日程調整の手順|最初に決めておくこと

日程調整ツールを入れたのに、会議と移動と作業の時間がかえって崩れた。そう感じている場合、原因はツールの性能より、設定を始めた順番にあることが多いものです。予約ページは、自分のカレンダーの状態をそのまま相手に見せる仕組みなので、カレンダーの側が整っていないと、崩れた状態がそのまま候補として外に出ていきます。

この記事では、日程調整の使い方を「画面のどこを押すか」ではなく、「何を先に決めておくか」の順に並べます。照合するカレンダーの範囲、打ち合わせの型、受け付ける時間帯、余白と上限、確定したあとの流れ、送る前の試し予約。この順に決めていくと、あとから設定を何度もやり直す手間が減ります。

予約ページで往復は減ったのに、1日が回らなくなる理由

メールで候補を出し合う調整は、候補の提示、返信、確定の連絡と、1件ごとに何度かのやり取りが発生します。予約ページはこのやり取りを相手の1回の操作にまとめるので、件数が多い人ほど効果が見えやすくなります。GoogleカレンダーやOutlookに予約の機能が組み込まれ、無料の範囲で使えるサービスも増えたことで、日程調整は専用の契約をしなくても始められるものになりました。

一方で、往復が減ったことで別の問題が表に出ます。メールで調整していた頃は、候補を出す前に自分でカレンダーを眺め、「この日は外出が続くから避けよう」「午前は資料を作りたい」と無意識に判断していました。予約ページはこの判断をしません。設定で許した時間帯のうち、照合したカレンダーで空いている枠を、機械的に並べるだけです。

その結果、次のようなことが起きます。

  • 午前中に集中して作業するつもりだった時間に、打ち合わせが3件並ぶ
  • 客先への移動から戻る時間に、オンライン会議が入る
  • 私用のカレンダーに入れていた通院の時間が、空きとして表示される
  • 1日に予約が集中し、翌日の準備に使う時間が消える

どれもツールの不具合ではなく、判断を設定に書き写していないことが原因です。日程調整の使い方で最初にすべきことは、頭の中で行っていた判断を、ツールが読める形の決まりに直すことだと言えます。その決まりを作る順番が、以下の手順です。

手順1:「埋まっている」とみなすカレンダーを決める

最初に決めるのは、どのカレンダーに入っている予定を「この時間は埋まっている」と扱うかです。仕事用のGoogleカレンダーだけを見るのか、私用のカレンダーや家族と共有しているカレンダー、チームの共有カレンダーも含めるのか。ここを決めずに予約ページを作ると、照合していないカレンダーの予定がある時間に予約が入ります。

Googleカレンダーの予約スケジュールには、空き状況を確認するカレンダーを選ぶ設定があります。ただし、何を無料で使えるかには線があります。Googleのヘルプにある機能の比較のページでは、個人のGoogleアカウントとWorkspace Business Starterで作れる予約ページは1つとされ、次のように書かれています。

一部の機能をご利用には、対象となる Google Workspace サブスクリプションまたは Google One メンバーシップが必要です。 出典: support.google.com

同じページの表では、複数カレンダーでの空き状況確認、リマインダーメールの自動送信、複数の予約スケジュールの作成に、Google One プレミアム、Google AI Pro、Google AI Ultra、Workspace Individual、Business Standard以上などの列で印が付いています。個人の無料アカウントの列はありません。予約に対する支払いの受け付けとスパム予約を防ぐためのメールアドレスの確認はWorkspace Individual以上、予備のカレンダーへの予約スケジュールの追加と最大20人の共同主催者の追加はBusiness Standard以上などの列にだけ印があります。

空き状況の確認を説明した別のヘルプでは、有効なプランが必要なのは「予備のカレンダーから空き状況を確認する」場合と書かれており、比較のページの「複数カレンダー」とは表記が揃っていません。無料のアカウントで予約ページを作るなら、私用など別のカレンダーに入れた予定が候補から外れるかを、公開する前に確かめておきます。

