日程調整をどう選ぶか|条件の見方
日程調整の選び方を調べると、ツールの機能を並べた比較表が数多く見つかります。ところが、表の上で機能が多いほうを選んだのに、実際には相手が画面の操作に戸惑って電話で決め直した、会社のアカウントでは機能が使えなかった、という例は珍しくありません。
選び間違いの多くは、機能を比べる前に確かめる条件を飛ばしたことから起きます。日程調整は自分だけで完結する作業ではなく、相手の手元と、会社の管理者の設定と、自分のカレンダーの持ち方の3つにまたがっているからです。この記事では、選ぶ前に書き出す数字と、確かめる条件を順番に並べ、最後に条件を当てはめる順序を示します。
選ぶ前に、先月の調整を3つの型に分けて数える
最初に、先月決めた打ち合わせを思い出し、次の3つの型に分けて件数を書き出します。
- 型A:社外の相手と1対1で決めた打ち合わせ
- 型B:社内の人だけで、3人以上が参加する会議
- 型C:社外の人を含めて、3人以上が参加する会議
型によって、向いている道具の形がまったく違います。型Aは相手に空き時間を選んでもらう予約ページが得意とする形です。型Bは、全員のカレンダーが同じ会社の仕組みにあれば、カレンダーの空き時間の表示だけで足りることがあります。型Cは、全員の空きを1つの画面で見る方法がないため、候補を並べて投票してもらう形が合います。
件数の書き出しでは、決まるまでに何往復したかも一緒に書いておくと役立ちます。型Aが月に20件あっても毎回1往復で決まっているなら、道具を入れる効果は小さくなります。型Cが月に2件でも、毎回1週間かかっているなら、そこに手を入れる価値があります。選ぶべき道具は、件数が多い型ではなく、往復が多い型に合わせるのが基本です。
条件1:時間を決めるのは誰か
日程調整の道具は、時間を決める人の違いで3つに分かれます。
| 形 | 時間を決める人 | 向いている型 |
|---|---|---|
| 予約ページ | 相手が空き時間から選ぶ | 型A |
| 投票・出欠表 | 参加者の回答で決まる | 型C |
| 空き時間の表示 | 主催者が全員の空きを見て決める | 型B |
ここで確かめたいのは、自分の仕事の中で、相手に時間を選ばせてよい場面がどれだけあるかです。顧客が相談の時間を選ぶのは自然ですが、取引先の役職者との打ち合わせで予約ページのURLだけを送ると、相手の文化によっては失礼と受け取られることがあります。その場合は、こちらから候補を2つか3つ出す形が残るので、予約ページを契約しても型Aの一部しか置き換わりません。
逆に、社外からの問い合わせを受ける立場で、相手が時間を選ぶことが当たり前の業種なら、予約ページがそのまま型Aの大半を引き受けます。同じ型Aでも、業種と相手との関係で道具の効き方が変わる点を、最初に押さえておきます。
条件2:照合したいカレンダーが、どこの会社のものか
予約ページや投票の候補から、すでに埋まっている時間を外すには、道具が自分のカレンダーを読める必要があります。ここで効くのは、カレンダーの枚数よりも、どこの会社のカレンダーかです。
国内のサービスのTimeRexは、サイトでGoogleカレンダーとOutlookとの連携を案内しています。Googleカレンダーに付いている予約スケジュールは、個人のアカウントでも予約ページを作れますが、空き状況の確認を説明したヘルプでは、予備のカレンダーから空き状況を確認するには対象のGoogle WorkspaceかGoogle Oneのプランが必要と書かれています。英語版のヘルプでは、予約スケジュールの作り方の案内の中で次のように断っています。
Some appointment schedule features require an eligible Google Workspace or Google One subscription. 出典: support.google.com
無料で作れる予約ページが、自分のカレンダーの持ち方に対して十分に照合してくれるかは、この有料の機能の範囲で決まります。
仕事の予定がGoogle、家族の予定がiCloudにある人は、iCloudの予定を照合できるかを必ず確かめます。対応が案内にない場合、iCloudにある通院の時間は空いている扱いになります。確かめ方は単純で、試用の段階で各カレンダーに試しの予定を1件ずつ入れ、その時間が予約ページの候補から消えるかを見ることです。案内の文面より、この結果のほうが確実です。
条件3:相手の側に何を求めるか
日程調整の道具は、自分ではなく相手が操作する画面を持っています。相手に何を求めるかは、選ぶうえで機能と同じくらい重要です。
