ります。出欠表や決まった枠の公開を選んだ場合、確定した日時をカレンダーに入れるのは自分の手なので、この入力の手数がそのまま日々の負担になります。
入れる瞬間の手数を減らす形として、話し言葉と音声で予定を入れられる流れを予定の入れ方にまとめています。客先への移動を挟む打ち合わせをどう並べるかは移動時間で扱っており、Mac用のカレンダーアプリどうしの違いは他のカレンダーとの比較で確かめられます。
よくある質問
日程調整ツールを解約すると、カレンダーに入った予定も消えますか?
多くの場合、カレンダーに書き込まれた予定はカレンダーの側に残ります。消えるのはツールの中にある予約の履歴や予約ページの設定です。ただし、変更や取り消しを古いツールの画面から行う作りの場合は、解約後に操作できなくなるため、先に入っている予約が終わってから解約するほうが安全です。
3人以上の日程を決めるときは、予約ページと出欠表のどちらが向いていますか?
関わる人が社外を含めて3人以上なら、出欠表のほうが早く決まることが多い形です。予約ページは1人の空きしか見せないため、他の参加者の都合を別に確かめる往復が残ります。全員が同じ会社のMicrosoft 365を使っているなら、Outlookのスケジュール投票で空きを見ながら候補を出す方法もあります。
無料の予約ページに移るとき、最初に確かめることは何ですか?
複数のカレンダーの空きを照合できるかどうかです。仕事と個人でカレンダーを分けている場合、照合できないと、もう片方の予定の時間に予約が入ります。Googleカレンダーの予約スケジュールでは、公式の機能比較のページで、複数カレンダーでの空き状況確認はGoogle One プレミアムやWorkspace Individualなどの契約で使える機能として並んでいます。試用の段階で、別のカレンダーに入れた予定が候補から外れるかを確かめてください。
ツールを使わずに日程調整を減らす方法はありますか?
社外の打ち合わせを受ける曜日と時間帯を先に決め、署名や案内に書いておく方法があります。相手はその範囲から候補を返すので、往復は1回から2回で済みます。決めた枠には社内の会議を入れない規則を合わせて守ると、候補を断る回数も減ります。件数が増えてきたら予約ページへの移行を検討します。