別の会社のカレンダーを使っている場合は、もう一段の確認が要ります。仕事はGoogle、私用はiCloudという組み合わせでは、Googleの予約スケジュールからiCloudの予定は直接見えません。この場合の選択肢は、私用の予定のうち仕事の時間帯に重なるものだけを仕事用のカレンダーにも「予定あり」として写しておくか、両方の会社のカレンダーを照合できる別のサービスを使うかの2つです。どちらを選ぶにしても、照合の範囲を決めるのはこの段階で済ませておきます。

手順2:打ち合わせの型を2つか3つに絞る

次に、受け付ける打ち合わせの型を決めます。型とは、長さ、場所、相手の種類の組み合わせです。

  • 初回の相談:オンライン、30分
  • 既存の取引先との定例:オンライン、60分
  • 客先での打ち合わせ:対面、60分(移動が別に発生する)

型を細かく分けすぎると、相手がどれを選べばよいか迷い、結局メールで確認が来ます。反対に1つにまとめすぎると、15分で済む確認に60分の枠が取られます。多くの人にとって、2つか3つが扱いやすい数です。

型の数には、サービスの料金も関わります。Calendlyの料金ページでは、無料プランで作れるイベントタイプは1つ、つなげるカレンダーも1つと案内されています。有料のStandardは年払いで1席あたり月8.33ドル、月払いで10ドルです。型を2つ以上持ちたい、仕事と私用の2つのカレンダーを照合したい、という条件が決まっていれば、どのプランが必要かもこの時点で分かります。

型を決めるときに見落としやすいのが、対面の打ち合わせです。対面の型を予約ページに載せると、相手が選んだ時間の前後に移動が発生します。移動の扱いは手順4で決めるので、ここでは「対面の型を予約ページで受け付けるか、受け付けずにメールで決めるか」だけを決めておきます。

手順3:受け付ける時間帯と、何日先まで受けるかを決める

型が決まったら、それぞれの型を受け付ける曜日と時間帯を決めます。ここで大切なのは、「空いていればいつでも受ける」にしないことです。

予約ページに平日の9時から18時までをすべて開けておくと、週の中で打ち合わせが散らばり、まとまった作業の時間が残りません。たとえば「初回の相談は火曜と木曜の14時から17時」のように、型ごとに受け付ける帯を決めると、打ち合わせが週の決まった場所に集まり、残りの時間を作業に使えます。

Googleカレンダーの予約スケジュールでは、全般的な空き状況として曜日ごとの時間帯を設定でき、特定の日だけ時間帯を変える「空き状況の調整」もあります。祝日や出張の週など、いつもと違う日はこの調整で個別に閉じます。

あわせて決めるのが、予約の受付期間です。Googleの予約スケジュールには、何日先まで予約を受け付けるかと、予約の何時間前までに入れてもらうかを決める設定があります。

  • 何日先まで:先の予約ほど、その間に自分の予定が変わる可能性が高くなる。自分の予定がおおむね固まっている範囲で区切る
  • 何時間前まで:当日の直前に予約が入ると、準備の時間が取れない。前日までにしておくと、朝に1日の予定を確かめた時点で打ち合わせがそろう

この2つは、予約が入ったあとの自分の動きから逆算して決めます。資料の準備に半日かかる打ち合わせなら、直前の受付は閉じておくのが現実的です。

手順4:前後の余白と1日の上限、移動の扱いを決める

打ち合わせが連続したときに崩れるのを防ぐのが、前後の余白と1日の上限です。Googleの予約スケジュールには、予約と予約の間に時間を空けるバッファ時間と、1日に受け付ける予約の上限を決める設定があります。

余白は、打ち合わせのあとに何をするかで決めます。議事メモを書く、次の会議の資料を開く、席を移る。こうした作業に10分から15分かかるなら、その分を余白にします。上限は、1日に集中して話せる件数から決めます。30分の相談を1日に6件受けられるとしても、他の仕事が回らなくなるなら、上限を3件や4件に下げます。

対面の打ち合わせでは、余白だけでは足りません。移動は行き先によって長さが変わるため、一律の余白で吸収しようとすると、近い客先では時間が余り、遠い客先では足りなくなります。対面の型は予約ページに載せず、候補をメールで出す運用が選ばれるのはこのためです。