- 登録やログインが要るか:調整さんはサイトの説明で、ログインしなくても使えるとしています。社外の人や、普段この種の道具を使わない人に送る場合、登録の手間がない形は回答率に効く
- 相手の画面に広告が出るか:Doodleの公式ヘルプの比較では、無料版は参加者の画面に広告が表示され、有料版では主催者にも参加者にも広告が出ません。顧客に送る画面に広告が出てよいかは、業種によって判断が分かれる
- 本人確認を求められるか:Outlookのスケジュール投票には、投票の前に参加者の本人確認を求める設定があります。社外秘の会議の候補を扱うときに意味を持つ一方、相手の手間は1段増える
- 言語と時差:TimeRexの料金ページには英語対応とタイムゾーン対応が機能として並んでいます。海外の相手がいるなら、相手の画面の言語と、表示される時刻が相手の現地時間になるかを確かめる
この条件は、自分で試用しても気付きにくいのが特徴です。試用の段階で、家族や同僚に相手役を頼み、スマートフォンから操作してもらうと、相手の側の手間が具体的に見えます。
条件4:会社のアカウントで使えるか
仕事で使う場合、個人のアカウントで試して問題がなくても、会社のアカウントでは同じように使えないことがあります。
Microsoft 365には、個人用の予約ページを作るPersonal Bookingsがあります。Microsoftの管理者向けの文書によると、Bookingsと同じライセンスの考え方で提供され、管理者は組織全体や特定の利用者について、この機能を有効にも無効にもできます。同僚が使えているからといって、自分のアカウントでも使えるとは限りません。
Google Workspaceでも、管理者が外部のアプリの接続や、カレンダーの一部の設定を制限できます。外部の日程調整サービスを会社のGoogleアカウントにつなぐ場合、接続の画面で管理者の承認を求められたら、その時点で社内の手続きが必要になります。
情報システムの担当に確認を頼む場合は、サービスの安全性に関する資料をそろえておくと話が早く進みます。TimeRexはサイトで、情報セキュリティの国際規格であるISO27001の認証を取得していると案内しています。こうした記載の有無は、会社で使う候補を絞る材料の1つになります。
条件5:決まったあとに何が自動で起きるか
時間が決まったあとの処理は、道具によって差が大きい部分です。確定の瞬間に自動で起きることが多いほど、手作業は減ります。
| 確定後の処理 | 確かめる点 |
|---|---|
| カレンダーへの書き込み | 相手にも招待が届くか |
| Web会議のURL | 使っている会議ツールに対応しているか |
| チャットへの通知 | 社内で使っているチャットに届くか |
| 記録の書き出し | 表計算や顧客管理の仕組みに残るか |
具体的な対応は各社の料金ページで確かめられます。TimeRexの料金ページでは、無料プランにZoom、Microsoft Teams、Google Meetの会議URLの発行、ChatworkやSlackなどへの通知、Googleスプレッドシートへの記録が含まれています。Doodleの無料版と有料版の比較では、Google MeetとZoomは両方で使え、Microsoft TeamsとWebexは有料版の機能です。
Outlookのスケジュール投票では、必須の参加者全員が同じ候補に賛成すると自動で予定を確定させる設定があります。投票の形でも、確定後の作業をどこまで道具に任せられるかは道具ごとに違います。
見落としやすいのが、確定したあとの変更と取り消しの流れです。相手が日時を変えたいとき、確認メールのリンクから自分で選び直せるのか、主催者にメールで連絡してもらう形なのかで、主催者の手間は大きく変わります。取り消しがあったときに、カレンダーの予定が自動で消えるか、チャットに通知が届くかも確かめておきます。TimeRexの料金ページでは、チャットへの通知とスプレッドシートへの記録が、確定だけでなく取り消しの時点でも働くと説明されています。試用では、試しの予約を1件入れて、変更と取り消しまで一通り操作しておくと、実際の運用で困る場面が先に見えます。
条件6:料金が何に比例して増えるか
料金は金額よりも、何が増えると上がるかを先に見ます。多くのサービスは、予約を受ける側の人数、つまり自分のカレンダーをつなぐ人の数で料金が決まり、予約する相手の人数では増えません。