移動の時間をカレンダーに入れる方法は、アプリによって違います。Macに標準で入っているカレンダーには、予定に移動時間を付ける機能があります。Appleのサポートページによると、出発の時刻はマップの経路の設定をもとに計算され、出発地は前の予定の場所などから決まります。ただし、場所を変えても移動時間は自動では更新されず、移動に3時間を超える行き先では出発時刻の通知が出ないと説明されています。予約ページの側から移動を読み取る仕組みではないため、対面の予約を受けたあとに自分で移動を書き足す手間は残ります。

手順5:確定したあと、どこに何が入るかを決める

予約が入ったあとの流れを決めておかないと、「予約は入ったのに会議のURLが相手に届いていない」「どのカレンダーに予定が入ったか分からない」という事態になります。決めておくのは次の4つです。

  • 予定が入るカレンダー:仕事用か、打ち合わせ専用のカレンダーか。私用のカレンダーに入ると、共有している家族に取引先の名前が見える
  • 会議の場所:Google Meetを自動で発行するか、Zoomなどのリンクを使うか、対面の住所を書くか
  • 相手に聞く項目:会社名、相談の内容、電話番号など。項目が多いほど予約の途中でやめる人が増えるので、打ち合わせの準備に本当に必要なものに絞る
  • リマインド:前日に自動でメールを送るか

Googleの比較のページでは、リマインダーメールの自動送信はGoogle One プレミアムやWorkspace Individualなどの契約で使える機能の列に並んでおり、個人の無料アカウントの列はありません。ヘルプの設定一覧では、リマインドは最大5件まで設定できるとされています。Calendlyの無料プランではリマインドの自動化は含まれず、有料プランの機能として扱われています。

相手の側から予定を変更したり取り消したりできるかも、ここで決めます。変更を許すと往復は減りますが、直前の変更で空いた枠が埋まらないまま残ることがあります。受付期間の「何時間前まで」と組み合わせて、直前の変更を受けない形にしておくと、当日の予定が安定します。

手順6:リンクを送る前に、自分で試し予約をする

設定が終わったら、リンクを外に出す前に必ず試し予約をします。手順は次のとおりです。

  • 照合する各カレンダーに、明日の14時にダミーの予定を入れる
  • ログインしていない状態のブラウザ(プライベートウィンドウ)で予約ページを開く
  • ダミーの予定を入れた時間が候補から消えているか確かめる
  • 余白が効いているか、ダミーの予定の直後の枠を見て確かめる
  • 実際に1件予約し、予定が入ったカレンダー、会議のURL、相手に届くメールの文面を確かめる
  • 予約を取り消し、取り消しの流れも確かめる

とくに3つ目は、手順1の照合の範囲が正しく反映されているかを確かめる唯一の方法です。ダミーの予定がある時間が候補に残っていたら、そのカレンダーは照合されていません。

試し予約のメールは、自分以外のアドレスで受け取ると、相手の側でどう見えるかが分かります。件名に打ち合わせの型の名前がどう出るか、時刻の表示が相手のタイムゾーンでどうなるか。海外の相手と調整する機会がある人は、予約ページを別のタイムゾーンで開いたときの表示も確かめておきます。

手順7:リンクの渡し方と、ツールを使わない相手への対応を決める

最後に、予約ページのリンクをどこに置き、どう渡すかを決めます。

  • メールの署名に置く:問い合わせが多い人に向く。ただし、既存の取引先にも毎回リンクが見える
  • 案内の文面で個別に渡す:初回の相談など、相手を選んで使いたい場合に向く
  • ウェブサイトの問い合わせページに置く:新規の相談を受け付ける窓口にする

リンクを渡す文面には、選んでもらう型の名前と、目安の時間を書き添えます。「30分のオンライン相談は、こちらからご都合の良い時間をお選びください」のように書くと、相手は何を選べばよいか迷いません。

相手によっては、リンクを送られることを好まない場合があります。目上の取引先や、秘書を通して予定を管理している相手です。こうした相手には、自分から候補を2つか3つ出す従来の形のほうが進みやすいことがあります。予約ページはすべての調整を置き換えるものではなく、相手を選んで使う道具として位置付けておくと、無理が出ません。