TimeRexの料金ページには、ユーザー数に応じた従量課金で、ベーシックを年契約で10ユーザー使う場合は750円×10ユーザーで月7,500円(税抜)になるという例が書かれています。Calendlyの料金ページには、カレンダーをつないで打ち合わせを主催する人に席が必要で、予約する相手には席が要らないと書かれています。
ここから分かるのは、チームで使う場合、予約を受ける人を全員つなぐ必要があるかを先に決めると費用が読めるということです。問い合わせの窓口を2人で受けるなら2人分、営業全員の予約ページを作るなら全員分になります。個人で使う場合は、無料プランの上限が何で決まっているか、たとえばTimeRexの無料プランでは予定を考慮する人数が2人まで、という点を見ます。
条件7:続くかどうかを4つの事実で確かめる
日程調整の道具は、署名やウェブサイトにURLを貼って使うため、止まったときの影響が外に出ます。そこで、選ぶ前に次の4つの事実を確かめます。
- 提供の終了:Clockwiseは公式サイトで、2026年3月27日から製品が使えなくなると告知し、データは削除されると案内しました
- 機能の置き換え:MicrosoftはOutlookの追加機能だったFindTimeの提供を2023年12月に終え、Outlookに組み込まれたスケジュール投票に移しました
- 新規受付の停止:Googleカレンダーの旧来の予約枠は新しく作れなくなり、2024年8月7日以降は残っていた枠も予約を受け付けなくなりました
- 運営会社の変更と料金の改定:各社のお知らせやブログ、ヘルプの更新履歴で確かめる
これらは良し悪しの判断ではなく、いつ何があったかという事実です。選ぶ時点で公開されている情報を一度見ておくと、URLを広く配ったあとに差し替える事態を避けやすくなります。
条件を当てはめる順番
7つの条件は、次の順で当てはめると候補が早く絞れます。
- 先月の調整を型に分け、往復の多い型を1つ選ぶ
- 条件1で、その型に合う形を選ぶ
- 条件4で、会社のアカウントで使えない候補を外す
- 条件2で、照合したいカレンダーを読めない候補を外す
- 条件3と条件5を試用で確かめる
- 残った候補を条件6の料金と条件7の継続性で比べる
会社の方針とカレンダーの持ち方は自分では変えにくいため、先に当てはめます。料金は払うかどうかを自分で決められるので、最後に回します。この順番にしておくと、機能の比較表を眺める時間が短くなります。
選んだあとに、カレンダーの側で整えておくこと
どの道具を選んでも、確定した予定はカレンダーに入り、その前後の時間の使い方は自分で決めることになります。予約ページで決まった打ち合わせが連続すると、移動や準備の時間が残らない日が出てきます。客先を回る日の組み立て方は移動時間で扱っています。
投票や候補の提示で決めた予定は、自分でカレンダーに入れる場面が残ります。入力の手数を減らす形として、話し言葉と音声で予定を入れられる流れを予定の入れ方にまとめており、Mac用のカレンダーアプリでできることはできることで確かめられます。
よくある質問
1人で仕事をしている場合、どの条件から見ればよいですか?
先月の調整を型に分けたうえで、条件2の照合を最優先で確かめてください。1人で仕事をしている人は、仕事と個人のカレンダーを分けていることが多く、片方しか照合できない道具を選ぶと二重予約が起きます。会社の管理者の制限を受けないぶん、条件4は省けることがほとんどです。
社外の人を含む3人以上の会議は、予約ページで決められますか?
予約ページは主催者1人の空きを見せる形なので、他の参加者の都合は別に確かめることになります。社外の人を含む3人以上の会議は、候補を並べて回答してもらう投票や出欠表のほうが合います。全員が同じ会社のMicrosoft 365を使っている場合は、Outlookのスケジュール投票で社内の参加者の空きを見ながら候補を作れます。
無料プランで足りるかは、どう判断すればよいですか?
無料プランの上限が何で決まっているかを見ます。予約ページの数、照合できるカレンダー、予定を考慮する人数、相手の画面の広告など、サービスごとに線の引き方が違います。先月の調整の件数と型に当てはめ、上限に当たる項目が実際に使う項目かどうかで判断します。
会社のアカウントで使えるかを、契約前に確かめる方法はありますか?
試用の段階で、会社のアカウントを実際につないでみるのが確実です。管理者の承認を求める画面が出たら、社内の手続きが必要です。Microsoft 365のPersonal Bookingsのように、管理者が利用者ごとに有効や無効を切り替えられる機能もあるため、同僚が使えていても自分のアカウントで確かめてください。