使い始めて2週間ほどたったら、実際に入った予約を見直します。余白が足りなかった日、上限に達して断った件数、直前の変更の件数。この3つを見て、手順3と手順4の数字を調整します。

手順を表にまとめると

順番 決めること 決め方の目安
1 照合するカレンダー 予定が入っている全カレンダーを書き出す
2 打ち合わせの型 長さと場所の組み合わせで2つか3つ
3 受け付ける時間帯と受付期間 型ごとに曜日と時間帯を固定し、先の期限と直前の締め切りを決める
4 余白と上限、移動 打ち合わせ後の作業時間と、1日に話せる件数から決める
5 確定後の流れ 入るカレンダー、会議の場所、聞く項目、リマインド
6 試し予約 ダミーの予定を入れて、別のブラウザから予約する
7 渡し方と見直し 相手を選んで渡し、2週間後に数字を直す

表の順番には理由があります。1と2が決まらないと、3以降の設定の前提が変わり、やり直しになります。とくに照合するカレンダーは、サービスの選び直しにつながることもあるので、最初に決めておく価値があります。

予約ページの外に残る、カレンダーの側の仕事

ここまでの手順を踏むと、予約ページから入ってくる予定は整います。それでも、予約ページを通らない予定は残ります。電話で決まった打ち合わせ、会議の中で決まった次回の日程、家族の用事。こうした予定が仕事用のカレンダーに入らないままだと、手順1で決めた照合の範囲に穴が開き、せっかくの設定が効かなくなります。

予約ページの精度は、カレンダーにどれだけ漏れなく予定が入っているかで決まります。つまり、日程調整の使い方の最後の手順は、予約ページの外で決まった予定を、決まったその場でカレンダーに入れる習慣です。入れる手数が多いと後回しになり、後回しにした予定の時間に予約が入ります。

Mac用のカレンダーアプリの中には、話し言葉と音声で予定を入れられるものがあり、電話を切った直後に「来週火曜の15時から客先で打ち合わせ」と話すだけで予定になる流れを予定の入れ方で紹介しています。手順4で扱った対面の打ち合わせについては、前後の移動をどう確保するかを移動時間にまとめています。カレンダーアプリどうしで、複数のアカウントの扱いや入力の方法がどう違うかは他のカレンダーとの比較で確かめられます。

よくある質問

日程調整ツールは、設定のどこから始めればよいですか?

最初に、予定が入っているカレンダーをすべて書き出し、どれを照合の対象にするかを決めます。ここを後回しにすると、照合していないカレンダーの予定がある時間に予約が入ります。照合の範囲が決まってから、打ち合わせの型、受け付ける時間帯、余白と上限の順に設定すると、やり直しが少なくなります。

前後の余白は何分に設定すればよいですか?

打ち合わせのあとに必ず行う作業の時間から決めます。議事メモを書く、次の会議の資料を開くといった作業に10分から15分かかるなら、その長さが目安です。対面の打ち合わせは移動の長さが行き先で変わるため、一律の余白では吸収しにくく、予約ページに載せずに候補をメールで出す運用も選択肢になります。

個人のGoogleアカウントでも予約ページは作れますか?

作れます。Googleのヘルプの比較のページでは、個人のGoogleアカウントで作れる予約ページは1つとされています。複数の予約スケジュールの作成、リマインダーメールの自動送信、複数カレンダーでの空き状況確認は、Google One プレミアムやWorkspace Individualなどの契約で使える機能の列に並んでいます。予約に対する支払いの受け付けやメールアドレスの確認は、Workspace Individual以上などの契約の列にあります。

予約ページのリンクを送ると失礼にあたる相手はいますか?

目上の取引先や、秘書を通して予定を管理している相手は、自分で枠を選ぶ形を好まない場合があります。そうした相手には、こちらから候補を2つか3つ出す従来の形で調整し、予約ページは初回の相談など相手を選んで使うと無理がありません。署名に常にリンクを置くかどうかも、相手の構成を見て決めます。

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